ズボラ飯とお嬢と私

さくま

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第3話 レンチン豆腐とお嬢と私

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「しおりさん、鏡なんてずっと眺めてどうしましたの?」

 背後で同居人のまい子が声をかけてきた。しかし、今はそれどころではない。事情を伝えたところで、小学生のまい子にわかってもらえるはずもない。

 現在、私の頬にはニキビができている。
 美容に頓着がない方ではあるが、流石にこの大きさは辛い。大学生の頃は、徹夜でレポートを書いても、夜中に揚げ物を食べながら酒を飲んでも、メイクを落とさずに眠っても、肌にはなんら影響がなかったのに!20代半ばに差し掛かると、そうはいかなくなるのか…。
 観察しようが睨もうがこのニキビは消えないが、つい気になってしまう。

「ああ、最近できた吹き出物を気にしていらっしゃるのね」
「お嬢、吹き出物じゃなくてニキビだから。これ」

 吹き出物とニキビとでは天と地ほどの差がある。多分。

 まい子は私の反論を気にも留めず、明日の学校の支度をしながら私を追い詰める。

「でも、仕方ないことですわね。最近のしおりさん、夜遅くまで起きてらっしゃいますし、脂っこい食事がお好みのようですし。お年を召しているんですから、しっかりケアされませんと」
「私まだ25なんだけど!」

 まい子はやれやれとでも言いたげに、ふうとため息をついた。

「25歳だから言っているのです」

 悔しくて言葉が出なかった。肌が荒れている上に、小学生に説教までされるなんて。悲しくて悲しくて、小腹が空いてきた。


◯材料
・豆腐(1パック)
・ごま油(小さじ1)
・醤油(小さじ1)
・塩胡椒(2振りくらい)

◯作り方
豆腐をパックからレンジ可の容器に移す。この時に水をしっかり切る。
ごま油、醤油、塩胡椒を豆腐にかける。
レンジで500W3分チンする。
完成!


「またこんな時間にそんなもの食べて!」
「いいんだよ、大人だから」

 調味料が染み込んだ熱々の豆腐を口に入れる。程よい塩気に満足感があるし、豆腐だから罪悪感も少ない。お腹が温まると、今日はなんだか早く眠れそうな気がした。
 もう大人だから、自由にやるのもいいがケアもしっかりしなければ。

「お嬢が寂しそうにしてるし、今日は一緒に寝てあげよっかな~?」

 まい子に小言を言われながら、寝る準備を始める。
 しばらくこのニキビと付き合わなければならなそうだ。しっかり野菜も食べようかな、と浅い誓いを立てながらゆっくりと布団に潜った。

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