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1章 いらないお姫様
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今まで扇子を口元にあて、黙っているだけだったお母様が赤い顔で私を怒鳴りつける。
「あなたはまだ自分の立場というものをわかっていないのですね!セリーヌは七色の乙女なのですよ!セリーヌは王位継承権第一位。婿を取り、王位を継ぐのです」
「地位も財産もあるものなら、嫁がなくとも婿入りをすることもできるのではないでしょうか。お父様もお母様もお認めになった良縁であれば、私よりもお姉様にとは、お考えにならないのでしょうか」
言っても無駄なことはわかっている。
それでも、自分の心の叫びは無視できなかった。
何故、こんな時だけ第二王女と言われるのか。
「まあっ…!」
お母様は顔をさらに赤らめて、目をつり上げた。
前へ出ようとするお母様を右手で制し、お父様が私を見つめた。
「シャーロット、セリーヌはお前とは違うのだ。セリーヌが産まれた時にはボヌール王国の空に吉兆と言われる7つの虹がかかり、神の御加護がある姫として国を上げて祝福をした。この国を背負って立つ選ばれた者なのだ。お前の嫁ぎ先は良縁と言えるが、王として立つには帝王学等学ぶには時間がたりぬ。セリーヌの夫としては認められんな」
…何を言っても変わらないのだろう。
「かしこまりました。お父様。お母様」
お父様が頷くのを見て、私は謁見の間を後にした。
「姫様っ!」
扉を閉じて完全にお父様達から遮断されると、ジュディが駆け寄ってくる。
「あんまりです!私の姫様が狒々爺と結婚なんて」
私を行かせないよう、腕を掴み涙を必死に堪えるジュディの手を、そっと外す。
「仕方ないわ。お父様、いえ、国王にああ言われてしまっては」
私1人が嫌だと言っても、どうにもならない。
ジュディを安心させるように、微笑みを浮かべる。
「まだお会いしてもいないのよ。もしかしたら、とてもいい人かもしれないじゃない」
気は重いが、ジュディを従えて舞踏会を開いている大広間へと、足を進める。
大丈夫。
私はいつも諦めて生きてきた。
暖かい陽射しの中、走り回ること。
水遊びすること。
大好きな甘いものをたくさん食べること。
そして、一度でいいから、可愛い服を着てみること。借り物ではなく、自分の服を。
そこに、もう一つ加わるだけ。
私を思ってくれる旦那様から選び、選ばれること。
広間に着くと、舞踏会はもう始まっていて、私は侍女から王族の控え室で待つように言われる。
もちろん、ジュディは舞踏会に出られないので、ついてきてくれるのはここまでだ。
ジュディは侍女の控え室があり、そこで待っていてくれる。
私は家族の一員ではないのに、こんな時だけ王族としてでないと、舞踏会に出席もできないのね。
しばらくすると、お母様とお姉様のお化粧直しを終えて3人が姿を現す。
お父様は私をチラッと見て、何も言わずに広間へと足を踏み出した。
お母様がそれに続き、その後に続くお姉様が私を見て笑顔を向けた。
「シャーロット、そんな顔でいてはダメよ。殿方に好かれないわ」
「…そうね。お姉様」
お姉様に手を引かれ、私も広間へと足を踏み入れた。
私にはお姉様が何を考えているのか、今一つわからない。
お姉様は王宮の王族生活区域で育ったが、何故か私は一人塔の上の小さな部屋で育てられた。
健康なのに、世の中には病弱と偽わられ、人前には出されず。
塔の外に出るのを許されるのは、日も暮れて暗くなった王城内の庭だけ。
夏はまだしも、冬は陽の当たらない庭は寒くて、出たくないと泣いてマリーを困らせた。
