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エピソード4
陰謀詭計
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アヒルタイガー
エピソード4
陰謀詭計
病室―
「大丈夫かよー。」
唐島翔がそう言いながら病室に飛び込んできた。
そのあとすぐに入り口から濃い眉毛の男が顔を出す。
「お前がアメフトしたって?」
カフェ「ハッピネス」のオーナー松山明である。
「サッカーならわかるけどさ・・・」
音原道彦があとから続く。
「はい、果物盛り合わせ。」
最後は、大垣裕也が現れた。
実はこの4人、リュウキの高校時代の同級生なのである。翔と明についてはすでに紹介しているとおり郵便局員とカフェのオーナー。道彦は学校の先生、裕也はホテルマンである。
「しかしさあ、なんでアメフトなの?」
まだあどけなさが残る童顔の道彦がベッドに腰掛け、聞いた。
「いや・・・と、友達がさあー、し、しつこく誘うから・・・断れなくてさ・・・。」
「友達?そんなの聴いてないぜ。」と明。
「あー、最近。最近できた友達なんだ。」とリュウキ。
「ふーん。」4人が声をそろえた。
「でもさ、肋骨にヒビが入ってるんでしょ?あと、膝も。」裕也が心配そうにリュウキを見る。
「お前、仕事のことも考えろよなー。」翔があきれた顔でリュウキの頭を突く。
「みんな・・・心配かけてゴメン。これから気をつけるよ・・・。」
「ホントだぜ。」と明。
5人の雑談と笑い声が、しばらくの間続いた・・。
薄暗い地下室―
「クックックッ・・・・。」冷徹な笑い声が低く響いた。
「何が可笑しいのです?オズワイルド博士。」若い科学者が聞いた。
「ボーノ君。アヒルタイガーにいつまで手間取っている気だ?」
「いえ、そのような。必ず今度こそは倒してご覧にいれます。」
そう答えた若い科学者は胸に“ジョージ・ボーノ”というネームプレートをつけている。
「君が優秀だと思うから私の研究成果をすべて講義しておるのだ。やる気があるのかね、君は。」
背を向けたまま話すオズワイルド。
「もうしばらくのチャンスを・・・」懇願するジョージ・ボーノ。
「いいだろう。期待しておるよ・・・。クックックッ・・・。」
再び病室―
「リュウキくん。」
ベッドで雑誌を見ていたリュウキは視線を入り口に向けた。
「レイナちゃん・・・。」
そこに立っていたのは春野レイナであった。
「大丈夫?」とレイナ。
「ああ、平気。これぐらい・・・。」
「はい、これ。」レイナは家で作ったサンドイッチをリュウキに渡した。
「病院て食べ物合わなかったりするでしょ。だから・・・。」
「あ、ありがと。」
しばらくの沈黙のあとリュウキが口を開いた。
「あ、あの時どうしてこの病院にいたの?」
ウシバラスがこの病院で暴れていたとき、レイナがいたのだ。
「実はね・・・。この病院に弟が入院してるの。心臓病で・・・。だからいつもここに通ってるのよ。郵便局でバイトしてるのも自分で学費とかなんとかしたいなって・・・。あんまり足しにもなってないんだけど・・・。」
そう言うと、レイナはうつむいたまま泣いてしまった。
リュウキはなんと声をかけていいか分からず、ただうろたえていた。
数週間後―
「お前、太ったんじゃねーの?」
明がリュウキの身体を足から頭まで何度も見直す。
「良かったね。意外と早い退院じゃん。」道彦がニコリ。
明と道彦が病院まで迎えに来てくれたのである。
「ごめん。助かるよ。」
リュウキの両親は遠いところに住んでいて、心配かけないように今回のことは知らせていないのだ。
「さあさあ、オレの豪華絢爛のリムジンへどうぞー。」明が両手を広げてオーバーに振舞う。
「リムジンて、ボロボロのミニクーパーじゃん!」と道彦が笑う。
「あ、言うねー。」
三人はミニクーパーに乗り込んだ。
「ニュースの続報です・・・。1週間前に襲われたプリンス製紙の工場が再び襲われ大量の紙が怪物に食べられました。その模様を現場より伝えていただきます・・・。」
と、明の車のカーラジオから流れた。
「おいおい、今度は紙かよ。いったいどうなってるんだ?」明が首をすぼめる。
「あ、そうそう、リュウキから頼まれてた調べ物。ジャック・オズワイルドだっけ?遺伝子工学の科学者でしょ。確かにMITを出て行方不明になってるよ。僕の知り合いでアメリカの大学で研究してる知り合いがいるんだけど、その人に調べてもらったんだ。」
と、その時、車の前をヤギが横切った。
「うわーっつ!」急ハンドルを切る明。
ヤギは車に突進し、窓から道彦が持っていたジャック・オズワイルドに関する資料が入ったファイルをくわえ、逃げていった。
「ちょ、ちょっとー!」道彦が手を伸ばすが車は横すべりをしてヤギから離れていって止まった。
