辺境伯令嬢は冒険者としてSランクを目指す

柚木ゆきこ

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第2章 冒険者編 ~シャルモンの街~

ギルド長に討伐報告しました

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初めての依頼で知らない人に絡まれました の話で

マリオンのセリフを以下の様に変更しています。
 
修正前
昔は飛び級というシステムがありましたが、つい10年ほど前に廃止されておりますので

修正後
上位の冒険者やギルド職員の推薦があった場合、昇級試験を受ける事が可能です。

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 討伐を終え、ゴブリンの魔石を回収する。
私が魔法で掘った大穴は、ゴブリンを全滅させた後にきちんと戻しておいた。
そこでもロランは、驚いた顔をしたり、睨んだりしている。顔がとても忙しそうだ。

 全ての魔石とゴブリンメイジが持っていた杖を回収すると、土魔法が使えるのは一本だけのようだ。
それを伝えると、「まじか……」とロランはロランで何かを考え始めている。
魔の森の奥に行けば、属性を持つ敵は多くなる。
ゴブリンメイジも魔の森の奥でよく出てきたから珍しいものでもない。
もしかして、この付近で出ることが珍しいのかな?
 考えても分からなかったので、ロランに声を掛けて、まずはギルドに行くことにした。

 ギルドに着く。
受付はいつものようにマリオンが担当している。

「あ、ロランさんとせ、セリーさん。討伐完了報告ですか?」

 ロランが何も言わないので、はい、と言ってカードを渡そうとすると、ロランから声がかかった。

「今回の討伐依頼だが……ゴブリン10体どころではなかったぞ」
「ど、どういうことでしょう?」
「依頼場所付近に洞窟があり、その中にゴブリンが50体ほどいた。しかも3体のゴブリンメイジ付きだ」
「ゴブリンメイジ……」
「そうだ。」
「少々お待ちください、ギルド長に報告してきます」

慌ててかけていくマリオンさん。私はいつも彼女が走っている姿しか見てないのは気のせいだろうか。

 少しすると戻ってくる。ギルド長が詳しく話を聞く、という事で個室に案内された。

「やあ、ロランくんにセリーくん。そこに座ってくれるかな」

 指示されたソファーの前にはギルド長が座っている。この前見たような優しそうな笑顔だ。
だが、目だけは真剣そのもの。少しアンバランスに見える。
 二人で座ると、マリオンさんがお茶を出してくれてすぐに出ていった。

「じゃあ、早速だけど。ロランくん、ゴブリンメイジが出たって本当?依頼の場所を確認したけれど、結構浅い場所だよね」

 地図を指さしながら、ゴブリンメイジがいたこと、ゴブリンが50体以上いたことをロランは説明してくれた。
多分私だったら、こんなに上手く喋れない気がする。
よくお兄様にも言われていたが、私は簡潔に出来事を伝えられない。
途中で喋りが止まったり、要らない情報まで喋ってしまうことがある。
そこはロランの話し方を聞いて勉強すべきだろう。

「で、ゴブリンはすべてロランくんが倒したのかい?」
「いや、倒したのはセリーだ。ゴブリンメイジも含めてな」
「そっか」

 一通り話し終えたらしい。ロランが私の名前を出したことで気づいた。
けど、ギルド長。返事が「そっか」ってどういうことだろう?
 その疑問が顔に出ていたらしい。まあ私も思わず首をひねっていたから、分かり易かったのかもしれない。
ギルド長がポン、と手を頭の上に乗せて私に笑いかけた。

「セリーくんなら討伐できるだろうと思ってね」

 ああ、だから驚かなかったのか。ギルド長は私が辺境伯令嬢という事も知っているし、水晶で私のステータスも見ている。

「ちなみに、ロランくんが言っていたゴブリンが持っている杖を見せてもらえるかい?」

 私は頷くと、3本の杖を収納魔法から出した。一本はもちろん、土魔法が掛けられている。

「ほう、ゴブリンメイジが土魔法の適応者とはねえ。魔の森の奥なら多いんだけど、ロランくんが言っていたところは、奥どころか浅い場所だから珍しいね」

 ギルド長は土魔法を使用していたゴブリンメイジの杖を持つ。すると、彼の目が厳しくなった。
だが、その眼も一瞬の事で、すぐに優しそうな目に戻る。

「報告ありがとう。これは僕だけが判断するのは難しいな。モンテーニュ辺境伯に報告するよ」

 お父様のことだろう……いや、ギルド長のことだからお母様かもしれない。

 これで話が終わったのだろうか分からない。テーブルに置いてある杖はどうしたらいいのだろうか。
もう少し私もお兄様が言うように、空気が読める人になりたい……。

「ちなみに杖は預けた方が良いか?」

 考え込んでいると、ロランが聞いてくれた。私は俯いていた顔をすっとロランに向ける。
ロランは私の顔に気づいたようで、にっこりと笑ってくれた。感謝しかない。

「そうだね、ちょっと借りるね」

 ギルド長は3本の杖を手に取り、隣にあった袋に入れる。
杖の大きさよりも袋が小さいので、収納魔法が掛かっていることは見てわかる。

「この件はあとは僕に任せておいて……あ、そうだ。セリーくん。今君の級は確かFだよね」
「はい、そうです」
「じゃあ、僕が推薦しておくから昇級試験受けてみなよ」
「「えっ?!」」

 いやいや、私が昇級試験は嘘でしょう?ロランだって驚いている。
きっとロランも私が昇級試験を受けるから、驚いているのだろう……

「俺は推薦しようと思っていたのですが、ギルド長からも推薦されるのですか!?」

 あれ?こう聞くとロランも私に昇級試験を受けるのが前提になっている気がするよ?
え?え?私が受けても大丈夫なのかしら……?

「だって、ロランくんが討伐に関して嘘を言うとは思わないし。ゴブリンメイジを一発で倒したなら、昇級試験は受けさせるべきだと思うからね」

 という事で、私は昇級試験を受けることが決定したようです。
うーん、どうしてこうなった?
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