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19章 戴冠
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私の隣にアーサーが駆け寄るのを見て、私はアーサーに言った。
「この人を近くの教会へ連れて行って。確か、教会には医師か薬師が居て、病気の人を診てくれるのよね?」
私の言葉を聞いて、アーサーは表情をる暗くする。
「前はそうだったけど、今も医師が常駐してるかわからない。国からの補助は、無きに等しくなったはずだから……。ただ、神父は簡単だが看護の指導を受けているはずだから、一応運んでみよう」
「お願い。あと、こんなに腕が細いの。きっと栄養がたりてないんだわ。町の人たちもそう。炊き出しの準備もしてくれる?」
私がアーサーにお願いをすると、今度はアーサーに目を逸らされた。
「シャーロット、炊き出しをするだけの資金がないよ」
ライリー殿下がアーサーの後ろからやってきて、私にそう言った。
「ボナールの国庫はほとんど空だ。国民みんなに炊き出しをするだけの力が、ボナール王室にはない」
「でも、さっき国王の居室を見て回った時に、セリーヌ様のドレスや宝石などは、いくつか残っていたわ。それをお金に変えれば」
「そうやって、全部を差し出すの? 国民全員にずっと炊き出しなんて、国力のある国だってできはしない。君は国王になったんだ。目先のことだけでなく、もっと先を見据えて行動するべきだ」
「そんな……」
国王になっても、私は何もできないの?
目の前で倒れているこの人すら、助けることはできないの?
「……アーサー、セリーヌ様が残した宝石を、全部お金に変えてちょうだい」
私はライリー殿下から目を逸らし、アーサーに言う。
「シャーロット!」
ライリー殿下が私の腕を掴む。
「何を言っているのか、わかってるのか!?」
ライリー殿下に怒鳴られて、足が震える。
だけど、でも。
「王宮の物を全部お金に変えて差し出すとは言わないわ。私が公に身に付ける為に残された物だけ、お金に変えます。宝石なんて身に付けなくても、立派に外交してみせます。それならいいでしょう? お金に変えられた分だけ、炊き出しをします」
私はまっすぐに、ライリー殿下の目を見つめた。
「……焼け石に水だぞ。腹を減らした国民は、この国中にいるんだ。炊き出しなんて、ずっと続けられるわけじゃない。今日腹一杯になっても、明日はまたひもじい思いをするんだ。一時のぬか喜びならば、手を出すべきじゃない」
「それでも、今日お腹一杯になれば、明日への活力になります。炊き出しは一度しかできないかもしれない。それでも、差し伸べられる手があるのに、黙って見ていられない。できることは、できる時にやるべきだわ」
ライリー殿下から目を逸らさず、私は訴える。
すると、ライリー殿下はふっと表情を緩めた。
「……ディリオン、悪いけど宝石をお金に変えた場合の金額と、炊き出しにかかる費用を計算してくれ」
私がライリー殿下のその言葉に目を丸くしていると、ディリオン様がため息をつきながら目の前に現れた。
「ふん。王子もそう言うと思っていた。すぐにでも準備に取り掛かろう」
ディリオン様はメガネをくいっと少し上げて、それから城の方へと戻って行った。
フレッド様もやって来て、私の肩をポンとたたく。
「シャーロットちゃん、後はオレたちがやるから、君と王子はパレードを続けて。ちゃんと、みんなに即位したことを知らせないと。ね?」
そう言ってウインクをしてみせるフレッド様は、ちょっとだけかっこよく見えた。
コンラッド様もやって来た。
「フレッドたちは城へ戻ったが、オレはジェイミーと一緒に護衛を続けて、終わってからあちらを手伝うからな」
「……と、いう訳だから、シャーロットはオレと一緒に馬車に戻って」
ライリー殿下が私の肩を抱いて、馬車へと促す。
「ライリー殿下、ありがとうございます」
私がお礼を言うと、ライリー殿下は微笑んでくれた。
「ううん。君は彼女を助けると思ってた。できることを、精一杯やるだろうって思ってたよ。昔から変わらないね」
「森でのことを言ってるの? あれは、私はライを連れて帰っただけで、何もしていないわ」
私がそう言っても、ライリー殿下はただ微笑むだけだった。
倒れた妊婦さんも、アーサーに指示された他の護衛役の人が、教会へ連れて行ってくれるということだった。
お腹の赤ちゃん、無事だといいけど……。
パレードの後、お腹を空かせた人たちへの炊き出しが始まった。
私もお仕着せをきて、炊き出しのお手伝いに参加しようとしたらアーサーが慌てて止めて、怖い顔をしたマリーに、思いっきり怒られた。くすん。
ライリー殿下たちは、そんな様子を笑ってみていた。
こうして、私の国王としての第一歩が踏み出された。
「この人を近くの教会へ連れて行って。確か、教会には医師か薬師が居て、病気の人を診てくれるのよね?」
私の言葉を聞いて、アーサーは表情をる暗くする。
「前はそうだったけど、今も医師が常駐してるかわからない。国からの補助は、無きに等しくなったはずだから……。ただ、神父は簡単だが看護の指導を受けているはずだから、一応運んでみよう」
「お願い。あと、こんなに腕が細いの。きっと栄養がたりてないんだわ。町の人たちもそう。炊き出しの準備もしてくれる?」
私がアーサーにお願いをすると、今度はアーサーに目を逸らされた。
「シャーロット、炊き出しをするだけの資金がないよ」
ライリー殿下がアーサーの後ろからやってきて、私にそう言った。
「ボナールの国庫はほとんど空だ。国民みんなに炊き出しをするだけの力が、ボナール王室にはない」
「でも、さっき国王の居室を見て回った時に、セリーヌ様のドレスや宝石などは、いくつか残っていたわ。それをお金に変えれば」
「そうやって、全部を差し出すの? 国民全員にずっと炊き出しなんて、国力のある国だってできはしない。君は国王になったんだ。目先のことだけでなく、もっと先を見据えて行動するべきだ」
「そんな……」
国王になっても、私は何もできないの?
