元悪役令嬢は何でも屋になる。

葉叶

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トラウマは忘れた頃に戻ってくる。

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その頃はもう流れる涙も残っていなくて、残っているのはみすぼらしい体だけだった。

「おねぇさん死ぬの?」

エルは突然現れた。一枚しかない扉が開いた音はしなかった。

「……っ……死ねるなら…死にたいわ……」

これが幻覚だとしても久しぶりに誰かと話すのが嬉しかった
私を嫌悪し憎悪する目に晒されず普通に話せる事が…嬉しかった。

「駄目だよぉ。おねぇさん名前は?」

プクッと頬を膨らまして私の顔の近くにしゃがみこむ

「ハル…エル…」
「ハルエルか、僕はエル。ハルエル、死ぬ命なら僕に頂戴?」
「……物好きね……こんなみすぼらしい私が…欲しいなんて…」
「どんな見た目でも構わない。君は僕にとって運命の番だからね。だなら僕にハルエルを頂戴?そうしたら僕をハルエルにあげる。」

昔の私なら変な人だと切り捨ててた。
だけど、こんな私を目をギラギラさせて欲する男の子に委ねてみたくなった。

「いいわ……あなたにあげる……だから……お願いっ………私を一人にしないでっ…」

一人はもう嫌だ。孤独はもう嫌だ。誰かに愛されたい。必要とされたい。

「勿論。ずっと、ずーーーーっと一緒だよ」

そう言ってエルは私の胸元に思い切り噛み付いた。
痛みを感じる事すら出来なかった私はただボーッとその様子を見ていた。

「これで契約完了。よーしっ!こんな所さっさと出ちゃお!
新婚な僕達に相応しくないよ!」

ニコニコしながら私を抱き上げてエルは牢屋の壁を壊し、私を牢屋から解放した。

初めて飛ぶ空は気持ち良くて、初めて見た夜空は両親が言っていたよりも綺麗だった。
今思えば昔から私は幸せではなかったのかもしれない。
両親に作られた見えない鳥籠の中で自由も知らず羽ばたく翼をもがれた鳥籠の鳥。

鳥籠を壊して世間体も何も気にせず私の手を引いてくれたエル。
彼だけがあの時私を信じてくれた。彼だけがあの時私の話を聞いてくれた。彼だけが……私を助けてくれた。

「……だから…私はあの国が憎い。
皆を拾ったのは……目がその頃の私に似てたからなの。
世界に絶望してるのに希望を求めて足掻いてる。
誰かに愛されたくて堪らなくて、だけど誰も受け入れてくれない。私には…エルが、クリスが居た。
私は偽善かもしれないけど、もう第二の私を生み出したくなかった。」

エルとの出会いは省いて皆に話した。
あの話だけは、私とエルとクリスの秘密だから。

「私は…今回あの国に喧嘩を売る。
そのせいでDiabloに迷惑がかかると思う
Diabloに所属してるからと殺されるかもしれない。
これは任務じゃない。ただの私の私怨。
だからDiabloから抜けてもいい。皆はもう何にも縛られない、自由な鳥なんだから。
すぐには決められないと思うし、皆の前では言いづらいと思う。
だから、1週間後までに答えを決めて欲しい。
私でもエルでもクリスでもいい。話すのが怖いなら手紙でもいい。私達は貴方達の意見を尊重する。」

私は深くお辞儀をしてエル達と外に出た


「……上手くできてた?」
「うん、ボスらしかったよ」
「バッチリ!!」

二人の笑顔を見てホッと一息つく。

「さて、これから忙しくなっから当分遊んではいらんねぇな!」
「そうね、だけど私達なら平気よ。今までだって困難は沢山あったじゃない」
「そうだねぇ。それでもここまで大きく出来た。
もし誰も来なくてもまた一から始めればいいよ」

二人と手を繋ぎ私達はその場を後にした。


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