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21章 責任
19
「なんだよ、なんか不都合でもあるのか?」
優雅に紅茶を飲むお兄様を見ていると、大丈夫な気がしてくるけど、そういうことではない。
「だって、わたしは普通に侯爵家にお勤めにきただけなのに、実家のお父さんお母さんだって、どう思うか……」
「まぁ、実家の方は少し揉める可能性があるな。買い物のフリして商会に行ってみたことがあるが、父親も母親も侯爵家に奉公に行った娘を自慢していたからなぁ」
お父さんとお母さん、何してるのよ!
「って、実家に行ったんですか?」
「うん。ニーナがジーナの生まれ変わりだってわかってからは、平民であるニーナをどうやって貴族にするか考えていたからな。いいご両親の元で今世も育てられたと知って、ほっとしたよ」
両親を褒められて、わたしは気付かず笑顔になる。
「はい! 本当にいい両親です。弟もいるんですよ。かわいいです」
「だから、養女にすると話に行って、簡単にOKがもらえるとは思っていないが、これだけ強いニーナの意思があれば、説得も可能だろう。だから、ルーク様は離籍することはないぞ? まぁ、侯爵家と子爵家で爵位の差は大きいが、元々デイヴィス家はミラー家と婚約の約束をしていたはずだし、王政廃止のドサクサでなんとかなるだろう」
そうしたら、わたしはルーク様のお嫁さんになれるの?
今度こそ、本当に?
貴族と平民で、しかもかつてのルーク様には婚約者がいらしたので、わたしはルーク様と結ばれることは諦めていた。
もう諦めなくてもいいの?
わたしはルーク様を振り返り、ルーク様のお顔を見た。
でも、ルーク様のお顔は予想に反して晴れやかではなかった。
「義兄上、とても嬉しい提案ですが、オレは元々討伐が成功しようが失敗しようが、離籍をするつもりでいました」
「それはなんでだ?」
「オレは討伐で命を落とすものと思われていたからです」
誰もがきっとその考えは浮かんでいた。
討伐は危険なものであると、思っていたから。
「だから、オレの弟のアロンは、次男なのに嫡男の教育を受けてきたんです。長男がいるにもかかわらず、厳しい教育を受けてきたアロンには、思うところがあるでしょう。そしてオレもまた、討伐のための教育を受けており、侯爵家嫡男としての教育はあまり受けていません。多少は受けましたよ? オレも必死に両立させようとしてきました。しかし、どう考えてもアロンに比べると圧倒的に侯爵家跡取りの勉強をした時間が足りないんです。この事実を考えた時に、オレがデイヴィス侯爵家を離籍するのが妥当だと考えました」
それは、苦渋の選択。
わたしは、ルーク様だって嫡男として努力した姿を知っている。
それでも、やはり跡取りとしての勉強を主にやっていたアロン様には敵わないのも確かだろう。
お兄様はため息を一つ吐くと、ティーカップをソーサーに戻した。
「まぁ、ルーク様がそう言うならそれでもいいさ。だが、ニーナはミラー子爵家の養女になる。それは決定だ。何しろ、父上と母上が乗り気だ。母上なんて、すでに嫁に行った長女に娘ができると手紙で知らせたために、エマから速馬でどういうことかと問い合わせの手紙がきていた」
……お母様、気が早すぎる……。
でも、商家の娘としてミラー子爵家に養女に行くなら、前世と来世の両親を、両方とも家族とすることができる。
問題がないわけではないけれど、わたしにとってとても良い事だと思えた。
ルーク様がデイヴィス家を離籍することはとても残念なことだけど、それがルーク様の決断であるなら、わたしは賛成する。
こうして、わたし達は未来に向かって歩き始めた。
幸せな、未来に向かって。
*****************
次話から最終章に突入します。
やっと。やっとです。
最初から読んでくださっていた方は、遅い更新にイライラなさっていたことでしょう。
明日は更新お休みか深夜になる予定です。
どうぞよろしくお願いします。
優雅に紅茶を飲むお兄様を見ていると、大丈夫な気がしてくるけど、そういうことではない。
「だって、わたしは普通に侯爵家にお勤めにきただけなのに、実家のお父さんお母さんだって、どう思うか……」
「まぁ、実家の方は少し揉める可能性があるな。買い物のフリして商会に行ってみたことがあるが、父親も母親も侯爵家に奉公に行った娘を自慢していたからなぁ」
お父さんとお母さん、何してるのよ!
