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エピソード5
窮途末路
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アヒルタイガー
エピソード5
窮途末路
「ファイル、盗られちゃったね。」道彦が申し訳なさそうに言った。
「気にしなくていいよ。でも・・・どんな事が書いてあったんだろ。」考え込むリュウキ。
「なんだよ、そのオズなんとかって?」そう言いながら車を降りると、
「うわっ、ひでっ、ちょータイヤ磨り減ってるよ・・・。」明がしゃがみこんだ。
数時間後―
「ギャー!」
銀行から飛び出す人たち。
「ヤーギバラース!紙が大好きなーにょ!メメメメメェーッツ!」
両手に札束を握りむしゃむしゃと紙幣を食べるヤギバラス。
「け、警察ですか!バ、バケモノが・・・うわーっつ!」
受話器ごと投げ飛ばされる銀行員。
「さあ、早く来いアヒルタイガー!にゃにをしているのだーっつ!」
リュウキの部屋―
スマホが鳴る―
「あ、リュウキ君か。怪物が銀行を襲っているようじゃ。だが君は決して行くんじゃないぞ。
君の身体は今戦うと危険な状態だ。わかっとるな。」
そういうと博士は電話を切った。
「待てーっ!ヤギバラス!」
「メメメメェー!やっと現れたかアヒルタイガー!」
両手に札束を持ちながらヤギバラスが答えた。
リュウキは結局アヒルタイガーに変身し銀行に来てしまっていた。
飛び上がるヤギバラス。素早く両手を出してアヒルタイガーの胸部を突き飛ばした。
「ぐはーっ!」ろっ骨のあたりを押さえうずくまるアヒルタイガー。
「タイガーボディプレス!」アヒルタイガーは全身をヤギバラスに投げ出しぶつかった。
「うぎゃー!メメメメーッ!」ヤギバラスはヤギと羊に分裂し、逃げていった。
リュウキの部屋―
「わちゃー。また腫れてるよ。」わき腹のあたりに湿布を張るリュウキ。
幸運にもあまりひどくはなってないようだ。部屋のかべにもたれ天井を見上げる。
―このままじゃ身が持たない。ジャック・オズワイルドを倒さないと、こんな戦いがくり返されるだけだ―。
ふーっ、とため息をついた後、知らぬ間にリュウキはレイナの事を考えていた。
「レイナちゃん、いつも明るくしているのに・・・ほんとは大変なんだな・・・。」
数日後、郵便局―
「リュウキ!やっと仕事復帰かよ!」翔がリュウキに声をかける。
「ああ、長く休んでもいられないからね。」微笑むリュウキ。
しばらく雑談した後、
「あ、あのさ・・・。」
「何だよ。急に。」翔が遠慮がちに言うので面くらってリュウキが答えた。
「実はさ、今夜、レイナちゃんとデートなんだ・・・オレ。」
リュウキの肩ごしにレイナに目をやる翔。
「え?!そ、そうなんだ。」思いもよらない言葉に戸惑うリュウキ。
あ、あれ、なんでだろ?なんでこんな嫌な気分になるんだろ?
