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第1章 禁断の魔道士
魔道竜(第1章、31)
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三人は出されてすぐにそのお茶には手をつけず、女性がおちつくのを待つ。
その間に部屋の中を見るとなしに見渡せば、殺風景なまでに家具らしい家具もなく簡素な暮らしぶり。一人暮らしをしている独身女性の想像されるようなそれではない。
小さな暖炉のあるダイニング、キッチン・バス・トイレなどの水回りがととのっているほか、ダイニングの隣りには小さな小部屋があり、わずかにあいた扉からベットがみえる。いわゆる1LDKのような単純なつくりの間取りだ。
外観や屋根に損傷があるものの家の中は比較的きれいなものだ。壁紙も意外に洒落た花柄でダイニングテーブルやソファー、ちょっとした家具にいたるまでよく見ればお洒落なアンティークで統一されそれなりに快適な生活をおくっている様が垣間見れる。
女性が一口お茶を口にすると人心地ついたのかフゥーッと息をもらした。
この時を待っていた。話しを切り出すチャンス到来だ。
「邪蛇のことですが………」
一言、邪蛇と口にするや女性の顔つきがかわった。強張ったその顔つきからしてかなり精神的に追い詰められている様子がうかがえる。
「本当に邪蛇から逃れるすべを知っているの? どうすればいいの私……」
「邪蛇から逃れるには榊(さかき)の枝を戸口に吊るす、というのが一般的な回避方法であり、とりあえずあの『目』から一時的に逃れることは可能でしょう。しかしながら邪蛇とはご存じのとおり悪神ですが、悪神をよびこむのは他ならない人間だということです」
セルティガは矢も楯もいられずウズウズと口をはさむ。
「人間が悪神をよびこむ?」
まったく! 釘の効果はものの五分ももたないのか。
「そぅ。一説には悪神をつくったのは人間の強欲ゆえらしい」
「へぇ……!」
この辺は本来は授業で習っているはずだが。ま、相手がセルティガなのでその辺は気にしないことにする。
セイラは優雅にカップを口もとへ運ぶ。その仕草は板についていかにも育ちのよさがにじみでている。
「ねぇ?ティアヌ」
セイラはいつものおっとりとした静かな口調でティアヌの説明に付け足しをくわえる。
「聖書の一節にもぉ邪蛇はもとをただせば人間だったとあるわよねぇ。創世記を翻訳した人物も少なくとも人間だったことは~間違いないと言っているものぉ」
「そうよね、本性は女だった、それも魔性の美女級の。私が読んだ禁断の書物にはこうも書かれていたわ」
彼女は時の大神官に恋をし、手に入らないとしるや本性をあらわにした。
女は執念深く大神官をおって神の島へたどりつくと執念は彼女自身を変化させた、醜悪なる蛇の姿へと。
巨大な蛇は誰も大神官に近寄らせないよう監視するように神殿前の巨木に巻き付き、何人たりとも神殿に近付くことすらできなくさせた。大神官の容貌を目にすれば誰もが心をうばわれる、それほどに美しい若者だった。
「この翻訳した著者はこうも言っている。彼の血には光妖精(ライトエルフ)の血が混ざっていたと」
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