250 / 288
最終章 こぼれ落ちた運命は
7
「んまぁっ! 伯爵位ですって!?」
お仕事から帰ってきたお兄様の話を、家族揃ってソファでお茶を飲みながら聞いていたんだけど、お兄様から陞爵のことを聞いてお母様は卒倒しそうになっていた。
どうやら、お兄様は討伐隊副隊長を務めた功績を認められて、伯爵になるらしい。お兄様、というか我が家が、だけど。
おまけに、ルーク様も同じ伯爵になるらしい。
平民になって、慎ましやかに暮らそうと思っていたのに……。なんでだろう。
今日は教会ではなく、家で子爵家の執務をしていたお父様も執務室から出てきて、お兄様の話を聞いている。
お父様もさすがに我が家が伯爵位を賜ると聞いて、びっくりしていた。
「おい、別にオリバーがこれからもずっと王宮勤めなのは構わないが、領地が今のままだと伯爵位の税金を払うと資金的に厳しくなるぞ」
「いや、父上。構ってくださいよ。オレはもう王宮になんざ勤めたくなかったのに……。税金は子爵位のままでいいそうです。オレを国政に参加させたいだけの陞爵なので。ゆくゆくは国営事業の譲渡をしてもらう約束も取り付けました。オレが王宮からいなくなったら税金が上がるだろうから、その後のことも考えて約束させましたよ。だが、オレが王宮で働く給金は、しっかり伯爵位のものをもらいますがねっ!」
お兄様は不貞腐れてそう言った。
「それならいいのだが……。子爵家の仕事は、わたしが教会のボランティアを始めた時に、経営管理の補助を雇ったからね。まだしばらくはわたしが当主の仕事を引き続きやることはできるよ。オリバーが引き継いでも彼が居れば、王宮勤めをしながら伯爵家当主もできるだろう。要は慣れだが」
よかった。
お兄様が王宮勤めを続けても、ミラー家は大丈夫らしい。
安心してホッと息をつくと、お兄様がわたしの顔をチラリと覗き込んだ。
「それより、ニーナ。悪いがルーク様との結婚は少し延期になる」
「えっ、なんでですか!?」
「伯爵と伯爵令嬢の婚姻になるんだ。今予定している平民の結婚式と同じ規模の結婚式では、他の貴族に示しがつかん」
「ど、どれくらい延期に?」
「そうだな。デイヴィス侯爵とも相談しないといけないが、通常貴族の結婚は一年ほどかけて準備をする。ドレスの仕立てから、その後の社交の為に出席者を選定したり、またその出席を頼むために根回しをしたり」
い、いちねん……。
いや、一年なんてあっという間、たぶん、きっと!!
元気を出そうとしたけど、やっぱり楽しみにしていた結婚が少し遠くなってしまったことを考えるとちょっとだけ気分が沈んでしまう。
それがわかったのか、お父様とお母様がわたしを挟んで両隣に座り、そして両側からゆっくりとわたしを抱きしめてくれたのだった。。
お仕事から帰ってきたお兄様の話を、家族揃ってソファでお茶を飲みながら聞いていたんだけど、お兄様から陞爵のことを聞いてお母様は卒倒しそうになっていた。
どうやら、お兄様は討伐隊副隊長を務めた功績を認められて、伯爵になるらしい。お兄様、というか我が家が、だけど。
おまけに、ルーク様も同じ伯爵になるらしい。
平民になって、慎ましやかに暮らそうと思っていたのに……。なんでだろう。
今日は教会ではなく、家で子爵家の執務をしていたお父様も執務室から出てきて、お兄様の話を聞いている。
お父様もさすがに我が家が伯爵位を賜ると聞いて、びっくりしていた。
「おい、別にオリバーがこれからもずっと王宮勤めなのは構わないが、領地が今のままだと伯爵位の税金を払うと資金的に厳しくなるぞ」
「いや、父上。構ってくださいよ。オレはもう王宮になんざ勤めたくなかったのに……。税金は子爵位のままでいいそうです。オレを国政に参加させたいだけの陞爵なので。ゆくゆくは国営事業の譲渡をしてもらう約束も取り付けました。オレが王宮からいなくなったら税金が上がるだろうから、その後のことも考えて約束させましたよ。だが、オレが王宮で働く給金は、しっかり伯爵位のものをもらいますがねっ!」
お兄様は不貞腐れてそう言った。
「それならいいのだが……。子爵家の仕事は、わたしが教会のボランティアを始めた時に、経営管理の補助を雇ったからね。まだしばらくはわたしが当主の仕事を引き続きやることはできるよ。オリバーが引き継いでも彼が居れば、王宮勤めをしながら伯爵家当主もできるだろう。要は慣れだが」
よかった。
お兄様が王宮勤めを続けても、ミラー家は大丈夫らしい。
安心してホッと息をつくと、お兄様がわたしの顔をチラリと覗き込んだ。
「それより、ニーナ。悪いがルーク様との結婚は少し延期になる」
「えっ、なんでですか!?」
「伯爵と伯爵令嬢の婚姻になるんだ。今予定している平民の結婚式と同じ規模の結婚式では、他の貴族に示しがつかん」
「ど、どれくらい延期に?」
「そうだな。デイヴィス侯爵とも相談しないといけないが、通常貴族の結婚は一年ほどかけて準備をする。ドレスの仕立てから、その後の社交の為に出席者を選定したり、またその出席を頼むために根回しをしたり」
い、いちねん……。
いや、一年なんてあっという間、たぶん、きっと!!
元気を出そうとしたけど、やっぱり楽しみにしていた結婚が少し遠くなってしまったことを考えるとちょっとだけ気分が沈んでしまう。
それがわかったのか、お父様とお母様がわたしを挟んで両隣に座り、そして両側からゆっくりとわたしを抱きしめてくれたのだった。。
あなたにおすすめの小説
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
好感度0になるまで終われません。
チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳)
子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。
愛され続けて4度目の転生。
そろそろ……愛されるのに疲れたのですが…
登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。
5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。
いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。
そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題…
自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。
婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!
山田 バルス
恋愛
この屋敷は、わたしの居場所じゃない。
薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。
かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。
「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」
「ごめんなさい、すぐに……」
「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」
「……すみません」
トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。
この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。
彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。
「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」
「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」
「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」
三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。
夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。
それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。
「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」
声が震える。けれど、涙は流さなかった。
屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。
だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。
いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。
そう、小さく、けれど確かに誓った。
0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。
アズやっこ
恋愛
❈ 追記 長編に変更します。
16歳の時、私は第一王子と婚姻した。
いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。
私の好きは家族愛として。
第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。
でも人の心は何とかならなかった。
この国はもう終わる…
兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。
だから歪み取り返しのつかない事になった。
そして私は暗殺され…
次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。
笑い方を忘れた令嬢
Blue
恋愛
お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。