「よ、よかったじゃん、そりゃ。なんてたってアイドルだからね。レイナちゃんは。」
「だろ、すげーだろ!。」喜ぶ翔にリュウキはぎこちなく笑った。
その夜―
仕事を終えたリュウキはロッカーで着替えていた。
「翔・・・もう帰ったのか。デートとか言ってたよな」。翔のロッカーを眺めながらつぶやいた。ふと床をみると手紙らしきものが落ちている。
“TO SYO ”
翔あての手紙のようだ。拾い上げて裏を返すと・・・。
“J ”という文字が目に飛び込んできた。あっという間に中の手紙を出すリュウキ。
中の手紙は英語だった。なんとか読んでみる。ショー、アヒルタイガーをおびき寄せるのだ。手段は問わない―。と書いてあるようだ。
リュウキは急いでロッカー室を出た。そして車庫に置いてあるバイクに飛び乗ると急発進させた。
「翔の話じゃ、駅前のフランス料理屋だったはずだ!」ものすごいスピードでリュウキのバイクはフランス料理屋「ス・ラ・エトワール」へ向かった。
駅前の通りに出ると店の前でタクシーに乗る二人が見えた。
「待てーっつ!」
タクシーは急に走り出した。それも異常な速さで加速した。
「くそーっつ!」
リュウキは見失わないよう必死に追いかけた。
巨大な倉庫が立ち並ぶ波止場―
「くっ・・・。ここに来たはずだ。どこへ行ったんだ?」
すると遠くから近づいてくる人影が・・・。ゆっくりと明かりが顔を照らし出す。
「翔・・・。」目を大きく開くリュウキ。
翔の顔は目が血走り、口元がニヤリとゆがんでいる。
「レイナ・・・。レイナちゃんはどこだ!」リュウキが叫ぶ。
翔が顔をクイッとひねり、アゴで場所を指した。
倉庫の非常階段の踊り場にロープで縛りつけられている。眠っているようだ。
「翔・・・。どうしたんだ?しっかりしろ!」リュウキが翔に問いかける。すると・・・。
「リュウキ・・・。」「リュウキ・・・。」
周りからいくつも声が聞こえる。振り返ると、明、道彦、裕也も翔と同じような顔つきで立っている。
「ど、どうなってるんだ!」驚くリュウキ。
「はっはっはっは!」倉庫の非常階段から声がする。振り向くリュウキ。
ジャック・オズワイルドの部下、ジョージ・ボーノであった。
「彼らは私の最高傑作なのだよ。リュウキ・・・いや、アヒルタイガー!彼らの無意識層に入り込みコントロールしているのだ。親友たちを相手にどう戦うのだ?アヒルタイガー?はっはっはっはー!」
ジリジリッと明たちがリュウキに歩み寄った。
エピソード5
窮途末路
「ファイル、盗られちゃったね。」道彦が申し訳なさそうに言った。
「気にしなくていいよ。でも・・・どんな事が書いてあったんだろ。」考え込むリュウキ。
「なんだよ、そのオズなんとかって?」そう言いながら車を降りると、
「うわっ、ひでっ、ちょータイヤ磨り減ってるよ・・・。」明がしゃがみこんだ。
数時間後―
「ギャー!」
銀行から飛び出す人たち。
「ヤーギバラース!紙が大好きなーにょ!メメメメメェーッツ!」
両手に札束を握りむしゃむしゃと紙幣を食べるヤギバラス。
「け、警察ですか!バ、バケモノが・・・うわーっつ!」
受話器ごと投げ飛ばされる銀行員。
「さあ、早く来いアヒルタイガー!にゃにをしているのだーっつ!」
リュウキの部屋―
スマホが鳴る―
「あ、リュウキ君か。怪物が銀行を襲っているようじゃ。だが君は決して行くんじゃないぞ。
君の身体は今戦うと危険な状態だ。わかっとるな。」
そういうと博士は電話を切った。
「待てーっ!ヤギバラス!」
「メメメメェー!やっと現れたかアヒルタイガー!」
両手に札束を持ちながらヤギバラスが答えた。
リュウキは結局アヒルタイガーに変身し銀行に来てしまっていた。
飛び上がるヤギバラス。素早く両手を出してアヒルタイガーの胸部を突き飛ばした。
「ぐはーっ!」ろっ骨のあたりを押さえうずくまるアヒルタイガー。
「タイガーボディプレス!」アヒルタイガーは全身をヤギバラスに投げ出しぶつかった。
「うぎゃー!メメメメーッ!」ヤギバラスはヤギと羊に分裂し、逃げていった。
リュウキの部屋―
「わちゃー。また腫れてるよ。」わき腹のあたりに湿布を張るリュウキ。
幸運にもあまりひどくはなってないようだ。部屋のかべにもたれ天井を見上げる。
―このままじゃ身が持たない。ジャック・オズワイルドを倒さないと、こんな戦いがくり返されるだけだ―。
ふーっ、とため息をついた後、知らぬ間にリュウキはレイナの事を考えていた。
「レイナちゃん、いつも明るくしているのに・・・ほんとは大変なんだな・・・。」
数日後、郵便局―
「リュウキ!やっと仕事復帰かよ!」翔がリュウキに声をかける。
「ああ、長く休んでもいられないからね。」微笑むリュウキ。
しばらく雑談した後、
「あ、あのさ・・・。」
「何だよ。急に。」翔が遠慮がちに言うので面くらってリュウキが答えた。
「実はさ、今夜、レイナちゃんとデートなんだ・・・オレ。」
リュウキの肩ごしにレイナに目をやる翔。
「え?!そ、そうなんだ。」思いもよらない言葉に戸惑うリュウキ。
あ、あれ、なんでだろ?なんでこんな嫌な気分になるんだろ?
