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エピソード・オブ・村長
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なし崩し的に始まった村長との修行は、あれからかれこれ約二時間が経とうとしていた。
「そりゃ! どうじゃ! 見たか!」
村長はひたすらスライムを倒し続けレベル上げを行っている。今やかなりコツを掴んだみたいで俺のサポート無しで楽々とスライムを倒していた。
「うん。レベルもそこそこ上がったみたいだし、もう一人でも大丈夫かな?」
「ホッホッホッ! 力がみなぎってくるのぅ。スライム相手ならもう、1人でも大丈夫そうじゃの」
自信に満ちた表情で言って、村長は白い歯むき出しで笑う。
うん。本当に逞しくなった。
これなら少し目を離しても大丈夫かな。
「じゃあ、俺はアネーシャ村でちょっと装備を整えてくるよ。村長はそのまま修行を続けてて」
「ホッホッホッ! 気をつけて行きなされよ勇者殿」
「うん。じゃあ行ってくるよ、村長も充分気を付けて!」
俺は村長に声をかけて一人、アネーシャ村へと引き返しパウロさんの経営する店へとやってきた。
「ああ、いらっしゃい。お? あんたはさっきの……」
「先程はどうも。ちょっと見せてもらえますか?」
「本当に来てくれたのか! それはありがたい! 遠慮なんかせず気の済むまで見ていってくれ」
「どうも」
初めて入店する訳じゃないんだけど、パウロさんの店は相変わらずの豊富な品揃えだ。ウッディールの森の片隅にある小さな村なのに、サイラスの城下町やこの先にある大都市のお店にも負けないくらいにすごい。
この豊富な品揃え一つ見てもパウロさんの日々の頑張りが見て取れる。
俺はショーケースに並んだいくつもの武具の中から安価な剣や槍、ナイフ類の一角を見つめる。本当ならばバスターソードなどを買ってサクサク冒険を進めていきたいところなのだが、今回は、少し事情が違う。
村長にもう少し付き合ってあげないと。スライム退治はおおかた出来るようになったけれど、それでもまだ心配だ。
ゆっくり。村長のペースで満足させてあげよう。
「よし。コレとコレとコレ下さい!」
「はいはい。えっと……ナイフと身避けの服と身避けのバンダナ、それから身避けの靴ね。じゃあ……全部で490Gだから、450Gに負けとくよ。あ、あと薬草も一つサービスしとくよ」
「いいんですか⁉︎ ありがとうございます!」
「じゃあ、気を付けてな! また来てくれよ、勇者様」
パウロさんはにっこりと微笑むと右手を振って見送ってくれた。
俺はパウロさんに深々と頭を下げて、この村のランドマークたる巨大な大樹の根元へと移動し、大樹のものと思しき直径10センチほどの落ちていた枝を拾い上げ、買ったばかりのナイフで枝を削っていく。
ついつい夢中になってしまったが、およそ1時間くらいで作業は完了した。
俺の両手に握られる大小二本の木刀。
試しに空を切るように軽く振ってみる。
フッーーーー。
目に見えぬ大気の壁がひらりと上下に別れた気がした。
「うん。いい」
軽く、扱いやすい。
久しぶりの木刀作りだったけれど、今回も大成功のようだ。(何度も勇者に転生するので武器を自分で作って戦うというスタイルの遊びを過去に密かにやっていたのだ)
しかし、見れば見るほど本当に良い出来なのでついつい自画自賛してしまう。
木刀職人にでもなろうかな……《百戦錬磨の勇者が世に送り出す至極の一振り》とかなんとか言って。
あ、それ楽しそう。それもありかも。
この後、暇だったらそうやって遊んでみよう。パウロさんの店に置いてもらえるかな?
