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第1章
10 ぎくっ
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俺がBlauさんという人の謎の喋り方に圧倒されて何も書けないでいると、床さんが助け舟を出してくれた。
{床:落ち着いてください、Blauさん。ウェーブさんがオタクきめぇ……ってドン引きしてますよ!?}
{Blau:り^^*}
{床:これは了解しましたってことです}
(……床さんは通訳だったのか……?)
とりあえず変態リスナーはスルーして、普通そうな人たちに話しかけよう。
[ウェーブ:よろしくお願いします。俺、初心者で男なので、なんか変なことあったらスミマセン。あと俺も敬語使わないからみなさんも敬語なしでお願いします。しゅがーさん→好きに呼んでくれてオッケーっす。オクラ沼さん→『アキアオはマイナー』ってどういうこと?]
{しゅがー:ありがとーWくん! 敬語無しやったぁ♡ Blauちゃんだけ無視されてるの笑いすぎてお腹いたーいっ(๑>◡<๑)}
{床:私は自分がタメ口使うのは苦手なのでこのままお話しさせていただきますね}
{オクラ沼:ウェーブくん→言葉通り、アキ×アオはドマイナー。人気ないってことだよ。ごちゃ腐界隈は、他のカプ……たとえば、アキ×モモが覇権なの。覇権は、一番人気ってことね。あとはユウ×モモも、ハク×モモも人気。モモは可愛いからモモ総受け派閥が強いの。逆にアキは攻め需要が高くて、アキ×ハクやアキ×ユウも人気だね。昔からの関係性萌えで、ハクユウ、ユウハクなんかも結構あるね。それと比べて、アオ絡みのカプは、アオ攻めもアオ受けもとにかく不人気! まあこれはアオ自体が人気ないから当然だね}
(っ……ひでぇ! 腐ってる女の子たちの中でも人気ないのかよ俺……!)
床さんのフォロワー数を見た感じかなり多いと思ったが、あれでもマイナーらしい。ってことは覇権と言われる『アキモモ』オタクなんて、どれだけの数がいるのか。恐ろしい……。
(あ、オクラ沼さんの言ってる『カプ』っていうのはカップリングの意味か? 検索して覚えたなこれは)
着実にBLに詳しくなってきている自分も恐ろしい。
{Blau:今アオきゅんを貶したな? ぬまヤロー;;許されることではない!!ꐦ }
{オクラ沼:は? 貶してないよ。どんだけ私がアキアオを愛してると思ってるの? アオアンチの多さに傷ついてると思ってるの? アオが人気ないのは事実じゃん。アキアオは供給だって少ないじゃん。アキモモみたいにデュエットの一つもないんだよ。いちゃつきもしないよ。配信での絡み極小だよ。アオはユウにばっか話しかけるし! アキはモモとばっかイチャつくし、ゲームするのはハクとばっかだし! なんでなの?! 二人は幼馴染じゃないの!?! ねぇ!!}
{床:オクラ沼さん……}
(……な、なんもいえねぇ……)
{オクラ沼:こちとら砂漠の中幼馴染って属性だけに縋って、身がちょっとしか残ってない魚の骨しゃぶって、毎日生きてんだよ、アキアオなんてドマイナー、供給も同志もほぼ無いのにさぁ! はぁ!? 配信のたびアキモモで盛り上がる対抗カプのオタクたち見て、羨ましくって悔しくってひたすらモチベ削られる毎日なんだよッッ!!!}
{しゅがー:ふぇぇ๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐健気な沼っち、健気なわたしたちアキアオの民、泣けてくる~泣泣}
{床:オクラ沼さんは病みがちです。アキアオ愛が強いんです。でも私もオクラ沼さんのお気持ちはすっごくよく分かります……。アキアオ推しはいつだって飢えているのです……}
「……」
(……なんか、ごめん…………)
俺と秋風の絡みをこんなにも熱望してる人たちがいるとは知らなかった。
