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エピソード3
黒幕
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アヒルタイガー
エピソード3
黒幕
「わしは若い頃MITで遺伝子工学を研究していたのじゃが、そこでジャック・オズワイルド博士という優秀な科学者と出会ったんじゃ。彼は優秀な科学者だったが野心家でな、危険な男じゃった。その後、彼がその研究を利用し世界征服を企んでいるという噂が広まってな、わしは信じておったが、ある日、彼の研究室で化け物の実験をしているところを見てしまったのじゃ。その事を遺伝子工学の学会で問いただしたところ、数日後に彼は行方不明となってしまってな・・・。」
博士は窓の外を見たまま静かに目を閉じた。
「そのジャック一味がこの事件の黒幕ということですか。」
「おそらくな・・・。」
そう言うと博士は研究室の奥の部屋へ消えていった。
カラン。小さなカフェの扉を開くと音が鳴った。
「よぉ、リュウキ。久しぶりじゃないか。」
眉毛の濃い男がふりむいた。カフェのオーナー、松山明である。
「いつもの。」
カウンターの椅子を引きながらリュウキが答えた。
「カプチーノだよな。」
ここはリュウキがよく来る「ハッピネス」という郵便局近くにある、おしゃれなカフェである。
「最近見なかったな。何かあったのか?」
カップにカプチーノを注ぎながら明が尋ねた。
「うん。いろいろあってね。」
明は何でも相談できる友達だがアヒルタイガーのことを言えるわけがない。
「続いてのニュースです。昨日郵便局のATMが襲われた事件の続報です。」
カウンターの奥にあるラジオからニュースが流れた。
「このカフェの近くだよな。カンガルーがATMを襲ったんだって?」
明が洗い物をしながら言った。
「現場付近で発見されたカンガルーは上野動物園から行方不明になったカンガルーであることが判明しました。同じくその場に倒れていた女性も行方不明になっていたキャンペンガールだったということです。また、本日“ジャッカー”と名乗る声明文が警察に届き、一連の事件が組織的犯罪である可能性が高まりました。」
「ジャッカー?。ジャック・・・オズワイルド?。」リュウキは無意識に呟いた。
数日後―
リュウキは病院に配達に来ていた。
「ご苦労様。そこに郵便物を置いといてね。」女性看護士の一人が忙しそうに走り回りながら言った。
次の瞬間、ドーン!という地鳴りがして病院の建物が揺れた。
「何が起こったんだ。」とリュウキ。
辺りを見まわすが、驚いて逃げ惑う人ばかり。
ドーン!という音が再び響き、また建物が揺れた。
地震かと思ったその時、廊下の壁に何かが突進してきた。
ドーン!音の正体はこの衝撃音だったのだ。
「ウッシッシッシ、ウシバラース!スペインより参りました闘牛なのだー。」
恐るべき速さでこちらへ向かってくるウシバラス。突き飛ばされていく人たち。
「危ない!」
ウシバラスに突き飛ばされそうになった女性を抱きかかえて転がるリュウキ。
「大丈夫ですか?」
起き上がりながら話しかけると、なんと春野レイナだった。
「レイナちゃん?どうしてここに?」
「ウッシッシッシ、ウシバラス様を誰も止めることはできないのだ。ウシーッ!」
周りの人に突進していくウシバラス。
「くそーっ!」レイナがいるのでアヒルタイガーに変身できないリュウキ。
「ウッシッシッシー!」ウシバラスが建物の外に飛び出していった。
「待てーっ!」追いかけるリュウキ。
リュウキは玄関に停めてあった赤バイクに飛び乗り、急発進させた。ハンドルのボタンを押すと赤バイクは変形し「スピードモンスター」となった。
ドドド・・・!走るウシバラス。
リュウキは「スピードモンスター」の上に立ち、飛び上がりながら腕をクロスし、
「ファイヤー!アヒルタイガー!」と叫びGショックのボタンを押した。
リュウキの体を光が包み、アヒルタイガーに変身した。
ドガッ!