などと新たな遊びを思いついたのだが、今はまず村長だ。
俺はついつい上がってしまう口角をそのままに、
「スッテータスッ!」
少しはしゃいでみた、意味は無い。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
勇猛
Lv 7
HP 56/56
MP 19/19
力 25
守り 21
早さ 18
魔力 5
職業 100回目の勇者
装備 大樹の木刀
旅人の服
旅人の靴
お金 26G
状態 普通
――――――――――――――――
「うん。強くなった」
俺はステータス画面をざっと見てから、村長の所に戻る為にアネーシャ村を出た。
「そりゃ! どうじゃ! 見たか!」
村長はひたすらスライムを倒し続けレベル上げを行っている。今やかなりコツを掴んだみたいで俺のサポート無しで楽々とスライムを倒していた。
「うん。レベルもそこそこ上がったみたいだし、もう一人でも大丈夫かな?」
「ホッホッホッ! 力がみなぎってくるのぅ。スライム相手ならもう、1人でも大丈夫そうじゃの」
自信に満ちた表情で言って、村長は白い歯むき出しで笑う。
うん。本当に逞しくなった。
これなら少し目を離しても大丈夫かな。
「じゃあ、俺はアネーシャ村でちょっと装備を整えてくるよ。村長はそのまま修行を続けてて」
「ホッホッホッ! 気をつけて行きなされよ勇者殿」
「うん。じゃあ行ってくるよ、村長も充分気を付けて!」
俺は村長に声をかけて一人、アネーシャ村へと引き返しパウロさんの経営する店へとやってきた。
「ああ、いらっしゃい。お? あんたはさっきの……」
「先程はどうも。ちょっと見せてもらえますか?」
「本当に来てくれたのか! それはありがたい! 遠慮なんかせず気の済むまで見ていってくれ」
「どうも」
初めて入店する訳じゃないんだけど、パウロさんの店は相変わらずの豊富な品揃えだ。ウッディールの森の片隅にある小さな村なのに、サイラスの城下町やこの先にある大都市のお店にも負けないくらいにすごい。
この豊富な品揃え一つ見てもパウロさんの日々の頑張りが見て取れる。
俺はショーケースに並んだいくつもの武具の中から安価な剣や槍、ナイフ類の一角を見つめる。本当ならばバスターソードなどを買ってサクサク冒険を進めていきたいところなのだが、今回は、少し事情が違う。
村長にもう少し付き合ってあげないと。スライム退治はおおかた出来るようになったけれど、それでもまだ心配だ。
ゆっくり。村長のペースで満足させてあげよう。
「よし。コレとコレとコレ下さい!」
「はいはい。えっと……ナイフと身避けの服と身避けのバンダナ、それから身避けの靴ね。じゃあ……全部で490Gだから、450Gに負けとくよ。あ、あと薬草も一つサービスしとくよ」
「いいんですか⁉︎ ありがとうございます!」
「じゃあ、気を付けてな! また来てくれよ、勇者様」
パウロさんはにっこりと微笑むと右手を振って見送ってくれた。
俺はパウロさんに深々と頭を下げて、この村のランドマークたる巨大な大樹の根元へと移動し、大樹のものと思しき直径10センチほどの落ちていた枝を拾い上げ、買ったばかりのナイフで枝を削っていく。
ついつい夢中になってしまったが、およそ1時間くらいで作業は完了した。
俺の両手に握られる大小二本の木刀。
試しに空を切るように軽く振ってみる。
フッーーーー。
目に見えぬ大気の壁がひらりと上下に別れた気がした。
「うん。いい」
軽く、扱いやすい。
久しぶりの木刀作りだったけれど、今回も大成功のようだ。(何度も勇者に転生するので武器を自分で作って戦うというスタイルの遊びを過去に密かにやっていたのだ)
しかし、見れば見るほど本当に良い出来なのでついつい自画自賛してしまう。
木刀職人にでもなろうかな……《百戦錬磨の勇者が世に送り出す至極の一振り》とかなんとか言って。
あ、それ楽しそう。それもありかも。
この後、暇だったらそうやって遊んでみよう。パウロさんの店に置いてもらえるかな?
などと新たな遊びを思いついたのだが、今はまず村長だ。
俺はついつい上がってしまう口角をそのままに、
「スッテータスッ!」
少しはしゃいでみた、意味は無い。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
勇猛
Lv 7
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力 25
守り 21
早さ 18
魔力 5
職業 100回目の勇者
装備 大樹の木刀
旅人の服
旅人の靴
お金 26G
状態 普通
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「うん。強くなった」
俺はステータス画面をざっと見てから、村長の所に戻る為にアネーシャ村を出た。
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