俺が配信で夕陽さんに話しかけることが多いのは、普通に一番フレンドリーで優しいからだ。珀斗は怖いし、桃星も毒舌だし、秋風とはちょっと気まずいし。俺にとって夕陽さんはごちゃまぜの良心だから。
{Blau:わしはアキアオ供給無くても全然生きるでい! 攻めにこだわりなーし! アオきゅん幸せにしてくれるなら相手誰でもオケ~~^^*!!}
{床:Blauさんはアオくん総受け民ですもんね}
{オクラ沼:誰でも良いとか本当信じられないわ。アキ×アオ以外あり得ない}
{床:オクラ沼さんは過激固定カプ民です}
{ウェーブ:床さん、ちょっと待って。俺腐男子だけど、詳しくないから、知らない単語いっぱい。調べマス}
『総受け』。『固定カプ』。
グループチャットのアプリを一旦閉じ、検索エンジンを開く。ネットでキーワードを調べたら、すぐに意味がわかった。
総受けとは、BL用語で、絶対受け側になるキャラクターのことらしい。攻めはいっぱいいる。
固定カプとは、攻めと受けが絶対その相手のみで固定、他との組み合わせにはならないこと。一途って感じ。
(なるほど……。Blauさんは俺推し? で、俺が受けなら何でもアリな『総受け』の人。オクラ沼さんは逆にアキアオ以外無理な『固定カプ』の人。オクラ沼さんは、他の組み合わせは楽しめない腐女子ってことだから、大変なんだな。ふむふむ)
[ウェーブ:調べて大体把握しました。じゃあ、床さんも固定カプ? アキ推しって言ってたけど]
{床:いえ、私は緩い雑食です。雑食っていうのは、色んなカプを楽しめる人間です。どんな妄想も好きで、幅広く見ていますよ。他のアオくん受け、モモくん受け、ハクユウハク。アキモモ、ハクアキ、アキユウ、全部かわいいですね。アキくん攻めはもちろん、アキくん受けも美味しく食べられます!!}
(お、おぉ……。このカプいけるっていうのを食べられるって言うんだな? 多分……)
{オクラ沼:そう。その部分は私と床さんは通じ合えないよね……。最高なアキアオ書いてくれるしアキアオ愛凄いから仲良くはしてるけど}
{床:そうですよね。ごめんなさい! ただ、見る側の時は雑食でも、書くのは絶対、アキアオオンリーで固定ですよ。アキアオは特別に好きですから}
特別という言葉に俺は簡単に反応した。
[ウェーブ:なんでアキアオが特別なんだ? 幼馴染っつったって、ぶっちゃけそんなに仲良さそうじゃないし。あの二人になんかあるって……あり得なすぎだろ……普通に]
{Blau:え……キミ、はっきり言いすぎでは;; 沼の呼吸止まっちゃうぜ}
{オクラ沼:…………}
{オクラ沼:?????}
{オクラ沼:?????????}
(……──はっ!!)
言われて気がついた。また選ぶ言葉を間違えたと。
このままでは、せっかく紹介してもらったのに床さんの友達を怒らせてしまう。
[ウェーブ:ごめん!! 言い方違った! もちろん俺もアキアオ好きだから、良さはわかるんだけど、どうしても現実見ると、リアルはないよなぁって我に返っちゃうと言うか……。や、悪い意味じゃ無くって! 好きすぎてな!!? あくまで!!]
(こ、これで大丈夫か……? 固定カプのオクラ沼さんは、愛が強いって言われてたから、アキアオ否定されたら黙ってなさそうだよな)
{オクラ沼:あー……理解。なるほどね。好きゆえの不安だよね。アキアオなんてリアルはあり得ないのに、こんなに夢中になってバカみたい……。自分もよくそのメンタルになるから、気持ちは分かるよ}
(な、なんとかなったーーー)
[ウェーブ:ですです。あの、俺空気読めないってよく言われるんで、これからも無意識に失礼なこと言っちゃうかもだけど、どうにか見逃して欲しいっす]
{しゅがー:おぉ~? 空気読めない人なんだね笑 なんだかWくんって、アオみたい~~(๑>◡<๑)♡♡♡}
「…………!!!」
ぎくっっっっ。
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