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2章 城下町を散策
3 呼ばれた理由
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見事? 存在感を取り戻し町のみんなに認知してもらえるようになった俺は【存在感】を調整したついでに【賢さ】と【理解力】の数値も調整してみた。ちなみに数値はどちらも200ピッタリだ。
しかし数値を調整してはみたもののこれといって特に変化は見られず、なんとなく辺りを見渡してみると調整の結果は意外と簡単にでた。
「……あれ? 読める……」
さっきまでは文字なのかさえ分からなかった看板に書かれたあれらのものが、ステータス調整後は普通に文字として認識でき、意味ももちろんわかってしまった。
教わった訳ではないのに初めて見る文字が理解できてしまう、この不思議な感覚をなんと説明すればいいのか分からないけれど、感覚的に言うと空気を読んだ時と似ている。
教室などに入った時、いつもとは違う、しん、とした雰囲気から自分が来る直前に何かがあったと分かるように。また、その場の生徒達の表情や雰囲気から喧嘩でもしたのかと分かるように。
それほどに、感覚的に分かってしまう。
【理解力】のおかげなのか【賢さ】のおかげなのかは正直分からないけれど、文字が読める事でかなりの気持ち悪さを感じてしまう。
だがこれは仕方がない。じきに慣れるだろう。
気持ち悪さを我慢しつつ辺りを見渡すと、店の業種や売っているものは大体が日本と……地球と? 同じものだという事が判明した。
例えを出すならリンゴとかが比較的に分かりやすいと思う。ほぼほぼ見た目は日本のそれと同じだがこちらの方が若干、色がオレンジ色が強い気がする。それもまあ、品種の違いだとか言われれば納得できる程度の事なのだけど。
もちろん名前はリンゴではなく《▲□△■◆》と、訳の分からないもので、うまく伝えようとしても伝える事が出来ない。
それこそお得意の調整能力で【伝達力】とか【表現力】のステータスを調整すればもしかしたら正確な名前を的確に伝えられるのかもしれないけれど、それだけは止めておこう。
いわゆる大人の事情だ。分かって欲しい。
とにかく。町の作りというか生活のしかたというか、文化は大体地球の、日本のそれと似通っているのでこの異世界で今後生活を送るのも現時点では大した問題はなさそうだった。
本当に文化の違いというものは生活のしかたに直結するのでかなり大きな問題だったりするからな……。
虫を食べたり。個室のトイレにドアが無いとか当たり前らしいから……。
この世界の文化に対して一安心していると、
「聞いたか? 今回の勇者様召喚の儀もダメだったらしい」
「またか……この国の予算ももう底をつく筈だ、これ以上の勇者様召喚の儀は行えまい。いったいどうしたものか……」
「このままでは魔王軍の侵略を止められない。この町に攻め入ってくるのも時間の問題だな。最後は町の皆で武器を取って戦おう」
「バカ言え……逃げるが勝ちさ」
ほっほぅ。
文字だけでなく、言葉も分かるのか。それは本当に助かる。
今の話しを聞いた感じでは、どうやら魔王軍が侵略していて、それを打ち倒す勇者様をなけなしのお金を使って召喚したはいいが実際現れたのは戦闘力ほぼゼロの現役高校生、つまり俺って事か。
お金を使い切り、打つ手もなく、魔王軍の侵略をただ指を咥えて見ているしか出来ない詰みの状態って事ね。
なるほど。
確かに召喚の間(恐らく)にいた人達もそんな事言ってたもんな。
じゃあ、だったら。せっかく呼んでもらって何もしないのも申し訳がないし、困っている人達を見過ごす事も出来ないので、いっちょやりますか。
サクッと世界を救いましょう。
俺、超強くなれるんで。
そして、俺は突如その場に倒れ込んだ。
しかし数値を調整してはみたもののこれといって特に変化は見られず、なんとなく辺りを見渡してみると調整の結果は意外と簡単にでた。
「……あれ? 読める……」
さっきまでは文字なのかさえ分からなかった看板に書かれたあれらのものが、ステータス調整後は普通に文字として認識でき、意味ももちろんわかってしまった。
教わった訳ではないのに初めて見る文字が理解できてしまう、この不思議な感覚をなんと説明すればいいのか分からないけれど、感覚的に言うと空気を読んだ時と似ている。
教室などに入った時、いつもとは違う、しん、とした雰囲気から自分が来る直前に何かがあったと分かるように。また、その場の生徒達の表情や雰囲気から喧嘩でもしたのかと分かるように。
それほどに、感覚的に分かってしまう。
【理解力】のおかげなのか【賢さ】のおかげなのかは正直分からないけれど、文字が読める事でかなりの気持ち悪さを感じてしまう。
だがこれは仕方がない。じきに慣れるだろう。
気持ち悪さを我慢しつつ辺りを見渡すと、店の業種や売っているものは大体が日本と……地球と? 同じものだという事が判明した。
例えを出すならリンゴとかが比較的に分かりやすいと思う。ほぼほぼ見た目は日本のそれと同じだがこちらの方が若干、色がオレンジ色が強い気がする。それもまあ、品種の違いだとか言われれば納得できる程度の事なのだけど。
もちろん名前はリンゴではなく《▲□△■◆》と、訳の分からないもので、うまく伝えようとしても伝える事が出来ない。
それこそお得意の調整能力で【伝達力】とか【表現力】のステータスを調整すればもしかしたら正確な名前を的確に伝えられるのかもしれないけれど、それだけは止めておこう。
いわゆる大人の事情だ。分かって欲しい。
とにかく。町の作りというか生活のしかたというか、文化は大体地球の、日本のそれと似通っているのでこの異世界で今後生活を送るのも現時点では大した問題はなさそうだった。
本当に文化の違いというものは生活のしかたに直結するのでかなり大きな問題だったりするからな……。
虫を食べたり。個室のトイレにドアが無いとか当たり前らしいから……。
この世界の文化に対して一安心していると、
「聞いたか? 今回の勇者様召喚の儀もダメだったらしい」
「またか……この国の予算ももう底をつく筈だ、これ以上の勇者様召喚の儀は行えまい。いったいどうしたものか……」
「このままでは魔王軍の侵略を止められない。この町に攻め入ってくるのも時間の問題だな。最後は町の皆で武器を取って戦おう」
「バカ言え……逃げるが勝ちさ」
ほっほぅ。
文字だけでなく、言葉も分かるのか。それは本当に助かる。
今の話しを聞いた感じでは、どうやら魔王軍が侵略していて、それを打ち倒す勇者様をなけなしのお金を使って召喚したはいいが実際現れたのは戦闘力ほぼゼロの現役高校生、つまり俺って事か。
お金を使い切り、打つ手もなく、魔王軍の侵略をただ指を咥えて見ているしか出来ない詰みの状態って事ね。
なるほど。
確かに召喚の間(恐らく)にいた人達もそんな事言ってたもんな。
じゃあ、だったら。せっかく呼んでもらって何もしないのも申し訳がないし、困っている人達を見過ごす事も出来ないので、いっちょやりますか。
サクッと世界を救いましょう。
俺、超強くなれるんで。
そして、俺は突如その場に倒れ込んだ。
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