アヒルタイガーのキックがウシバラスの背中に命中し、ウシバラスがバランスを崩す。
「誰だーっ!我輩の突進を邪魔するヤツはー!」
「おい、ウシバラス!これ以上この街を破壊することは許さない!」
「やっと現れたかアヒルタイガー。お前をおびき寄せるために暴れていたのだーっ。」
アヒルタイガーに突進するウシバラス。
ガシッ!
ウシバラスがアメフトの選手よろしく肩からアヒルタイガーの両脚にぶつかった。
「うがっつ!」
空中に投げ出されるアヒルタイガー。何回も宙返りをした後、地面に叩きつけられた。
ふらふらと立ち上がるアヒルタイガー。
その背後からまたもウシバラスが突進してくる。
「グアーッツ!」アヒルタイガーは、まるで逆上がりをしているようにくるくる回りながら再び地面に打ち付けられた。
「ウシシシシッ!口ほどにもない!スペインではお前程度のヒーローは通用しないのだー。」
最後とばかりに突進するウシバラス。
アヒルタイガーは必死に起き上がり、上体を後ろへ倒しながら飛び上がり、両足を差し出し、
「ガーガーカウンターダブルキック!」と叫んだ。
ウシバラスの顔面を30センチの両足が捕えた。歪むウシバラスの顔。まるで正面衝突した自動車のように両者ともはじけ飛んだ。そのままウシバラスは牛に変わりその場に倒れこんだ。それを見届けたアヒルタイガーは膝から倒れ落ち、気を失った。
辻チャノフ博士の自宅―
「リュウキ君・・・。リュウキ君・・・。」
うっすらと視界が戻ってくるリュウキ。
「は・・・博士。」
「危ないところじゃったの・・・。わしが急いで駆けつけたので誰にも見つからずに君を助けることができたのじゃ。君がアヒルタイガーと判れば、君の身が危ないからのぅ。」
「あ・・ありがとうございます・・・。」
リュウキの身体は傷だらけであった。
エピソード3
黒幕
「わしは若い頃MITで遺伝子工学を研究していたのじゃが、そこでジャック・オズワイルド博士という優秀な科学者と出会ったんじゃ。彼は優秀な科学者だったが野心家でな、危険な男じゃった。その後、彼がその研究を利用し世界征服を企んでいるという噂が広まってな、わしは信じておったが、ある日、彼の研究室で化け物の実験をしているところを見てしまったのじゃ。その事を遺伝子工学の学会で問いただしたところ、数日後に彼は行方不明となってしまってな・・・。」
博士は窓の外を見たまま静かに目を閉じた。
「そのジャック一味がこの事件の黒幕ということですか。」
「おそらくな・・・。」
そう言うと博士は研究室の奥の部屋へ消えていった。
カラン。小さなカフェの扉を開くと音が鳴った。
「よぉ、リュウキ。久しぶりじゃないか。」
眉毛の濃い男がふりむいた。カフェのオーナー、松山明である。
「いつもの。」
カウンターの椅子を引きながらリュウキが答えた。
「カプチーノだよな。」
ここはリュウキがよく来る「ハッピネス」という郵便局近くにある、おしゃれなカフェである。
「最近見なかったな。何かあったのか?」
カップにカプチーノを注ぎながら明が尋ねた。
「うん。いろいろあってね。」
明は何でも相談できる友達だがアヒルタイガーのことを言えるわけがない。
「続いてのニュースです。昨日郵便局のATMが襲われた事件の続報です。」
カウンターの奥にあるラジオからニュースが流れた。
「このカフェの近くだよな。カンガルーがATMを襲ったんだって?」
明が洗い物をしながら言った。
「現場付近で発見されたカンガルーは上野動物園から行方不明になったカンガルーであることが判明しました。同じくその場に倒れていた女性も行方不明になっていたキャンペンガールだったということです。また、本日“ジャッカー”と名乗る声明文が警察に届き、一連の事件が組織的犯罪である可能性が高まりました。」
