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1章 いらないお姫様
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私が生まれた国は、とても小さな国でした。
気候も良く、晴天に恵まれ、雨に恵まれ、土壌は良く肥えて、作物もたわわに実る。そんな国でした。
そんな小さな豊かな国の、私は第二王女として育ちました。
王である父と王妃である母には、目に入れても痛くないほど可愛い姫がいました。
残念ながら、それは私ではなく、一つ違いのお姉さまでした。
お姉さまは、いつもとても仕立ての良いドレスを着ていらっしゃいました。
まだ小さい頃、お母様が大事に育てているバラ園を軽やかに走る姿はとても美しく、私はお城の窓から、いつもその姿を眺めていました。
どうして一緒にバラ園に行かないのかって?
だって、私はいらない子だから…。
お姉さまの髪は黄金のようにキラキラ輝き、エメラルド色の瞳は本当に宝石のよう。
それに比べて、私の髪は金髪ではあるものの色が薄く、くすんでいて瞳も水色のような薄い青。
だから、お父様もお母様も私のことがお嫌いなようで、お城の塔の上にある私のお部屋からはあまり出てはいけないと言われていました。
もちろん、ドレスもお姉さまのようにレースやフリルがふんだんに使われたものなど着たこともなく、飾りのあまりない平凡なものばかりを着ていました。
羨ましくないかと言えば嘘になりますが、私は私。
お姉さまと違うのなら、お姉さまとは違う幸せがあるに違いないと、日々楽しく過ごすようにしています。
今日も塔の上から空を見上げると、白い鳥が私のすぐ側まできてくれて、可愛く首を傾げました。
「こんにちは。お腹は空いてないかしら?昨日焼いたクッキーがあるの。食べやすいように砕いてあげるわね」
塔の中はあまり広くはないけれど、私の部屋と侍女の部屋があり、キッチンやお風呂も塔の中にある。
王女としては、クッキーを焼いたりすることは、あまり良いことではないのだろうけれど、それを嗜める者はいない。
それに、おやつ等の嗜好品は、あまり私の元へは運ばれて来ないので、食べたければ自分で作るしかない。
私は部屋の戸棚を開けて、いそいそとクッキーを取り出して、小さく砕いた。
手のひらにたくさん小さくなったクッキーを乗せて窓辺に戻ると、鳥さんは窓枠にとまって、大人しく私が来るのを待っていてくれた。
そっと手を差し出すと、鳥は私の手にとまり、つんつんとクッキーを啄む。
自分の作ったものを喜んで食べてもらえるのは、とても嬉しい。
そばにあった椅子に座り、ニコニコとその様子を眺めていると、部屋のドアが勢いよく開けられた。
「姫さま!また鳥にエサをやったりして!またこの間みたく鳥が集まって来ちゃったらとうするんですか!」
元気よく私を怒るのは、私付きの侍女のジュディ。
赤毛の豊かな髪を後ろに三つ編みにし、濃紺のお仕着せを着て両腕を腰に仁王立ちしている。
ジュディは私の乳母のマリーの娘で、私より5歳年上。
頼りになる姉のような存在だ。
…本物の姉は畏れ多くて頼りにすることなんて、できないけど…。
「今日は一羽だけだから、大丈夫よ」
「そのままエサをやり続けたら、あっという間に、また塔の上が鳥だらけになります。それに、そろそろみなさまがお集まりになるお時間ですので、この塔が目立っては困ります」
私は頬を膨らませながら、仕方なく手のひらに乗っているクッキーだけを食べさせて、鳥を大空へと放った。
ふと、下を見ると、いくつかの馬車が門をくぐって中に入るところだった。
「今日、何かあるのかしら?」
ジュディは床に落ちたクッキーのカスを簡単に箒で掃きながら答えた。
「今日はお城で舞踏会があるんです。あの、ワガママ王女が強請ったとかで。お隣のランバラルド王国との戦争の中、よくそんなことができると、不思議で仕方ありません。セリーヌ様は戦場で戦っている国民をなんだとお思いなんでしょうか」
「ジュディ、誰が聞いているかわからないわ。セリーヌお姉さまのお話しは、してはダメよ」
それでもジュディは納得できないようで、今度は床を拭きながらブツブツと言っていた。
「あ、そうだシャーロット様。今日の舞踏会はシャーロット様も出席するようにと、王様からご指示がありました。夕刻の鐘がなる頃、支度を済ませて謁見の間へ来るようにと」
…いつも舞踏会の日は私は塔の上でその様子を眺めていた。
王族として必要な時だけ呼ばれていたのだけれど、今日は…嫌な予感しかしない。
気候も良く、晴天に恵まれ、雨に恵まれ、土壌は良く肥えて、作物もたわわに実る。そんな国でした。
そんな小さな豊かな国の、私は第二王女として育ちました。
王である父と王妃である母には、目に入れても痛くないほど可愛い姫がいました。
残念ながら、それは私ではなく、一つ違いのお姉さまでした。
お姉さまは、いつもとても仕立ての良いドレスを着ていらっしゃいました。
まだ小さい頃、お母様が大事に育てているバラ園を軽やかに走る姿はとても美しく、私はお城の窓から、いつもその姿を眺めていました。
どうして一緒にバラ園に行かないのかって?