「って、実家に行ったんですか?」
「うん。ニーナがジーナの生まれ変わりだってわかってからは、平民であるニーナをどうやって貴族にするか考えていたからな。いいご両親の元で今世も育てられたと知って、ほっとしたよ」
両親を褒められて、わたしは気付かず笑顔になる。
「はい! 本当にいい両親です。弟もいるんですよ。かわいいです」
「だから、養女にすると話に行って、簡単にOKがもらえるとは思っていないが、これだけ強いニーナの意思があれば、説得も可能だろう。だから、ルーク様は離籍することはないぞ? まぁ、侯爵家と子爵家で爵位の差は大きいが、元々デイヴィス家はミラー家と婚約の約束をしていたはずだし、王政廃止のドサクサでなんとかなるだろう」
そうしたら、わたしはルーク様のお嫁さんになれるの?
今度こそ、本当に?
貴族と平民で、しかもかつてのルーク様には婚約者がいらしたので、わたしはルーク様と結ばれることは諦めていた。
もう諦めなくてもいいの?
わたしはルーク様を振り返り、ルーク様のお顔を見た。
でも、ルーク様のお顔は予想に反して晴れやかではなかった。
「義兄上、とても嬉しい提案ですが、オレは元々討伐が成功しようが失敗しようが、離籍をするつもりでいました」
「それはなんでだ?」
「オレは討伐で命を落とすものと思われていたからです」
誰もがきっとその考えは浮かんでいた。
討伐は危険なものであると、思っていたから。
「だから、オレの弟のアロンは、次男なのに嫡男の教育を受けてきたんです。長男がいるにもかかわらず、厳しい教育を受けてきたアロンには、思うところがあるでしょう。そしてオレもまた、討伐のための教育を受けており、侯爵家嫡男としての教育はあまり受けていません。多少は受けましたよ? オレも必死に両立させようとしてきました。しかし、どう考えてもアロンに比べると圧倒的に侯爵家跡取りの勉強をした時間が足りないんです。この事実を考えた時に、オレがデイヴィス侯爵家を離籍するのが妥当だと考えました」
それは、苦渋の選択。
わたしは、ルーク様だって嫡男として努力した姿を知っている。
それでも、やはり跡取りとしての勉強を主にやっていたアロン様には敵わないのも確かだろう。
お兄様はため息を一つ吐くと、ティーカップをソーサーに戻した。
「まぁ、ルーク様がそう言うならそれでもいいさ。だが、ニーナはミラー子爵家の養女になる。それは決定だ。何しろ、父上と母上が乗り気だ。母上なんて、すでに嫁に行った長女に娘ができると手紙で知らせたために、エマから速馬でどういうことかと問い合わせの手紙がきていた」
……お母様、気が早すぎる……。
でも、商家の娘としてミラー子爵家に養女に行くなら、前世と来世の両親を、両方とも家族とすることができる。
問題がないわけではないけれど、わたしにとってとても良い事だと思えた。
ルーク様がデイヴィス家を離籍することはとても残念なことだけど、それがルーク様の決断であるなら、わたしは賛成する。
こうして、わたし達は未来に向かって歩き始めた。
幸せな、未来に向かって。
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次話から最終章に突入します。
やっと。やっとです。
最初から読んでくださっていた方は、遅い更新にイライラなさっていたことでしょう。
明日は更新お休みか深夜になる予定です。
どうぞよろしくお願いします。
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