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エピソード2
未知
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「ホント良かったよ、鹿原先輩が日本に戻って来てて。」
「そうだね。オズワイルドのことを調べてもらった時もホント助かったよ。」
「日本人の遺伝子工学会のホープと言われてるからね、先輩は。」
「へー、そうなんだ。ウナギの怪人を倒したあと相談に行ったんだよ。心あたりないかなって。あんなの遺伝子操作やらなんやら知らないとできるもんじゃないだろ?」
道彦とリュウキが並んで歩いている。明のカフェ「ハッピネス」に向かっているところだ。
カラーン!いつも通り気持ちのいいベルが鳴る。
「お、来たな。」
爽やかな笑顔で明が迎えた。
道彦とリュウキがカウンターに腰掛けようとすると、
「で、どうなんだよ、オズワイルドの仕業なのかよ?」
「さあね、まだわかんないよ。」
明に最初に掛けられる言葉を予測してたかのように食い気味に答えるリュウキ。
「オズワイルドの墓を掘り返す訳にもいかないし。勝手に掘り返したら犯罪だろ?」
「そうだよな。」頭を搔きながらリュウキに流し目を送る。
「一応、警察にはオズワイルドが死んでないんじゃないかって訴えたけど。」
さきほど道彦とリュウキで警察に出向き、オズワイルドの墓を調べるよう進言してきたところである。
「警察も半信半疑なんだよ。オズワイルドが怪人事件の黒幕だったというのも本当のところの真相は究明出来ていないらしい。」
リュウキがカウンターに頬杖をついてボヤいた。
「じゃあ、なにか?結局は何も解決してないってこと?」
「そうなんじゃない?」明の質問に道彦が口を尖らして答えた。
「ジャック・オズワイルドが海に転落して死んだ。ジャック・オズワイルドは実は辻チャノフ博士だった。それだけは確かなんだよね。」
リュウキのスマホが鳴るー
「あ、鹿原さん?え!?また怪人が現れたって?わかりました!」
「なんだよリュウキ。また怪人って?」明が直ぐにテレビのスイッチを押した。
若い男性がテレビの中継で叫んでいるー
「大変です!ゴリラの化け物が街中の食べ物を奪っております!大変危険です!皆さん近づかないように!近づか・・・うわぁーっつ!」
5、6人が一度に投げ飛ばされているのがテレビの画面に映し出された。
リュウキはすぐに店を飛び出しバイクに跨った。
「ゴ~リ、ゴリ、ゴリ、ゴリバラ~ス!腹が減ってたまんねーだよ!」黒い毛むくじゃらの怪人が胸をバンバン叩く。
「助けてくれ~!」
「きゃぁあああ!」
大勢の人が入り乱れて逃げていく。
「ブゥウォ~ン!」
大きな排気音が響いた。
「ファイヤー!アヒルタイガー!」
リュウキがそう叫ぶと眩い光が辺りを包んだ。
「ゴリバラス!許さんぞ!」
指差しながらアヒルタイガーが叫んだ。
「なーにを!小癪な!」
両手を上げてゴリバラスが返す。
「瞬速タイガーパーンチ!」
アヒルタイガーが獲物を仕留めるが如く飛びかかった。
しかし、ゴリバラスは伸ばした拳をガシっと掴み、
「ふっ、前回のデータからそのような攻撃は想定内なんだよ!」
と逆にアヒルタイガーの腹部を蹴り上げた。
「うおーっつ!」
転がり回るアヒルタイガー。
なんだ?・・・。戦うごとに敵が強くなってないか?・・・。
データ・・・。そうか、すべて分析されてるのか。
「タイガースライディングキック!」
滑り込みながら突撃しゴリバラスのスネの辺りを蹴り飛ばす。
「No~!」
何故か英語で倒れこむゴリバラス。
「アンド、タイガーエルボー!」
アヒルタイガーも何故か英語で上から肘打ちを食らわした。
立ち上がりクルクルと回るゴリバラスの体から激しい光が放たれ、ゴリラとプロレスラーに分離しそこへ倒れ込んだ。
「ピッ、ピッ」
時計が4分経過を知らせた。アヒルタイガーは5分あまりで遺伝子が分離されリュウキに戻ってしまうのだ。慌ててアヒルタイガーは立ち去った。
鹿原の研究室ー
カチャカチャ。タイピングの音が静かに響いている。
「・・・だと思うんです。」リュウキの声。
「なるほどね。敵はデータで分析して戦ってるってことか。」
タイプを打つ手を止め鹿原が振り向いた。
「ええ。戦うごとに強くなってますし。また、何かの実験台にでもされてるんじゃないかと・・・。」
「そうだな。十分考えられる話だ。研究成果を上げたいがためにタブーを犯す科学者はたくさんいる。名誉や金のためにな。でも、誰がってのはまだ検討もつかないな。」
