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日常の変化

15.

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だめだ、寝れない。
昨日の夜、部長から電話が掛かってきた時の事を思い出して寝れないでいた。早く寝たいのに一向に寝れない。布団の上をゴロゴロとしては、部長の事を考えてしまう。

香奈って呼んでたよな…
護って呼ばれてたよな…
大学一緒だったんだっけ?それにしては仲良すぎない?
付き合ってたって本当なのかな?
22時過ぎに普通男性と2人きりで過ごす?
早く続きしたいって…
まさか、久しぶりに会って昔の気持ちが蘇ったとか…?

「あー、わっかんねぇよ」
何だか泣きそうになって、目元に手を置く。
あんだけ、俺に愛を囁いといて結局女に行ったのかな?
いくら運命の相手とは言っても、俺の第二の性感帯が見つからないし、体は小さくてもやっぱり柔らかい女性の方がいいよな…

「なんだそれ…」
何故か目から涙が溢れる。
何で俺、無理やり納得しようとしてるんだろ…
何で俺、こんなに部長の事、考えてるんだろ…
何で俺、裏切られた気分になってるんだろ…
分かってる。答えはもう既に分かっているのに今迄知らないふりをしていた。何てずるいんだろう。

「好き…好き…護さん、好き…」
自覚した途端、胸につっかえていた物が一つなくなった様な気がした。

「浮気しないって言ったのに…嘘つき」
うーっと、声を殺して泣いた。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「忘年会、参加しますか?小倉さん」
「忘年会…どうしようかな」
「えっ、小倉さんに参加しないっていう選択肢あるんですか?」
心底驚いてる様子の恭子ちゃんに、ジト目を送る。

あれから部長から本当の事を聞くのが怖くて連絡を全部無視していた。3回目の週末の時、俺が電話に出なかったからかそこから毎日、電話が掛かってくる。メッセージも入っていたが既読はつけていない。

「小倉さん、最近元気ないし行きましょうよ!行って発散しましょ?」
確かに最近は連絡が入ってる事もあって、毎日部長の事を考えてしまう。

「1人になったらまた嫌な事考えちゃいますよ?私、小倉さんと飲みたいです。どうしても行けませんか?」
「ふっ…分かったよ。行くよ」
ここまで後輩に言われて動かない先輩はいないだろう。それに恭子ちゃんが言っていたことは一理ある。家に1人でいたらまた余計な事を考えてしまいそうだ。

「部長は?来るの?」
忘年会は、今週末だが部長の出張も確か今週末で終わりだった筈だ。
「んーそれがまだ未定なんですよね。もしかしたら、間に合わないかもって言われてて」
「そうなんだ」
「小倉さん、最近部長の事気にしてますよね?もしかして…」
もしかしてと言葉を止められてドキドキし始める。
俺たちの関係がバレた?

「やっと、部長の魅力に気づいたんですかっ?」
「えっ…?」
嬉々とした表情で見てくる恭子ちゃんに拍子抜けする。
そう言えばこの子部長のファンだった。

「まーそんな所」
「何ですかその反応~。素直に認めたら良いのに~」
「はいはい、仕事戻るよ~」
別に嘘ではない。部長の魅力に気づいたのは本当だ。ただ気づいた瞬間失恋したってだけ。
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