魔道竜 ーマドウドラゴンー

冰響カイチ

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第1章 禁断の魔道士

魔道竜(第1章、46)

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「妹がいたら…こんな感じなのか。生憎と俺に妹はいないがな」



「兄弟は?」



「俺は三人兄弟、それも長男だ」



「あら、長男は嫌われるのよぉ~知ってた?」



ニタ~と不敵な笑みを浮かべたセルティガはニンマリと薄ら笑いを浮かべる。



「ご心配なく。俺の容貌に女は花にむらがる蜜蜂のごとく吸い寄せられてくる」



アンタは掃除機か?


ゴミじゃあるまいし。



いかにも勝ち誇って優越感にひたるセルティガを見ていると、なぜかそのお高い鼻っ柱をおってやりたい衝動にかられる。



「俺はさしずめ大輪の薔薇。その甘く危険な香りは女をひきつけてやまない、優美にして甘美なフェロモンのかたまり。
つくづく罪作りな男だよな…俺ってば」



「夢たわごとは寝てからいいなさい。嘘も大概にしておかないと酷い目にあうわよ」



「嘘なわけあるか。この俺の愁いにぬれる瞳に見つめられると、どんな女もイチコロだ」



「一つ、ありがたい忠告をしておくわ。私ならセルティガみたいな男は丁重にお断りするわ、熨斗をつけて返品ものよ」



「強がりはよせ。見ろ! この俺の愁いにぬれる子犬のような眼差しを!!」



セルティガはティアヌを見つめ、瞼を開けたり閉じたりと同じ動作をくりかえす。



「正直な感想をのべてもいいのかしら?」



「どうぞ?」



げんなりと青ざめ、セルティガの顔からさりげなく目をそらした。



「き、気持ちが悪い……」



「アホか! やっぱりお前はまだまだお子ちゃまだな。大人の女ならば捨てられた子犬のような俺さまの瞳に見つめられると放っておけなくなるもんだ。
母性本能をくすぐる男の魅力がわからないなんてガキだガキ」



「ぼっ、母性本能!?」



ぷっププ……と一笑するや、セルティガは遠くを見つめる。



「しょせんお子ちゃまには…俺さまの魅力は理解しがたいものさ」



「そういうことにしておきましょうか、セルティガの名誉のために」



「おぃ、コラ、名誉とはなんだ」



「言葉どおりよ」



ムッとしたセルティガを放置してティアヌは火口をひと見回しする。



「放置するなよ、そこは突っ込みどころだろ?


……で、何を探しているんだ?」



「印よ、シ・ル・シ」



「どんな?」



「どんなって、トカゲ石とよばれるトカゲの尻尾のような形をした石よ」



「トカゲの尻尾? トカゲに似ているからトカゲの石って言うんだろうから、俺が思うに……アレじゃないのか?」



セルティガは目測で前方・五百メートル付近をゆびさした。



示された地点はマグマが活発にうごめく一角、そこに不自然なまでに点々と奇妙な形をした岩がころがっている。


ティアヌはそれを目でたどっていき点と点を結んだ。




ビンゴ!




「まさしくアレよ!セルティガにしてはお手柄かも」



「にしては、ってのが余計だっつうの! これぞ魔剣士の本領発揮」



「はいはい魔犬さん、よくできたわね~お手!」



「お手? 俺は犬コロじゃねぇ!子犬ってのはもののたとえだ!」



それはそうと、前置きをしてセルティガをやんわりとかわし、気持ちをきりかえる。



「見つけたからには行くっきゃないわね。怖じ気づいた?」



「アホ! 誰が怖じ気づくんだ?」



「なら行きましょうか」



ティアヌは駆け出そうとした。



「ちょっと待て」



セルティガはティアヌの二の腕あたりをムンズとつかんだ。



「一つ…聞いてもいいか?」



「何?」



「どうやってあそこまで行くつもりなんだ?」



「あのね~私をなんだと思っているの、言わずと知れたこと。
それより…腕、どこひっつかんでいるのよ痛いじゃない」



あ、と一言もらしてから慌ててセルティガはその手をはなした。



「…すまん」



「わかればいいのよ」


何とはなしに、今までとは違った気まずい空気が漂う。



    
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