だって、私はいらない子だから…。
お姉さまの髪は黄金のようにキラキラ輝き、エメラルド色の瞳は本当に宝石のよう。
それに比べて、私の髪は金髪ではあるものの色が薄く、くすんでいて瞳も水色のような薄い青。
だから、お父様もお母様も私のことがお嫌いなようで、お城の塔の上にある私のお部屋からはあまり出てはいけないと言われていました。
もちろん、ドレスもお姉さまのようにレースやフリルがふんだんに使われたものなど着たこともなく、飾りのあまりない平凡なものばかりを着ていました。
羨ましくないかと言えば嘘になりますが、私は私。
お姉さまと違うのなら、お姉さまとは違う幸せがあるに違いないと、日々楽しく過ごすようにしています。
今日も塔の上から空を見上げると、白い鳥が私のすぐ側まできてくれて、可愛く首を傾げました。
「こんにちは。お腹は空いてないかしら?昨日焼いたクッキーがあるの。食べやすいように砕いてあげるわね」
塔の中はあまり広くはないけれど、私の部屋と侍女の部屋があり、キッチンやお風呂も塔の中にある。
王女としては、クッキーを焼いたりすることは、あまり良いことではないのだろうけれど、それを嗜める者はいない。
それに、おやつ等の嗜好品は、あまり私の元へは運ばれて来ないので、食べたければ自分で作るしかない。
私は部屋の戸棚を開けて、いそいそとクッキーを取り出して、小さく砕いた。
手のひらにたくさん小さくなったクッキーを乗せて窓辺に戻ると、鳥さんは窓枠にとまって、大人しく私が来るのを待っていてくれた。
そっと手を差し出すと、鳥は私の手にとまり、つんつんとクッキーを啄む。
自分の作ったものを喜んで食べてもらえるのは、とても嬉しい。
そばにあった椅子に座り、ニコニコとその様子を眺めていると、部屋のドアが勢いよく開けられた。
「姫さま!また鳥にエサをやったりして!またこの間みたく鳥が集まって来ちゃったらとうするんですか!」
元気よく私を怒るのは、私付きの侍女のジュディ。
赤毛の豊かな髪を後ろに三つ編みにし、濃紺のお仕着せを着て両腕を腰に仁王立ちしている。
ジュディは私の乳母のマリーの娘で、私より5歳年上。
頼りになる姉のような存在だ。
…本物の姉は畏れ多くて頼りにすることなんて、できないけど…。
「今日は一羽だけだから、大丈夫よ」
「そのままエサをやり続けたら、あっという間に、また塔の上が鳥だらけになります。それに、そろそろみなさまがお集まりになるお時間ですので、この塔が目立っては困ります」
私は頬を膨らませながら、仕方なく手のひらに乗っているクッキーだけを食べさせて、鳥を大空へと放った。
ふと、下を見ると、いくつかの馬車が門をくぐって中に入るところだった。
「今日、何かあるのかしら?」
ジュディは床に落ちたクッキーのカスを簡単に箒で掃きながら答えた。
「今日はお城で舞踏会があるんです。あの、ワガママ王女が強請ったとかで。お隣のランバラルド王国との戦争の中、よくそんなことができると、不思議で仕方ありません。セリーヌ様は戦場で戦っている国民をなんだとお思いなんでしょうか」
「ジュディ、誰が聞いているかわからないわ。セリーヌお姉さまのお話しは、してはダメよ」
それでもジュディは納得できないようで、今度は床を拭きながらブツブツと言っていた。
「あ、そうだシャーロット様。今日の舞踏会はシャーロット様も出席するようにと、王様からご指示がありました。夕刻の鐘がなる頃、支度を済ませて謁見の間へ来るようにと」
…いつも舞踏会の日は私は塔の上でその様子を眺めていた。
王族として必要な時だけ呼ばれていたのだけれど、今日は…嫌な予感しかしない。
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