「よ、よかったじゃん、そりゃ。なんてたってアイドルだからね。レイナちゃんは。」
「だろ、すげーだろ!。」喜ぶ翔にリュウキはぎこちなく笑った。
その夜―
仕事を終えたリュウキはロッカーで着替えていた。
「翔・・・もう帰ったのか。デートとか言ってたよな」。翔のロッカーを眺めながらつぶやいた。ふと床をみると手紙らしきものが落ちている。
“TO SYO ”
翔あての手紙のようだ。拾い上げて裏を返すと・・・。
“J ”という文字が目に飛び込んできた。あっという間に中の手紙を出すリュウキ。
中の手紙は英語だった。なんとか読んでみる。ショー、アヒルタイガーをおびき寄せるのだ。手段は問わない―。と書いてあるようだ。
リュウキは急いでロッカー室を出た。そして車庫に置いてあるバイクに飛び乗ると急発進させた。
「翔の話じゃ、駅前のフランス料理屋だったはずだ!」ものすごいスピードでリュウキのバイクはフランス料理屋「ス・ラ・エトワール」へ向かった。
駅前の通りに出ると店の前でタクシーに乗る二人が見えた。
「待てーっつ!」
タクシーは急に走り出した。それも異常な速さで加速した。
「くそーっつ!」
リュウキは見失わないよう必死に追いかけた。
巨大な倉庫が立ち並ぶ波止場―
「くっ・・・。ここに来たはずだ。どこへ行ったんだ?」
すると遠くから近づいてくる人影が・・・。ゆっくりと明かりが顔を照らし出す。
「翔・・・。」目を大きく開くリュウキ。
翔の顔は目が血走り、口元がニヤリとゆがんでいる。
「レイナ・・・。レイナちゃんはどこだ!」リュウキが叫ぶ。
翔が顔をクイッとひねり、アゴで場所を指した。
倉庫の非常階段の踊り場にロープで縛りつけられている。眠っているようだ。
「翔・・・。どうしたんだ?しっかりしろ!」リュウキが翔に問いかける。すると・・・。
「リュウキ・・・。」「リュウキ・・・。」
周りからいくつも声が聞こえる。振り返ると、明、道彦、裕也も翔と同じような顔つきで立っている。
「ど、どうなってるんだ!」驚くリュウキ。
「はっはっはっは!」倉庫の非常階段から声がする。振り向くリュウキ。
ジャック・オズワイルドの部下、ジョージ・ボーノであった。
「彼らは私の最高傑作なのだよ。リュウキ・・・いや、アヒルタイガー!彼らの無意識層に入り込みコントロールしているのだ。親友たちを相手にどう戦うのだ?アヒルタイガー?はっはっはっはー!」
ジリジリッと明たちがリュウキに歩み寄った。
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