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19章 戴冠
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私はしばらく、王太子の執務室へと通った。
そこで、ライリー殿下たちにいろんなことを教えていただいた。
現在のボナールは絶対王政で国を動かしている。
私が臣下に騙されて、いいようにされてしまっては本末転倒。
甘言に惑わされてはいけない。
ある程度の知識を頭に詰め込み、いよいよ私はボナールへと帰ることになった。
出発前夜。
夕食の席で、ギルバート様はテーブルに先に食事を並べさせ、その後の使用人の立ち入りを禁止した。
私がマリーとジュディに先導され、ダイニングに入って行くと、広いテーブルにたくさんのご馳走が並び、ギルバート様がポツンと座っていた。
「シャーロット、席につけ」
「は、はい。ギルバート様」
私が席についたのを見て、ギルバート様はマリーに目配せをする。
すると、マリーとジュディ、護衛で後ろから付いてきていたアーサーがテーブルについた。
「あの、ギルバート様、これは……」
「シャーロットの壮行会だ。お前、ここ最近ずっと暗い顔をしていたぞ。何を心配しているのかはわからんが、元気を出させようと思ってな」
「……ギルバート様」
使用人であるマリーたちを食卓につかせるために、ほかの使用人たちの出入りを禁じたのね。
「いや、別に、勘違いするなよ。シャーロットが戻って来なかったら、あのアップルパイが食べれなくなると思っただけだ。元気を出さずに行って、ボナールで失敗されたら困るからな。シャーロットにはうまくやってもらって、早くランバラルドに帰ってきてもらわねば」
ギルバート様は、耳を赤くして早口でそう言った。
「はい! ランバラルドへ早く戻って来られるように、がんばります」
私が満面の笑みで返事をすると、ギルバート様の表情も少し緩んだ。
「もし、時間がかかったら、私の方がボナールに行ってもいいな。私は17歳の春で貴族学校を卒業する。成人までの一年、いろいろなことを学ぶ必要があるが、勉強の場をボナールにして留学するのもいいだろう」
「まあっ、ギルバート様がボナールに来てくださるのですか?」
「あぁ。だから、シャーロットはそれまでに女王でもアップルパイが焼けるように城の体制を変えておくのだぞ」
「はいっ!」
ニコニコと、ギルバート様と話していると、横からマリーが口を出す。
「ギルバート様、あんまり姫様を唆さないでくださいませ。ギルバート様がいい顔すると、調子に乗ってお掃除も始めてしまいます」
ジュディもここぞとばかりに言い始める。
「そうですよ~、ギルバート様。王様がお仕着せを来て厨房やら何やらに現れたら、お城の中はパニックですよ」
アーサーも。
「そういえば、オレは姫様がお仕着せを着て城内を走り回っていた頃を知らないなぁ。オレが騎士としてこちらの城内を歩けるようになった時は、すでにお淑やかなフリがうまくなってたから」
「もぉっ! アーサーまでひどいわ。お淑やかなフリだなんて」
私は頬を膨らませた。
「ぷっ、くくくっ」
ギルバート様は我慢しきれない様子で笑い出した。
「ははっ、お前たち、ほんとに仲がいいんだな。さあ、どんどん食べて、どんどん飲んでくれ。そして、無事にすべてを終わらせて、またこの部屋で5人で会おう」
「ギルバート様、ありがとうございます」
こんなに楽しい日は、初めてじゃないかと思うくらい、私ははしゃいで、たくさん笑った。
そこで、ライリー殿下たちにいろんなことを教えていただいた。
現在のボナールは絶対王政で国を動かしている。
私が臣下に騙されて、いいようにされてしまっては本末転倒。
甘言に惑わされてはいけない。
ある程度の知識を頭に詰め込み、いよいよ私はボナールへと帰ることになった。
出発前夜。
夕食の席で、ギルバート様はテーブルに先に食事を並べさせ、その後の使用人の立ち入りを禁止した。
私がマリーとジュディに先導され、ダイニングに入って行くと、広いテーブルにたくさんのご馳走が並び、ギルバート様がポツンと座っていた。
「シャーロット、席につけ」
「は、はい。ギルバート様」
私が席についたのを見て、ギルバート様はマリーに目配せをする。
すると、マリーとジュディ、護衛で後ろから付いてきていたアーサーがテーブルについた。
「あの、ギルバート様、これは……」
「シャーロットの壮行会だ。お前、ここ最近ずっと暗い顔をしていたぞ。何を心配しているのかはわからんが、元気を出させようと思ってな」
「……ギルバート様」
使用人であるマリーたちを食卓につかせるために、ほかの使用人たちの出入りを禁じたのね。
「いや、別に、勘違いするなよ。シャーロットが戻って来なかったら、あのアップルパイが食べれなくなると思っただけだ。元気を出さずに行って、ボナールで失敗されたら困るからな。シャーロットにはうまくやってもらって、早くランバラルドに帰ってきてもらわねば」
ギルバート様は、耳を赤くして早口でそう言った。
「はい! ランバラルドへ早く戻って来られるように、がんばります」
私が満面の笑みで返事をすると、ギルバート様の表情も少し緩んだ。
「もし、時間がかかったら、私の方がボナールに行ってもいいな。私は17歳の春で貴族学校を卒業する。成人までの一年、いろいろなことを学ぶ必要があるが、勉強の場をボナールにして留学するのもいいだろう」
「まあっ、ギルバート様がボナールに来てくださるのですか?」
「あぁ。だから、シャーロットはそれまでに女王でもアップルパイが焼けるように城の体制を変えておくのだぞ」
「はいっ!」
ニコニコと、ギルバート様と話していると、横からマリーが口を出す。
「ギルバート様、あんまり姫様を唆さないでくださいませ。ギルバート様がいい顔すると、調子に乗ってお掃除も始めてしまいます」
ジュディもここぞとばかりに言い始める。
「そうですよ~、ギルバート様。王様がお仕着せを来て厨房やら何やらに現れたら、お城の中はパニックですよ」
アーサーも。
「そういえば、オレは姫様がお仕着せを着て城内を走り回っていた頃を知らないなぁ。オレが騎士としてこちらの城内を歩けるようになった時は、すでにお淑やかなフリがうまくなってたから」
「もぉっ! アーサーまでひどいわ。お淑やかなフリだなんて」
私は頬を膨らませた。
「ぷっ、くくくっ」
ギルバート様は我慢しきれない様子で笑い出した。
「ははっ、お前たち、ほんとに仲がいいんだな。さあ、どんどん食べて、どんどん飲んでくれ。そして、無事にすべてを終わらせて、またこの部屋で5人で会おう」
「ギルバート様、ありがとうございます」
こんなに楽しい日は、初めてじゃないかと思うくらい、私ははしゃいで、たくさん笑った。
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