「ジャッカー?。ジャック・・・オズワイルド?。」リュウキは無意識に呟いた。
数日後―
リュウキは病院に配達に来ていた。
「ご苦労様。そこに郵便物を置いといてね。」女性看護士の一人が忙しそうに走り回りながら言った。
次の瞬間、ドーン!という地鳴りがして病院の建物が揺れた。
「何が起こったんだ。」とリュウキ。
辺りを見まわすが、驚いて逃げ惑う人ばかり。
ドーン!という音が再び響き、また建物が揺れた。
地震かと思ったその時、廊下の壁に何かが突進してきた。
ドーン!音の正体はこの衝撃音だったのだ。
「ウッシッシッシ、ウシバラース!スペインより参りました闘牛なのだー。」
恐るべき速さでこちらへ向かってくるウシバラス。突き飛ばされていく人たち。
「危ない!」
ウシバラスに突き飛ばされそうになった女性を抱きかかえて転がるリュウキ。
「大丈夫ですか?」
起き上がりながら話しかけると、なんと春野レイナだった。
「レイナちゃん?どうしてここに?」
「ウッシッシッシ、ウシバラス様を誰も止めることはできないのだ。ウシーッ!」
周りの人に突進していくウシバラス。
「くそーっ!」レイナがいるのでアヒルタイガーに変身できないリュウキ。
「ウッシッシッシー!」ウシバラスが建物の外に飛び出していった。
「待てーっ!」追いかけるリュウキ。
リュウキは玄関に停めてあった赤バイクに飛び乗り、急発進させた。ハンドルのボタンを押すと赤バイクは変形し「スピードモンスター」となった。
ドドド・・・!走るウシバラス。
リュウキは「スピードモンスター」の上に立ち、飛び上がりながら腕をクロスし、
「ファイヤー!アヒルタイガー!」と叫びGショックのボタンを押した。
リュウキの体を光が包み、アヒルタイガーに変身した。
ドガッ!
アヒルタイガーのキックがウシバラスの背中に命中し、ウシバラスがバランスを崩す。
「誰だーっ!我輩の突進を邪魔するヤツはー!」
「おい、ウシバラス!これ以上この街を破壊することは許さない!」
「やっと現れたかアヒルタイガー。お前をおびき寄せるために暴れていたのだーっ。」
アヒルタイガーに突進するウシバラス。
ガシッ!
ウシバラスがアメフトの選手よろしく肩からアヒルタイガーの両脚にぶつかった。
「うがっつ!」
空中に投げ出されるアヒルタイガー。何回も宙返りをした後、地面に叩きつけられた。
ふらふらと立ち上がるアヒルタイガー。
その背後からまたもウシバラスが突進してくる。
「グアーッツ!」アヒルタイガーは、まるで逆上がりをしているようにくるくる回りながら再び地面に打ち付けられた。
「ウシシシシッ!口ほどにもない!スペインではお前程度のヒーローは通用しないのだー。」
最後とばかりに突進するウシバラス。
アヒルタイガーは必死に起き上がり、上体を後ろへ倒しながら飛び上がり、両足を差し出し、
「ガーガーカウンターダブルキック!」と叫んだ。
ウシバラスの顔面を30センチの両足が捕えた。歪むウシバラスの顔。まるで正面衝突した自動車のように両者ともはじけ飛んだ。そのままウシバラスは牛に変わりその場に倒れこんだ。それを見届けたアヒルタイガーは膝から倒れ落ち、気を失った。
辻チャノフ博士の自宅―
「リュウキ君・・・。リュウキ君・・・。」
うっすらと視界が戻ってくるリュウキ。
「は・・・博士。」
「危ないところじゃったの・・・。わしが急いで駆けつけたので誰にも見つからずに君を助けることができたのじゃ。君がアヒルタイガーと判れば、君の身が危ないからのぅ。」
「あ・・ありがとうございます・・・。」
リュウキの身体は傷だらけであった。
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