それでもマリーは「歩かなければ歩けなくなります。いつか、ここを出て行く時に、困るのはシャーロット様です」と言って譲らず、私が本当に病気の時以外は、ほぼ毎日、寒くても暑くても夜に庭を歩くしか体を動かすことができなかった。
そんな私のことをお姉様はどうお思いなのだろう。
王家が広間に入ったと会場内に告げられ、みんなの視線が王族へと集まる。
「みなのもの。今日はよく来た。戦争も続く中、少しでも憂いた気持ちを晴らそうとセレーネが企画した舞踏会だ。楽しんで行ってくれ」
王が挨拶をし、王妃とファーストダンスを踊ると、後は貴族たちがホールのあちらこちらでダンスを踊り出す。
私の隣にいたお姉様は、早々に貴族子息の方々に誘われて、次々とダンスを踊っていた。
できれば。
できることなら、あの公爵達とは会わないで舞踏会を終わらせたいが、そういうわけにもいかないだろう。
それならば、先に飲食コーナーで大好きなケーキをたくさん食べよう。
塔の上には、ケーキ等は支給されないが、舞踏会、パーティではケーキもたくさんあるし、いつも食べないようなお肉の塊もある。
そんなものが食べられるから舞踏会に出るのは好きだったのだけれど、これからはそれすらも嫌いになりそう…。
目立たないように私はこそっとケーキの前に行き、美味しそうなイチゴのケーキを手を伸ばす。
満足したらお見合い相手のおじいちゃん達を探して、挨拶くらいはしておかないと。
気に入られないといいのだけれど…。
自分のドレスではないので、どんなにジュディが頑張ってくれても私には今一つ似合っていない。
うまく着せてくれているから目立つほどではないが、お姉様より小さい私は、ドレスが大きくて着られている感半端ないのだ。
お化粧も、自分の道具は持っていないので、パウダールームにある予備のものを使っているので、色味なども私に似合うものではない。
それなのに、ここまでキレイに仕上げてくれるジュディの腕は大したものだと思う。
クリームたっぷりのケーキを大きな口を開けて思いっきり頬張る。
あぁ~、幸せ。
本当にもう食べたら帰りたい。
「あなたはまだ自分の立場というものをわかっていないのですね!セリーヌは七色の乙女なのですよ!セリーヌは王位継承権第一位。婿を取り、王位を継ぐのです」
「地位も財産もあるものなら、嫁がなくとも婿入りをすることもできるのではないでしょうか。お父様もお母様もお認めになった良縁であれば、私よりもお姉様にとは、お考えにならないのでしょうか」
言っても無駄なことはわかっている。
それでも、自分の心の叫びは無視できなかった。
何故、こんな時だけ第二王女と言われるのか。
「まあっ…!」
お母様は顔をさらに赤らめて、目をつり上げた。
前へ出ようとするお母様を右手で制し、お父様が私を見つめた。
「シャーロット、セリーヌはお前とは違うのだ。セリーヌが産まれた時にはボヌール王国の空に吉兆と言われる7つの虹がかかり、神の御加護がある姫として国を上げて祝福をした。この国を背負って立つ選ばれた者なのだ。お前の嫁ぎ先は良縁と言えるが、王として立つには帝王学等学ぶには時間がたりぬ。セリーヌの夫としては認められんな」
…何を言っても変わらないのだろう。
「かしこまりました。お父様。お母様」
お父様が頷くのを見て、私は謁見の間を後にした。
「姫様っ!」
扉を閉じて完全にお父様達から遮断されると、ジュディが駆け寄ってくる。
「あんまりです!私の姫様が狒々爺と結婚なんて」
私を行かせないよう、腕を掴み涙を必死に堪えるジュディの手を、そっと外す。
「仕方ないわ。お父様、いえ、国王にああ言われてしまっては」
私1人が嫌だと言っても、どうにもならない。
ジュディを安心させるように、微笑みを浮かべる。
「まだお会いしてもいないのよ。もしかしたら、とてもいい人かもしれないじゃない」
