小さなベイビー、大きな野望

春子

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"ゴシップ"

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ゴシップ記事は、比較的、一定数の人数に読まれ、好まれる。事実がどうであれ、娯楽的要素があれば、大抵は、良いのだ。
"フェイク"というゴシップの記事は、大抵は誇張と嘘が大半で、信じてるものは少ないが、それでも面白おかしく、記事に書かれていれば、当人じゃなきゃ、ただの娯楽。
フェイクは、少数精鋭で、編集長のキャサリン・マガーと言う女性を筆頭に、どこから湧いてきたかもわからない情報を世に出している。
煙たがれる理由は、一度張り付くと、かなりしつこい。訴えられた数は数知れず。
にも関わらず、今日まで、しぶとく、生き抜いてる。
キャサリンのお得意の記事相手は、魔法省、有名人、名家と呼ばれる家柄の人々に、四天王等々。
ありもしない事実を書かれ、憤慨した権力者に睨まれても、物怖じしないその姿勢は、ある意味、評価が高い。

"四天王、マダム・ジーナの黒い噂の真実"
見出しにデカデカと出され、マダムの顔がスッパ抜かれてるが、見抜ける人間は、誰も信じていない。それどころか、マダムの庇護を受けてる人間や組員からの猛烈な批判がフェイクにかなりの数で苦情が入る。
色町は元々、治外法権。色町のことは、四天王が仕切る。四天王がルールだ。フェイクが四天王に喧嘩を売ろうと勝手だが、四天王が色町の中で何をしようとも、それは許されてる。
「キャサリンは、消される気になったの?お兄様?」
ツェリは、焼きたてのパンにジャムを塗りながら、聞く。
わざわざ、家に送りつけてきた新聞に、目を通していたマルクスは、ニコッと笑う。
「キャサリンには品がないからね。まあ、お灸程度かも知れないよ。マダムは、キャサリンをネズミだと思っているようだから。」
「品のない内容ばかりだわ。信じる人間は、愚かな人間だけよ。リーサ。リスみたいに頬張るの、よしなさい。はしたないわ。」
「あ!スペンサー。テメー。人のおかず、取んなや!!」
「早い者勝ち。」
「騒ぐな!」
マッキーがおかずがスペンサーにとられ、朝から、賑やか。
「朝から見る内容ではないわ。マルクス。」
「そうだね。目を通したけれど、つまらない内容だったね。」
フィルが新聞を受けとる。
「お前たち、いい加減にしろ。何で朝から騒ぐ。」
「スペンサーのせいだろ!」
ロクサスに叱られる。
「キャサリン・マガーって誰?」
「ゴシップ記者だよ。ホラ吹き。絶対に近寄るな。あの女を好きやつはいない。近づいたら最後だよ。あることないこと、書かれるんだから。」
オルドーがばかだなとマッキーとスペンサーを見てる。
「俺の好きな歌手の悪口を書きやがって。」
忌々しそうに、オルドーは、ウインナーを齧る。






ゴシップ"フェイク"の執務室。
至って癖もない顔で捉え所のない顔つきのため、覚えられないが、それを武器に、情報をかき集め、あらゆるゴシップを記事に掲載し、登り詰めたキャサリン・マガー。
焦げた茶髪に茶色の瞳で、抗議文を見る目付きはニマニマ。彼女にとっては、抗議文など、ただの快楽の餌。権力、有名などは、よだれが垂れるほど、好き。そう言った輩から、情報を盗み、あること、ないことを、面白おかしく、書くのが、至高。所謂、変態である。
自身はどんな目にあおうと、記事のためなら、何でもやる。文字通り。そんな彼女の嫌らしさに辟易としてる人々は多く、蔑げている。
学生の頃から折り紙つきのゴシップ好きで、校内外における色んな記事を勝手に書いては、掲載し、停学処分を二度受けたこともある。
同学年のフランツ・ハルベルからは、あのような者と同じ空気を吸いたくないと言わしめたほど。
もちろん、彼や彼の兄弟の記事を書いたが、制裁が待っていた。フランツが裏でキャサリンを捕まえ、トラウマを受け付けたが、マルクスは容認しており、ツェリは、優しい兄がそのような真似はしないわ!と猛攻撃。
彼女はフランツ・ハルベルの回りで起きた出来事を記事に書いたが、それは、握りつぶされた。口外すれば、国が関わると。そのときは、諦める他、なかった。
「私は諦めないわ!見てなさい!」
誰もいない執務室で、一人、闘志を燃やす。
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