ズボラ飯とお嬢と私

さくま

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第13話 いぶりがっことクリームチーズのディップとお嬢と私

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 BAR Summer Eye…開店…

 今宵も迷える子羊達が癒しを求めてこの店に集う。
 店主の夏目が魅せるのは夢か、幻か。

 カランカラン……
 扉が開かれベルが微かに音をたてる。

「いらっしゃいませ」
「もし?」

 そこには可憐な少女が佇んでいた。彼女はまるで小さな花のようで…

「普通に話してくださって?」

 顔をしかめてこちらを睨みつけるが、その瞳もまた愛らしく…


「あの!聞いてらっしゃいます!?」
「…はいはい」


 小学生の女の子に叱られてしまってはBARごっこは中止せざるを得ない。せっかく楽しくマスターをやりたかったのに。今日はなんだかお酒でも飲みたい気分だ。
 まい子にはアップルジュースを、自分はグレープフルーツ味の缶チューハイを準備してグラスを合わせた。

 口をつけるとシュワっとした感覚と果実の酸っぱさが広がる。そうだ、冷蔵庫の中にアレがあるじゃないか。


 ○材料(二人分)
 ・クラッカー(好きなだけ。今回は10枚程度)
 ・クリームチーズ(大さじ3杯)
 ・いぶりがっこ(5切)
 ・オリーブオイル(小さじ1)
 ・塩(ひとつまみ)

 ○作り方
 ・クリームチーズ、オリーブオイル、塩を合わせよく練る。
 ・いぶりがっこは荒微塵にする。(それか手で小さくちぎると洗い物が減る!)
 ・細かくしたいぶりがっこをチーズの器に移し、混ぜる。
 ・クラッカーの上にクリームチーズを盛り付ける。
 ・完成!


「これがめちゃくちゃ美味しいんだよなあ!」

 しかし、まい子はやや不満げな顔だ。

「いぶりがっこなんて、おじさんみたいですわ」
「おいおいおじさんなんて失礼だな!一回食べてみ?お嬢の好きな生ハムもあるよ!」

 お酒のせいで語気が強い私が赤鬼にでも見えただろうか。まい子は渋々クラッカーを口に運ぶ。ザグリと音をたてて味わう姿がなんだか小リスみたいだなと思った。

「…もう一ついただけます?」

 ささやかな宴は20時まで続いたという。
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