気は重いが、ジュディを従えて舞踏会を開いている大広間へと、足を進める。
大丈夫。
私はいつも諦めて生きてきた。
暖かい陽射しの中、走り回ること。
水遊びすること。
大好きな甘いものをたくさん食べること。
そして、一度でいいから、可愛い服を着てみること。借り物ではなく、自分の服を。
そこに、もう一つ加わるだけ。
私を思ってくれる旦那様から選び、選ばれること。
広間に着くと、舞踏会はもう始まっていて、私は侍女から王族の控え室で待つように言われる。
もちろん、ジュディは舞踏会に出られないので、ついてきてくれるのはここまでだ。
ジュディは侍女の控え室があり、そこで待っていてくれる。
私は家族の一員ではないのに、こんな時だけ王族としてでないと、舞踏会に出席もできないのね。
しばらくすると、お母様とお姉様のお化粧直しを終えて3人が姿を現す。
お父様は私をチラッと見て、何も言わずに広間へと足を踏み出した。
お母様がそれに続き、その後に続くお姉様が私を見て笑顔を向けた。
「シャーロット、そんな顔でいてはダメよ。殿方に好かれないわ」
「…そうね。お姉様」
お姉様に手を引かれ、私も広間へと足を踏み入れた。
私にはお姉様が何を考えているのか、今一つわからない。
お姉様は王宮の王族生活区域で育ったが、何故か私は一人塔の上の小さな部屋で育てられた。
健康なのに、世の中には病弱と偽わられ、人前には出されず。
塔の外に出るのを許されるのは、日も暮れて暗くなった王城内の庭だけ。
夏はまだしも、冬は陽の当たらない庭は寒くて、出たくないと泣いてマリーを困らせた。
それでもマリーは「歩かなければ歩けなくなります。いつか、ここを出て行く時に、困るのはシャーロット様です」と言って譲らず、私が本当に病気の時以外は、ほぼ毎日、寒くても暑くても夜に庭を歩くしか体を動かすことができなかった。
そんな私のことをお姉様はどうお思いなのだろう。
王家が広間に入ったと会場内に告げられ、みんなの視線が王族へと集まる。
「みなのもの。今日はよく来た。戦争も続く中、少しでも憂いた気持ちを晴らそうとセレーネが企画した舞踏会だ。楽しんで行ってくれ」
王が挨拶をし、王妃とファーストダンスを踊ると、後は貴族たちがホールのあちらこちらでダンスを踊り出す。
私の隣にいたお姉様は、早々に貴族子息の方々に誘われて、次々とダンスを踊っていた。
できれば。
できることなら、あの公爵達とは会わないで舞踏会を終わらせたいが、そういうわけにもいかないだろう。
それならば、先に飲食コーナーで大好きなケーキをたくさん食べよう。
塔の上には、ケーキ等は支給されないが、舞踏会、パーティではケーキもたくさんあるし、いつも食べないようなお肉の塊もある。
そんなものが食べられるから舞踏会に出るのは好きだったのだけれど、これからはそれすらも嫌いになりそう…。
目立たないように私はこそっとケーキの前に行き、美味しそうなイチゴのケーキを手を伸ばす。
満足したらお見合い相手のおじいちゃん達を探して、挨拶くらいはしておかないと。
気に入られないといいのだけれど…。
自分のドレスではないので、どんなにジュディが頑張ってくれても私には今一つ似合っていない。
うまく着せてくれているから目立つほどではないが、お姉様より小さい私は、ドレスが大きくて着られている感半端ないのだ。
お化粧も、自分の道具は持っていないので、パウダールームにある予備のものを使っているので、色味なども私に似合うものではない。
それなのに、ここまでキレイに仕上げてくれるジュディの腕は大したものだと思う。
クリームたっぷりのケーキを大きな口を開けて思いっきり頬張る。
あぁ~、幸せ。
本当にもう食べたら帰りたい。
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