元悪役令嬢は何でも屋になる。

葉叶

文字の大きさ
30 / 31
トラウマは忘れた頃に戻ってくる。

2

しおりを挟む
私には物心ついた頃から婚約者がいた。
相手はアンリヴェルグ第三王子。
物語に出てくる王子様の様に優しくて格好良くて、私はそんな彼の隣に立つに相応しい女性になりたくて、沢山努力した。

私は天才ではなかったから人の倍以上努力した。
何もかも順調だった。優しい両親がいて優しい婚約者が居て優しい友達が居て……何もかも順調だった。

私の人生に亀裂が入ったのは私に異母妹が出来てからだった。
突然父が連れてきた妹を見て母は倒れた、父はそんな母を放置し、妹を溺愛した。妹のやる事は何でも笑って許した。
勉強が嫌だと言えば免除し鞄が欲しいと言えば買い与えた。

私は、妹が苦手だった。
誰からも愛される妹。そんな妹が私の前でだけ豹変する。
誰に言っても信じてもらえない。それどころか私が疑われる始末だった。

そんな私の人生が本格的に崩れたのは妹が私の婚約者と出会った時だった。
妹は元々平民の生活をしていたらしく貴族らしからぬ行動をする事が多かった。
父が免除してきたから淑女の知識もなく、感情が表情に出やすかった。そこがまた男性達には好印象だった。

けれど妹は異性に好かれても同性には嫌われやすかった。特に婚約者を持つ男性に対するスキンシップの激しさから忌み嫌われていた。
私は出来るだけ彼女等の愚痴を聞いてガスを抜いて、妹に注意した。

異性とのスキンシップを控えるべきではないか、、婚約者が居る相手に対して距離が近いのはその婚約者も嫌な気持ちになるんじゃないかと問いかけた。それに対して妹は

「何で駄目なんですか?友達として仲良くしてるだけなのに…お姉様酷いですわ…」

そう言って涙を流し父や私の婚約者に泣きついた。

気付けば、私は妹を虐める悪女になってた。
実際そんな事はしていない。
だけどやってもいない罪をきせられつづけ、あの日が来た。

「ハルエル・キングスタン!君との婚約を破棄させてもらう!!」

いつからか私より妹とパーティーに出るようになった婚約者。
いつからか何も言わなくなった私はその日も一人で来ていた。
行きたくなんてなかった。惨めな思いをすると分かってたから。
だけど、卒業パーティーは卒業生は強制出席。
余程の理由が無い限り欠席など出来ない。

だから隅っこで大人しくしていただけなのに、腕に泣く妹と取り巻きを連れ私の婚約者は私を指さし高らかに叫んだ。

「私が…何をしたというのです」
「お前はステアを虐めるだけでは飽き足らず、金で雇った奴等にステアを襲わせようとした!!幾ら公爵令嬢でも許せることでは無い!」
「そんな事…っしておりません!
……その様な噂が流れているのは知っています。ですが私は妹を害した事などありません!」

私が幾ら訴えても誰も信じてくれない。
そして、出てくる捏造された証拠。

「貴様とは婚約破棄をする!!汚い牢獄で死ぬまで罪を償え!!」
「私は…何もしていませんっ…」
「うるさいうるさい!お前が彼女を殺そうした証拠も今まで数々の生徒にしてきたイジメも全てわかっているんだ!兵よ!奴を捕らえろ!」

騎士に拘束され泣きながら訴える私を妹は婚約者の胸の中で笑いながら見てた。

「やめてっ!止めてくださいませっ!私は無実です!何もしていませんっ!信じて下さい!誰か…信じて…!!」

引きずられるように連れて行かれ私は牢屋に入れられた。
次々と出てくる私がしたとされる犯罪の数々。父から言い渡された絶縁。
気付けば私には何もなかった。
毎日尋問と拷問を受けて身も心もボロボロなのに死ねなかった。
自殺をする勇気すら私にはなかった。

そんな時だった。
エルと…出会ったのは。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい

椰子ふみの
恋愛
 ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。  ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!  そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。  ゲームの強制力?  何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

捨てられた悪役はきっと幸せになる

ariya
恋愛
ヴィヴィア・ゴーヴァン公爵夫人は少女小説に登場する悪役だった。 強欲で傲慢で嫌われ者、夫に捨てられて惨めな最期を迎えた悪役。 その悪役に転生していたことに気づいたヴィヴィアは、夫がヒロインと結ばれたら潔く退場することを考えていた。 それまでお世話になった為、貴族夫人としての仕事の一部だけでもがんばろう。 「ヴィヴィア、あなたを愛してます」 ヒロインに惹かれつつあるはずの夫・クリスは愛をヴィヴィアに捧げると言ってきて。 そもそもクリスがヴィヴィアを娶ったのは、王位継承を狙っている疑惑から逃れる為の契約結婚だったはずでは? 愛などなかったと思っていた夫婦生活に変化が訪れる。 ※この作品は、人によっては元鞘話にみえて地雷の方がいるかもしれません。また、ヒーローがヤンデレ寄りですので苦手な方はご注意ください。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

乙女ゲームに転生したモブです!このままだと推しの悪役令嬢が断罪されてしまうのでなんとかしようと思います

ひなクラゲ
恋愛
「結婚してください!」    僕は彼女にプロポーズした    こんな強引な方法しかなかったけど…  でも、このままだと君は無実の罪を着せられて断罪されてしまう  何故わかるかって?  何故ならここは乙女ゲームの世界!  そして君は悪役令嬢  そして僕は…!  ただのモブです

ゲームのシナリオライターは悪役令嬢になりましたので、シナリオを書き換えようと思います

暖夢 由
恋愛
『婚約式、本編では語られないけどここから第1王子と公爵令嬢の話しが始まるのよね』 頭の中にそんな声が響いた。 そして、色とりどりの絵が頭の中を駆け巡っていった。 次に気が付いたのはベットの上だった。 私は日本でゲームのシナリオライターをしていた。 気付いたここは自分で書いたゲームの中で私は悪役令嬢!?? それならシナリオを書き換えさせていただきます

処理中です...