「メェーッツ!」
普通のヤギではないことは3人の目に明らかだった。
「あれ、ヤギバラスっていうんだよ、きっと。」道彦がつぶやいた。
エピソード4
陰謀詭計
病室―
「大丈夫かよー。」
唐島翔がそう言いながら病室に飛び込んできた。
そのあとすぐに入り口から濃い眉毛の男が顔を出す。
「お前がアメフトしたって?」
カフェ「ハッピネス」のオーナー松山明である。
「サッカーならわかるけどさ・・・」
音原道彦があとから続く。
「はい、果物盛り合わせ。」
最後は、大垣裕也が現れた。
実はこの4人、リュウキの高校時代の同級生なのである。翔と明についてはすでに紹介しているとおり郵便局員とカフェのオーナー。道彦は学校の先生、裕也はホテルマンである。
「しかしさあ、なんでアメフトなの?」
まだあどけなさが残る童顔の道彦がベッドに腰掛け、聞いた。
「いや・・・と、友達がさあー、し、しつこく誘うから・・・断れなくてさ・・・。」
「友達?そんなの聴いてないぜ。」と明。
「あー、最近。最近できた友達なんだ。」とリュウキ。
「ふーん。」4人が声をそろえた。
「でもさ、肋骨にヒビが入ってるんでしょ?あと、膝も。」裕也が心配そうにリュウキを見る。
「お前、仕事のことも考えろよなー。」翔があきれた顔でリュウキの頭を突く。
「みんな・・・心配かけてゴメン。これから気をつけるよ・・・。」
「ホントだぜ。」と明。
5人の雑談と笑い声が、しばらくの間続いた・・。
薄暗い地下室―
「クックックッ・・・・。」冷徹な笑い声が低く響いた。
「何が可笑しいのです?オズワイルド博士。」若い科学者が聞いた。
「ボーノ君。アヒルタイガーにいつまで手間取っている気だ?」
「いえ、そのような。必ず今度こそは倒してご覧にいれます。」
そう答えた若い科学者は胸に“ジョージ・ボーノ”というネームプレートをつけている。
「君が優秀だと思うから私の研究成果をすべて講義しておるのだ。やる気があるのかね、君は。」
背を向けたまま話すオズワイルド。
「もうしばらくのチャンスを・・・」懇願するジョージ・ボーノ。
「いいだろう。期待しておるよ・・・。クックックッ・・・。」
再び病室―
「リュウキくん。」
ベッドで雑誌を見ていたリュウキは視線を入り口に向けた。
「レイナちゃん・・・。」
そこに立っていたのは春野レイナであった。
「大丈夫?」とレイナ。
「ああ、平気。これぐらい・・・。」
「はい、これ。」レイナは家で作ったサンドイッチをリュウキに渡した。
「病院て食べ物合わなかったりするでしょ。だから・・・。」
「あ、ありがと。」
しばらくの沈黙のあとリュウキが口を開いた。
「あ、あの時どうしてこの病院にいたの?」
ウシバラスがこの病院で暴れていたとき、レイナがいたのだ。
「実はね・・・。この病院に弟が入院してるの。心臓病で・・・。だからいつもここに通ってるのよ。郵便局でバイトしてるのも自分で学費とかなんとかしたいなって・・・。あんまり足しにもなってないんだけど・・・。」
そう言うと、レイナはうつむいたまま泣いてしまった。
リュウキはなんと声をかけていいか分からず、ただうろたえていた。
数週間後―
「お前、太ったんじゃねーの?」
明がリュウキの身体を足から頭まで何度も見直す。
「良かったね。意外と早い退院じゃん。」道彦がニコリ。
明と道彦が病院まで迎えに来てくれたのである。
「ごめん。助かるよ。」
リュウキの両親は遠いところに住んでいて、心配かけないように今回のことは知らせていないのだ。
「さあさあ、オレの豪華絢爛のリムジンへどうぞー。」明が両手を広げてオーバーに振舞う。
「リムジンて、ボロボロのミニクーパーじゃん!」と道彦が笑う。
「あ、言うねー。」
三人はミニクーパーに乗り込んだ。
「ニュースの続報です・・・。1週間前に襲われたプリンス製紙の工場が再び襲われ大量の紙が怪物に食べられました。その模様を現場より伝えていただきます・・・。」
と、明の車のカーラジオから流れた。
「おいおい、今度は紙かよ。いったいどうなってるんだ?」明が首をすぼめる。
「あ、そうそう、リュウキから頼まれてた調べ物。ジャック・オズワイルドだっけ?遺伝子工学の科学者でしょ。確かにMITを出て行方不明になってるよ。僕の知り合いでアメリカの大学で研究してる知り合いがいるんだけど、その人に調べてもらったんだ。」
と、その時、車の前をヤギが横切った。
「うわーっつ!」急ハンドルを切る明。
ヤギは車に突進し、窓から道彦が持っていたジャック・オズワイルドに関する資料が入ったファイルをくわえ、逃げていった。
「ちょ、ちょっとー!」道彦が手を伸ばすが車は横すべりをしてヤギから離れていって止まった。
「メェーッツ!」
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