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第1章
22 気付いてしまった《前編》
しおりを挟む床さんに『アオくんの好感度が絶賛急上昇中』だと教えてもらった俺は、慌ててSNSを見た。
エゴサはトラウマでなかなかできないのに、褒め見たさに勇気を出してみる。
すると。
Blauさんや床さんが言った通りの世界が広がっていた。
《アオってなんかわいくない? アキの腕に懐いてる姿、黒猫みたいだったな~》
《アオのイメージ変わった! あんなふうにじゃれるんだぁ。推しに加えようかな……》
《幼馴染ペア良いかも!! 今日のアオの態度ちょっと好き!》
《アキ最推しだけどアオ次点の推しにするか検討中》
《アオくんツンツンしてると今まで思ってたけど、無人島の質問でアキくん指名したの見て、そっかこの子はツンデレだったんだなって思った! なかなか見ないアキくんの焦った顔引き出してくれてありがとうすぎたー!! 最高!》
「…………!!!」
[ウェーブ:え!? は!? ガチじゃないっすか! なんでみんなこんな一瞬で? たった一回の配信で……!?!?]
もちろんアンチ意見もいつも通りたくさんあったが、俺に対して好意的な意見がこんなに(数件)出てくるなんて普段じゃ考えられないことだ。
{オクラ沼:そんなもんだよ。推しと仲良くしてくれるメンバーには好感が芽生える。逆に推しに冷たくするメンバーは印象が悪くなる。アキが一番人気だから、アキと絡む=大量にいるアキリスナーの色んな感情がついてくるってことだからねー。良くも悪くも}
(そんな……)
俺のこの三年間の地道な頑張りはなんだったんだ。
好感度というものはこんなに簡単に変えられるものだったのか。秋風と秋風リスナーに媚びるだけで……。
{オクラ沼:これでアキアオ仲間が少しは増えると思うと……。今日は夢みたいに良いことばかりで……泣き疲れて目が痛い……}
{床:本当ですね! アキくん推しのアキアオ同志さんが増えると思います! 私も、アオくんがアキくんに甘えてくれたの、すごく嬉しかったですもん……! 私今出先なんですけど、電車の中でさっきの配信のアーカイブ繰り返し見ちゃってます。心臓のドキドキが止みません……!!}
{Blau :チッッわしは今更アキリスの評価などいらん! アオきゅんの良さはわし達アオリスが分かってる! 今まで散々殴ってたくせに寄ってくるな;;}
(Blauさん尖りすぎだろ)
{オクラ沼:でもBlau、アオアンチが減ったら嬉しいでしょ? アオが貶される機会が少なくなるよ}
{Blau :……うむむ……。それは……;;}
{オクラ沼:今日もアオ、安定に言っちゃいけないこと言ってたよね。ちょっとヒヤヒヤしたよ。アキアオ供給で泣いててさっきはそれどころじゃなかったけどさ}
{しゅがー:ね~またスベってた~笑 わたしのアキくんのフォローがさすがだった!(๑>◡<๑)アキくんに惚れ直したよ! 空気の読める男って、かっこいい!}
──ううっ。
すみませんね……空気の読めない男で……。
{床:そこがアオくんの良いところでもあるんですけどね。彼にしかない個性というか}
(ゆ、床さん……!)
{床:まあ私もアオくんが話し出したら一瞬ミュートしちゃいますが……汗}
[ウェーブ:ミュート!!??]
{しゅがー:あー! わかる~! わたしも音量極小にしちゃうよ、次はなに言い出すんだろアオ……って怖くって๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐}
{オクラ沼:アオ見てると共感性羞恥やばいよね。厨二病だから彼}
[ウェーブ:そ、そんなボコボコに言わなくたって良いんじゃね!?]
(え、ここアキアオファンのチャットだよな? 俺のこと好きな人たちしかいないって安心してたのに、突然冷静にアオの悪口言い出すのやめて……!)
{Blau :おうおう、みんな甘いのう。そのスリルがたまんねんだ。アオきゅん推すと、またスベるか? また変なこと言うか? また場を冷やすか? っていついかなる時も気は休まらない! 落ち着く瞬間がない! つまり飽きることがないのだ!! サイコ~~~!^^*}
(それ褒めてんの……??)
{Blau:それにそれに、スベったあとのアオきゅんのお顔、毎回オドオドキョロキョロ汗飛ばして追い詰められてて……しょーみアレ激カワじゃね?^^ 見てる側の加虐心煽るのじょーずなアオきゅん……ハァハァハァハァ……。ぶちおかしたくならん? 攻めがサっ^^*}
「…………?」
『ブチオカ』したくなる? なんだそれ。
(いや、それとも、『ぶちお菓子』炊く……?)
こっちか。
これも腐女子用語なんだろうか……。
とりあえず聞いてみよう。
[ウェーブ:ぶちお菓子ってなんだ?]
{Blau:……む?^^}
{オクラ沼:──あッッ! 下ネタやめろBlau!! ウェーブくんはピュアっ子なんだよ、バカ!!!}
(え……今の下ネタだったの?)
この人たちと話してると、分からない用語ばかりで困る。
(よし、ググろう)
俺はいつもの習慣で検索エンジンを開き、調べようとした。
──しかしその瞬間、最新のチャットが来た。
{床:絶対に検索しないでくださいね。ウェーブさん}
「! ひっ……」
俺の行動が完璧に見透かされている。
{しゅがー:そーそー! Wくん、ぜーーったいにググったらだめだよーー!?๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐ ごめんね、Blauちゃんがセクハラして~}
[ウェーブ:……わ、わかった。そんなにいうなら検索するのやめるわ]
(よく分からんけど……)
{Blau:ここここの程度でハラスメントになるって、マ……!?^^; うぇーぶは腐男子やぞ、なぜ守る……!? そもそもこのチャットはわしら五人しか見てないじゃろ? 表でぺろぺろしてないんだから許せよう;; アオきゅん本人には絶対言わんのだから!!!}
(いや、本人に言ってます)
{オクラ沼:アオ相手とか関係なく、異性がいるところで下ネタはよくないじゃん。ウェーブくんだって一応男なんだからさ}
{Blau:ぬま厳しすぎダばかたれがッ;;}
{床:まあまあ。深い話はここじゃなくDMですれば良いんじゃないでしょうか?}
[ウェーブ:え、DMって……俺ハブにされちゃうの……? なんで!?]
{床:! ごめんなさい! ハブってわけじゃないですよ?}
{しゅがー:床ちゃんのは、意地悪じゃなくて配慮だと思うよ~。だってWくん、アキアオR-18トークとか混ざりたくないでしょ~~??(๑>◡<๑)爆}
「……!!!」
(アキ……アオ……R-18トーク…………?)
なんだそれは。
[ウェーブ:そ、そ、そういうのは俺、ちょっと……]
{オクラ沼:うん。だと思った。ブロマンス好きな男子には絶対無理だよね}
「……」
俺だってAVとかは見るし別に卑猥なことに無知ってわけじゃないが、BLなら話は違う。誰がBLの18禁内容を知りたいっていうんだ?
想像するだけで怖いじゃないか。しかもこの人たちが話すの、俺や秋風に関するあれそれなわけで……。
(…………うん。関わらないでおこう)
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