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最終章 人質でなくなった王女と忘れない王太子
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ランバラルド初日は、ジュディが本宮に材料を取りに行き、離宮で私とマリーとジュディで夕食をり作り、ボナールから移動してきた5人で食卓を囲んだ。
ボナールから一緒に来た他の護衛は、お城の別館でお世話になっているらしい。
「うわあ、シャーロットちゃんの手料理って初めて食べるけど、シャーロットちゃんは料理も上手だったんだね」
フレッド様が、私が作ったシチューを絶賛してくれる。
「でも、姫様、疲れてませんか? 移動でお疲れのところ、お料理までしなくても、私と母さんに任せてくれれば良かったのに」
ジュディが心配そうに、私の顔を見る。
「大丈夫よ。馬車に乗っていただけで、何もしていないから」
私がそう言うと、フレッド様が顔をしかめた。
「本当は5日かけてくるところを、強行軍で4日で来たんだ。疲れてると思うよ。無理しないで、今日は早く寝てよね」
「でも、ギルバート様とお約束したお菓子がまだ……」
「明日でいいじゃん。午前中の即位式を見た後、夜のパーティーまでは暇なんだから」
「そう、ですわね」
フレッド様に言われて、その日は早くベッドに入ることにした。
フレッド様のお部屋はどうするのかと聞いたら、今日はご実家に帰られて、明日はパーティーが終わるのが夜になるので、明日は離宮にお泊まりになると言っていた。
マリーとジュディも疲れていると思うのに、片付けは自分たちでやるからと、私は二階のベッドルームに押し込まれる。
下ではまだマリー達3人の話し声が聞こえるけれど、二階はしんと静まり返っていた。
着替えをして、ぼんやりと窓の外を眺めると、庭園の向こうに、灯りのついている本宮が見えた。
あそこに、ライリー殿下がいらっしゃる。
同じ城内なのに、それはとても遠くに感じられた。
翌朝、マリーとジュディにドレスを着せてもらって、お化粧が終わった頃、フレッド様がお迎えに来てくださった。
戴冠式を見に行くということで、今の私は髪はきっちりと編み込んで、ドレスも白い首まである、スカート部分も膨らみの無いものを選んだ。
フレッド様は私を見ると、目を輝かせる。
「シャーロットちゃん、今日はすごく綺麗だよ。いやあ、今日1日、こんな美人のエスコートをさせてもらえるなんて、感激だね」
「ふふ。フレッド様、大袈裟ですわ。それに、フレッド様もとてもステキですわよ。私の方こそ光栄ですわ」
モーニングコートに身を包み、笑顔でこちらを見ているフレッド様は、やっぱり2年前よりも少し背が伸びていて、お日様のように明るい黄色の髪は輝くようで、ほんとにステキだった。
「では、マリー、ジュディ、行ってきます」
戴冠式は神殿前の広場で行われるらしい。
ランバラルドの神殿は開けていて、神殿の前に広場があり、戴冠式などの行事は、一般の人も見られるようになっているそうだ。
ボナールの戴冠式は、虹の後継者かどうかの神事的なものもあるので、あまり一般には開放しないでおこなうが、国民みんなが見られる式はとても良いと思う。
広場には、国内の貴族や私たち来賓の席が用意されており、各人の護衛は入り口までしか入れない。
「フレッド様、姫様をお願いします」
アーサーはそう言って、護衛の待機所に移動した。
広場の右側が国内貴族の席で、左側が他国来賓の席だ。
私とフレッド様は、敗戦国ボナールの代表なので、一番末席になり、かなり小さくしか殿下を見ることしかできない。
「フレッド様、ボナールの代表としてでなく、ランバラルドの貴族としてご参加くださいませ。そうしましたら、あちらのすごく近いお席で、ライリー殿下をご覧になれましてよ」
これまで、ライリー殿下の側近としてやってきたフレッド様が、たった2年ボナールにいたからと言って、こんな末席でしか戴冠式を見られないのは申し訳ないと思った。
「いいんだよ、シャーロットちゃん。ちゃんとモーリスさんから引き継いで、オレはボナールの宰相になったんだ。だから、遠くてもここがいい。ここから、王子の立派な姿を見られることを誇りに思う」
フレッド様は私の目を見て言う。
私も、フレッド様を見つめ返した。
この人は、とても立派な宰相だ。
ボナール自慢の素晴らしい宰相だ。
思わず私は笑顔になった。
あたりがザワザワとし始め、神官様が壇上にやってきた。
親衛隊が一列に並び、ラッパが演奏されると、ライリー殿下がお姿を現した。
遠くから見えるお姿は、2年前とお変わりないようにも思えるし、大人びたようにも感じられた。
ああ、お元気そうで、よかった。
ライリー殿下は神官様と言葉を交わし、腰をかがめると、神官様がライリー殿下の頭上に王冠を乗せる。
宝剣と王笏を掲げ、ライリー陛下は広間の方に向き直る。
「第二十七代、ランバラルド国王を継承したことを宣言する。国内はもちろん、全ての民のために、尽力することをここに誓おう」
ライリー陛下の言葉で、会場がわあっと歓声を上げる。
マントを翻し、周りを見据えるライリー陛下は、大変凛々しく、ご立派になられた。
涙が溢れそうになると、フレッド様が私の手をそっと握ってくれる。
「端っこの席でよかったね。誰も、見てないから」
フレッド様はそう言うと、私にハンカチを渡してくれた。