そう言うと、またパソコンに向き直りカチャカチャとキーボードを叩き始めた。
「そうだね。オズワイルドのことを調べてもらった時もホント助かったよ。」
「日本人の遺伝子工学会のホープと言われてるからね、先輩は。」
「へー、そうなんだ。ウナギの怪人を倒したあと相談に行ったんだよ。心あたりないかなって。あんなの遺伝子操作やらなんやら知らないとできるもんじゃないだろ?」
道彦とリュウキが並んで歩いている。明のカフェ「ハッピネス」に向かっているところだ。
カラーン!いつも通り気持ちのいいベルが鳴る。
「お、来たな。」
爽やかな笑顔で明が迎えた。
道彦とリュウキがカウンターに腰掛けようとすると、
「で、どうなんだよ、オズワイルドの仕業なのかよ?」
「さあね、まだわかんないよ。」
明に最初に掛けられる言葉を予測してたかのように食い気味に答えるリュウキ。
「オズワイルドの墓を掘り返す訳にもいかないし。勝手に掘り返したら犯罪だろ?」
「そうだよな。」頭を搔きながらリュウキに流し目を送る。
「一応、警察にはオズワイルドが死んでないんじゃないかって訴えたけど。」
さきほど道彦とリュウキで警察に出向き、オズワイルドの墓を調べるよう進言してきたところである。
「警察も半信半疑なんだよ。オズワイルドが怪人事件の黒幕だったというのも本当のところの真相は究明出来ていないらしい。」
リュウキがカウンターに頬杖をついてボヤいた。
「じゃあ、なにか?結局は何も解決してないってこと?」
「そうなんじゃない?」明の質問に道彦が口を尖らして答えた。
「ジャック・オズワイルドが海に転落して死んだ。ジャック・オズワイルドは実は辻チャノフ博士だった。それだけは確かなんだよね。」
リュウキのスマホが鳴るー
「あ、鹿原さん?え!?また怪人が現れたって?わかりました!」
「なんだよリュウキ。また怪人って?」明が直ぐにテレビのスイッチを押した。
若い男性がテレビの中継で叫んでいるー
「大変です!ゴリラの化け物が街中の食べ物を奪っております!大変危険です!皆さん近づかないように!近づか・・・うわぁーっつ!」
5、6人が一度に投げ飛ばされているのがテレビの画面に映し出された。
リュウキはすぐに店を飛び出しバイクに跨った。
「ゴ~リ、ゴリ、ゴリ、ゴリバラ~ス!腹が減ってたまんねーだよ!」黒い毛むくじゃらの怪人が胸をバンバン叩く。
「助けてくれ~!」
「きゃぁあああ!」
大勢の人が入り乱れて逃げていく。
「ブゥウォ~ン!」
大きな排気音が響いた。
「ファイヤー!アヒルタイガー!」
リュウキがそう叫ぶと眩い光が辺りを包んだ。
「ゴリバラス!許さんぞ!」
指差しながらアヒルタイガーが叫んだ。
「なーにを!小癪な!」
両手を上げてゴリバラスが返す。
「瞬速タイガーパーンチ!」
アヒルタイガーが獲物を仕留めるが如く飛びかかった。
しかし、ゴリバラスは伸ばした拳をガシっと掴み、
「ふっ、前回のデータからそのような攻撃は想定内なんだよ!」
と逆にアヒルタイガーの腹部を蹴り上げた。
「うおーっつ!」
転がり回るアヒルタイガー。
なんだ?・・・。戦うごとに敵が強くなってないか?・・・。
データ・・・。そうか、すべて分析されてるのか。
「タイガースライディングキック!」
滑り込みながら突撃しゴリバラスのスネの辺りを蹴り飛ばす。
「No~!」
何故か英語で倒れこむゴリバラス。
「アンド、タイガーエルボー!」
アヒルタイガーも何故か英語で上から肘打ちを食らわした。
立ち上がりクルクルと回るゴリバラスの体から激しい光が放たれ、ゴリラとプロレスラーに分離しそこへ倒れ込んだ。
「ピッ、ピッ」
時計が4分経過を知らせた。アヒルタイガーは5分あまりで遺伝子が分離されリュウキに戻ってしまうのだ。慌ててアヒルタイガーは立ち去った。
鹿原の研究室ー
カチャカチャ。タイピングの音が静かに響いている。
「・・・だと思うんです。」リュウキの声。
「なるほどね。敵はデータで分析して戦ってるってことか。」
タイプを打つ手を止め鹿原が振り向いた。
「ええ。戦うごとに強くなってますし。また、何かの実験台にでもされてるんじゃないかと・・・。」
「そうだな。十分考えられる話だ。研究成果を上げたいがためにタブーを犯す科学者はたくさんいる。名誉や金のためにな。でも、誰がってのはまだ検討もつかないな。」
そう言うと、またパソコンに向き直りカチャカチャとキーボードを叩き始めた。
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