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縛
縛話 5
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何段もの長い階段を駆け登った先、次のアトラクションは小さな列車だった。
子供サイズの列車。
細く長いレールがグニャグニャに敷かれていて、その上をあの列車が走るようだ。
なぜあんなにもレールがグニャグニャなのかは、当然カナには理解ができない。
なるべくカーブを少なくした、ただまっすぐなレールの方が揺れが少なくて乗り心地はいいはずだろうに、などと考えてしまう。
そんな小さな列車はどうやらかなりの人気者らしく、列車に乗るために小さな子供が順番待ちしている。
順番待ちの子供達は数人が笑顔で、大半が不安そうな顔をしていた、中には泣いている子供とそれを励ます大人の姿が。
カナはカナなりに子供達を気遣ったのか、自分の後ろに並ぶ子供達に順番を譲っていた。
二度、三度と順番を譲ったところでナオに『早く乗りたいよぅ……』とせがまれたので、それ以降は子供達に順番を譲ることはしなかった。
そしてようやく順番が回ってきた。
カナとナオは列車の先頭に陣取り、発車の合図を待った。
後方では『やべ、お腹痛くなってきた! 俺やっぱ降りるわ』や『約束を思い出したから降ろして!』などの声が上がり始めた。
今日一番の騒がしさがカナの細い胸を叩くように刺激する。
古いスピーカーから音の割れたアナウンス。
《お待たせしました、高速列車まもなく発車いたします。安全バーが降りてきますので、頭上にご注意下さい。それではよい旅を!》
安全バーを掴み、両眼を閉じたナオを横目で見て不思議に思い、カナの意識はグニャグニャのレールの先に集中した。
《ジリリリリリリリリリリリ》
発車の合図が鳴り響き、カナの心に緊張と期待が走る。
大きな金属音と共に列車が走り出した。が、身構えていたのにもかかわらずかなりのスロースタートだった。
本当に列車なのか? と問いたくなるほどゆっくりとした足取りでレールを進み、山なりのレールを登り始めた。
やがて頂上へと辿り着き緩やかな下り坂を列車がくだっていくにつれ、列車のスピードが徐々に上がり始めた。
徐々に速くなっていくそのスピードのまま右カーブに差し掛かり、列車が大きく揺れた。右に左に、上に下に、更に激しさを増して列車が走るので隣に座るナオと肩がぶつかった。ナオはそのことに気付いていないのか、まだ目を閉じたままで『あー! うわー!』とわめき散らしている。
一方のカナはと言えば、吹きつける風に対してしかめっ面になってはいるが、いたって冷静である。
普段から超高速で空を舞うカナにとっては、なんてことのない列車の速度だが、今まで体験した事のないカメのような速度と激しい乗り心地が一緒になった列車はカナにとって、全く新しい興味深い乗り物だった。
そんなカメのような列車の旅も終わりを迎えたようで、カナとナオが先ほど列車に乗り込んだホームへと帰ってきた。
もう一度乗りたいと思ったが、子供達が待っているのでそそくさと列車を後にして階段をおりた。
そして地に足がつくと同時にナオが口を開いた、
「いやー! 子供向けなのに結構スピード出るんだね! あれじゃ泣いちゃう子もいたんじゃないかな」
自分が見たかぎりではそんな子はいなかった。と、カナは思う。
潤んだ瞳のナオとそのまま、列車のレールに沿って歩いていると古い木造の小さな建物が見えてきた。
子供サイズの列車。
細く長いレールがグニャグニャに敷かれていて、その上をあの列車が走るようだ。
なぜあんなにもレールがグニャグニャなのかは、当然カナには理解ができない。
なるべくカーブを少なくした、ただまっすぐなレールの方が揺れが少なくて乗り心地はいいはずだろうに、などと考えてしまう。
そんな小さな列車はどうやらかなりの人気者らしく、列車に乗るために小さな子供が順番待ちしている。
順番待ちの子供達は数人が笑顔で、大半が不安そうな顔をしていた、中には泣いている子供とそれを励ます大人の姿が。
カナはカナなりに子供達を気遣ったのか、自分の後ろに並ぶ子供達に順番を譲っていた。
二度、三度と順番を譲ったところでナオに『早く乗りたいよぅ……』とせがまれたので、それ以降は子供達に順番を譲ることはしなかった。
そしてようやく順番が回ってきた。
カナとナオは列車の先頭に陣取り、発車の合図を待った。
後方では『やべ、お腹痛くなってきた! 俺やっぱ降りるわ』や『約束を思い出したから降ろして!』などの声が上がり始めた。
今日一番の騒がしさがカナの細い胸を叩くように刺激する。
古いスピーカーから音の割れたアナウンス。
《お待たせしました、高速列車まもなく発車いたします。安全バーが降りてきますので、頭上にご注意下さい。それではよい旅を!》
安全バーを掴み、両眼を閉じたナオを横目で見て不思議に思い、カナの意識はグニャグニャのレールの先に集中した。
《ジリリリリリリリリリリリ》
発車の合図が鳴り響き、カナの心に緊張と期待が走る。
大きな金属音と共に列車が走り出した。が、身構えていたのにもかかわらずかなりのスロースタートだった。
本当に列車なのか? と問いたくなるほどゆっくりとした足取りでレールを進み、山なりのレールを登り始めた。
やがて頂上へと辿り着き緩やかな下り坂を列車がくだっていくにつれ、列車のスピードが徐々に上がり始めた。
徐々に速くなっていくそのスピードのまま右カーブに差し掛かり、列車が大きく揺れた。右に左に、上に下に、更に激しさを増して列車が走るので隣に座るナオと肩がぶつかった。ナオはそのことに気付いていないのか、まだ目を閉じたままで『あー! うわー!』とわめき散らしている。
一方のカナはと言えば、吹きつける風に対してしかめっ面になってはいるが、いたって冷静である。
普段から超高速で空を舞うカナにとっては、なんてことのない列車の速度だが、今まで体験した事のないカメのような速度と激しい乗り心地が一緒になった列車はカナにとって、全く新しい興味深い乗り物だった。
そんなカメのような列車の旅も終わりを迎えたようで、カナとナオが先ほど列車に乗り込んだホームへと帰ってきた。
もう一度乗りたいと思ったが、子供達が待っているのでそそくさと列車を後にして階段をおりた。
そして地に足がつくと同時にナオが口を開いた、
「いやー! 子供向けなのに結構スピード出るんだね! あれじゃ泣いちゃう子もいたんじゃないかな」
自分が見たかぎりではそんな子はいなかった。と、カナは思う。
潤んだ瞳のナオとそのまま、列車のレールに沿って歩いていると古い木造の小さな建物が見えてきた。
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