目の前で倒れているこの人すら、助けることはできないの?
「……アーサー、セリーヌ様が残した宝石を、全部お金に変えてちょうだい」
私はライリー殿下から目を逸らし、アーサーに言う。
「シャーロット!」
ライリー殿下が私の腕を掴む。
「何を言っているのか、わかってるのか!?」
ライリー殿下に怒鳴られて、足が震える。
だけど、でも。
「王宮の物を全部お金に変えて差し出すとは言わないわ。私が公に身に付ける為に残された物だけ、お金に変えます。宝石なんて身に付けなくても、立派に外交してみせます。それならいいでしょう? お金に変えられた分だけ、炊き出しをします」
私はまっすぐに、ライリー殿下の目を見つめた。
「……焼け石に水だぞ。腹を減らした国民は、この国中にいるんだ。炊き出しなんて、ずっと続けられるわけじゃない。今日腹一杯になっても、明日はまたひもじい思いをするんだ。一時のぬか喜びならば、手を出すべきじゃない」
「それでも、今日お腹一杯になれば、明日への活力になります。炊き出しは一度しかできないかもしれない。それでも、差し伸べられる手があるのに、黙って見ていられない。できることは、できる時にやるべきだわ」
ライリー殿下から目を逸らさず、私は訴える。
すると、ライリー殿下はふっと表情を緩めた。
「……ディリオン、悪いけど宝石をお金に変えた場合の金額と、炊き出しにかかる費用を計算してくれ」
私がライリー殿下のその言葉に目を丸くしていると、ディリオン様がため息をつきながら目の前に現れた。
「ふん。王子もそう言うと思っていた。すぐにでも準備に取り掛かろう」
ディリオン様はメガネをくいっと少し上げて、それから城の方へと戻って行った。
フレッド様もやって来て、私の肩をポンとたたく。
「シャーロットちゃん、後はオレたちがやるから、君と王子はパレードを続けて。ちゃんと、みんなに即位したことを知らせないと。ね?」
そう言ってウインクをしてみせるフレッド様は、ちょっとだけかっこよく見えた。
コンラッド様もやって来た。
「フレッドたちは城へ戻ったが、オレはジェイミーと一緒に護衛を続けて、終わってからあちらを手伝うからな」
「……と、いう訳だから、シャーロットはオレと一緒に馬車に戻って」
ライリー殿下が私の肩を抱いて、馬車へと促す。
「ライリー殿下、ありがとうございます」
私がお礼を言うと、ライリー殿下は微笑んでくれた。
「ううん。君は彼女を助けると思ってた。できることを、精一杯やるだろうって思ってたよ。昔から変わらないね」
「森でのことを言ってるの? あれは、私はライを連れて帰っただけで、何もしていないわ」
私がそう言っても、ライリー殿下はただ微笑むだけだった。
倒れた妊婦さんも、アーサーに指示された他の護衛役の人が、教会へ連れて行ってくれるということだった。
お腹の赤ちゃん、無事だといいけど……。
パレードの後、お腹を空かせた人たちへの炊き出しが始まった。
私もお仕着せをきて、炊き出しのお手伝いに参加しようとしたらアーサーが慌てて止めて、怖い顔をしたマリーに、思いっきり怒られた。くすん。
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こうして、私の国王としての第一歩が踏み出された。
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