アヒルタイガー2

ブルッキ

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エピソード1

再び

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「てえへんだ~っ!てえへんだ~っ!」
カラ、カラ~ン!手足をバタバタさせて一人の男が駆け込んできた。

「いつもうるさいんだよ、アンタは。」
ここは「ハッピネス」というカフェ。入ってきた男は大垣裕也、応えた男は音原道彦である。

「いやいや、怪人がね、また現れたって耳にし・・ただ・・・。」
と裕也が言い終わらないうちに、
「これだろ・・・。」と道彦は親指を後ろに向けテレビを指差した。

テレビの周りにいた二人が振り向く。
「お、いらっしゃい!」と眉毛の太い男が微笑む。カフェのオーナー、松山明だ。

「まさか、オズワイルドが死んでなかったとか・・・?」アゴに手を当て思案しているのは唐島翔。

「そうなんだよね。こんなことできるのは、オズワイルドだよ。」
道彦が頷く。
オズワイルドの事件からすでに半年が過ぎていた。

「怪人は強力な電気を放電し、町の至る所で電気障害が起こっています・・・。現地からの中継です・・・。」とテレビが伝える。

「どうすんだよ?リュウキ・・・。」明が目をやった先にいる男が顔を上げる。

「もちろん倒しに行くよ。」

「そうこなくちゃ。」道彦が即座に合いの手を打った。


怪人が暴れている街角ー
「にょ~ろ、にょろにょろにょろ~!エレクトロウナギバラス様の参上だ~。この町の電気系統を麻痺させてやるのだ~!」

事実、その界隈の電気系統は麻痺し、あちこちで騒ぎとなっている。会社や店のコンピューターはダウンし、街角の信号は無茶苦茶で交差点では車が大渋滞を起こしている。

「おいおい、どうにかしてくれよ~これじゃ約束の時間に間に合わないよ。大事な商談なんだぜ!」渋滞の車で誰かが叫んでいる。
「ちょっと~このままだと患者の状態が危ないわ!」病院では看護師が右往左往している。

「いい加減にしろ!エレクトロウナギバラス!」
アヒルタイガーがエレクトロウナギバラスの前に立ちはだかった。

「にょろにょろ~アヒルタイガー!邪魔をするものではないにょろ~!」アヒルタイガーを指差し激しく胸板を叩いて興奮するエレクトロウナギバラス。

「瞬速タイガーパンチ!」
アヒルタイガーがエレクトロウナギバラスバラスに飛びかかる。
するとエレクトロウナギバラスから青白い火花が散り、放電された強力な電気がアヒルタイガーを襲った。

「うがーっ!」激しい痺れが走った。
白い煙がアヒルタイガーから立ち上っている。

「アヒルタイガー!オレ様を甘く見るんじゃないにょろ~。貴様などひとにょろりだ!ハーッ、ハッ、ハッ、ハー!」見るからにヌメリがある身体を揺らしてエレクトロウナギバラスが笑う。

「クッ、凄い電流だ。」
四つん這いの姿勢からダッシュでエレクトロウナギバラスの尻尾を掴みにかかる。が、ヌメリで掴めない。

「バカなヤツめ。無駄だ、アヒルタイガー、お前に勝ち目はないにょろ。」
長い尻尾を振り回し、アヒルタイガーの横腹を捕えた。吹っ飛ぶアヒルタイガー。
何とか立ち上がり、
「くそっ、どう攻撃すればいいんだ・・・。」
そう呟いた時、大量の小麦粉の袋を積んだトラックが目に入った。

「あれだ!」
アヒルタイガーはエレクトロウナギバラスとトラックの対角線上に回り込んだ。
そして、
「ガーガーキック!」と叫びながら飛び蹴りを試みた。
「ドン!」エレクトロウナギバラスが硬く防御している肩あたりに当たる。

後ろへ吹っ飛ぶエレクトロウナギバラス。後方のトラックの荷台に接触した。
「なーかなか、いいキックだ。が、しかしあまり効いてないにょろ・・・。防御をしている肩に・・・無駄・・・。」と言うエレクトロウナギバラスの上からサーっと小麦粉が降り注ぐ。

「な、なんだ!」
訳が分からずエレクトロウナギバラスがくるくる回っている。
「美味しいフライが出来そうだな、エレクトロウナギバラ・・・、ええぃ!いい加減名前が長いんだよ!」と言いながらエレクトロウナギバラスの尻尾を掴みにかかり、振り回して放り投げた。

「ぬおおお!」叫ぶエレクトロウナギバラス。
アヒルタイガーはすぐさま先ほどのトラックの荷台に飛び乗っていた。
「見っけ。」
エレクトロウナギバラス目掛けて荷台にあった食用油の一斗缶を投げつけた。
丁度、「100万ボルト放電!」
とエレクトロウナギバラス言った瞬間だった。
火花が散り、食用油に引火して燃え上がった。

「あ~、良いタイミングだ~。」
アゴに手をやり、頷くアヒルタイガー。

「やられた~!」
火が収まった後には丸焦げたウナギのフライが残っていた。




リュウキが戻り立ち寄った
とある研究室ー

「また、怪人が現れたとか・・・。」
ドリップコーヒーをマグカップに注ぎながらリュウキに話しかけた。白衣を着た若い研究者だ。
「ええ、ジャック・オズワイルドは死んだはずなんですけど・・・。」
「じゃ、いったい誰の仕業なんだ?」
窓に視線を向けた若い研究者は冬にもかかわらず小麦色の肌をしている。
「わかりません。」
リュウキは首を振った。
窓は白く曇っていた。どうやら静かに雪が降り始めたようだ。
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