「ありがとうございます」
私がフレッド様に笑みを向けた時、視界の端にライリー陛下が映る。
ライリー陛下の方へ目を向けると、ライリー陛下と目が合ったような気がした。
こんな遠くにいる私と、ライリー陛下の目が合うはずがないのに……。
ボナールから一緒に来た他の護衛は、お城の別館でお世話になっているらしい。
「うわあ、シャーロットちゃんの手料理って初めて食べるけど、シャーロットちゃんは料理も上手だったんだね」
フレッド様が、私が作ったシチューを絶賛してくれる。
「でも、姫様、疲れてませんか? 移動でお疲れのところ、お料理までしなくても、私と母さんに任せてくれれば良かったのに」
ジュディが心配そうに、私の顔を見る。
「大丈夫よ。馬車に乗っていただけで、何もしていないから」
私がそう言うと、フレッド様が顔をしかめた。
「本当は5日かけてくるところを、強行軍で4日で来たんだ。疲れてると思うよ。無理しないで、今日は早く寝てよね」
「でも、ギルバート様とお約束したお菓子がまだ……」
「明日でいいじゃん。午前中の即位式を見た後、夜のパーティーまでは暇なんだから」
「そう、ですわね」
フレッド様に言われて、その日は早くベッドに入ることにした。
フレッド様のお部屋はどうするのかと聞いたら、今日はご実家に帰られて、明日はパーティーが終わるのが夜になるので、明日は離宮にお泊まりになると言っていた。
マリーとジュディも疲れていると思うのに、片付けは自分たちでやるからと、私は二階のベッドルームに押し込まれる。
下ではまだマリー達3人の話し声が聞こえるけれど、二階はしんと静まり返っていた。
着替えをして、ぼんやりと窓の外を眺めると、庭園の向こうに、灯りのついている本宮が見えた。
あそこに、ライリー殿下がいらっしゃる。
同じ城内なのに、それはとても遠くに感じられた。
翌朝、マリーとジュディにドレスを着せてもらって、お化粧が終わった頃、フレッド様がお迎えに来てくださった。
戴冠式を見に行くということで、今の私は髪はきっちりと編み込んで、ドレスも白い首まである、スカート部分も膨らみの無いものを選んだ。
フレッド様は私を見ると、目を輝かせる。
「シャーロットちゃん、今日はすごく綺麗だよ。いやあ、今日1日、こんな美人のエスコートをさせてもらえるなんて、感激だね」
「ふふ。フレッド様、大袈裟ですわ。それに、フレッド様もとてもステキですわよ。私の方こそ光栄ですわ」
モーニングコートに身を包み、笑顔でこちらを見ているフレッド様は、やっぱり2年前よりも少し背が伸びていて、お日様のように明るい黄色の髪は輝くようで、ほんとにステキだった。
「では、マリー、ジュディ、行ってきます」
戴冠式は神殿前の広場で行われるらしい。
ランバラルドの神殿は開けていて、神殿の前に広場があり、戴冠式などの行事は、一般の人も見られるようになっているそうだ。
ボナールの戴冠式は、虹の後継者かどうかの神事的なものもあるので、あまり一般には開放しないでおこなうが、国民みんなが見られる式はとても良いと思う。
広場には、国内の貴族や私たち来賓の席が用意されており、各人の護衛は入り口までしか入れない。
「フレッド様、姫様をお願いします」
アーサーはそう言って、護衛の待機所に移動した。
広場の右側が国内貴族の席で、左側が他国来賓の席だ。
私とフレッド様は、敗戦国ボナールの代表なので、一番末席になり、かなり小さくしか殿下を見ることしかできない。
「フレッド様、ボナールの代表としてでなく、ランバラルドの貴族としてご参加くださいませ。そうしましたら、あちらのすごく近いお席で、ライリー殿下をご覧になれましてよ」
これまで、ライリー殿下の側近としてやってきたフレッド様が、たった2年ボナールにいたからと言って、こんな末席でしか戴冠式を見られないのは申し訳ないと思った。
「いいんだよ、シャーロットちゃん。ちゃんとモーリスさんから引き継いで、オレはボナールの宰相になったんだ。だから、遠くてもここがいい。ここから、王子の立派な姿を見られることを誇りに思う」
フレッド様は私の目を見て言う。
私も、フレッド様を見つめ返した。
この人は、とても立派な宰相だ。
ボナール自慢の素晴らしい宰相だ。
思わず私は笑顔になった。
あたりがザワザワとし始め、神官様が壇上にやってきた。
親衛隊が一列に並び、ラッパが演奏されると、ライリー殿下がお姿を現した。
遠くから見えるお姿は、2年前とお変わりないようにも思えるし、大人びたようにも感じられた。
ああ、お元気そうで、よかった。
ライリー殿下は神官様と言葉を交わし、腰をかがめると、神官様がライリー殿下の頭上に王冠を乗せる。
宝剣と王笏を掲げ、ライリー陛下は広間の方に向き直る。
「第二十七代、ランバラルド国王を継承したことを宣言する。国内はもちろん、全ての民のために、尽力することをここに誓おう」
ライリー陛下の言葉で、会場がわあっと歓声を上げる。
マントを翻し、周りを見据えるライリー陛下は、大変凛々しく、ご立派になられた。
涙が溢れそうになると、フレッド様が私の手をそっと握ってくれる。
「端っこの席でよかったね。誰も、見てないから」
フレッド様はそう言うと、私にハンカチを渡してくれた。
「ありがとうございます」
私がフレッド様に笑みを向けた時、視界の端にライリー陛下が映る。
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