人生は何とか出来るもんである…多分…

春子

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第三話

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村の食料庫と呼ばれる山には、村人たちも中に入り、キノコや旬の山菜等を取る。
危険な魔物も出てこないので、安全地帯。
背負子を背負い、キノコ狩りの予定。
「グリードから離れるなよ?」
「グリード、頼んだからな?」
「おう。」
兄達が、グリードに言う。ちなみに、山に入るのは、庭に出掛けることと、同じである。が、兄達は、心配性。
母が持たせてくれた水筒も持っていく。
「無理せず、行ってこい。」
「うん。」
「相変わらず、心配性だなあ。」
グリードは、呟く。


「母さんと姉さんから、背負子いっぱいになるまで、帰ってくんなって言われたわ。」
「何したの?」
「いや、人は、好奇心を満たすもんだと思うわけよ?ちょっと庭で、どんなもんかと、薪を割ろうと風魔法でやったら、調整間違えてさ。塀をすっぱり、いった。母さんと姉さんの花壇の花が崩れた。」
「ダメじゃん。」
そりゃあ怒るわ。拘りの庭を壊されたら、怒る。
「グリード、魔法の才能があるんだから、都市部の学校に通わないの?ギルドで冒険者になるとか。」
「村生活に、困ってないしなあ。俺はニートになりたい!」
「ニート?」
「なんもしない奴。あっ、見っけ。コリタケ。」
コリタケとは、生でも食べれるが、炒めると、とても美味しい。中でも、コリタケと玉子炒めがオススメ。コリコリとした食感と卵のふわふわに油が混じったなんとも美味しい。
ブチブチ、引っこ抜く。
「グリード、あっちに、干し茸あるよ!」
乾燥させると、スープのいいお出汁が出て、美味しい。途中で見つけた果実を取る。
水分の代わりになる身の中にタプタプと入ってる球体。皮を剥いで、かぶり付く。甘い桃のような味。
口と手は、ベタベタするから、それが難点。ハンカチで拭く。
「グリードは、あっちの世界だと、山の中でも、何を取るのが好きだったの?」
「俺、東京生まれで田舎じゃないから、山に入るのは、行事の山登りぐらい。ここで、キノコ狩りしたり、果物狩ったりしてるわ。畑仕事なんて無縁な場所にいた。スーパーで買ってたし。」
「??山登りって山を登るだけなの?」
「そうそう。山頂を登って、降りてくんの。忍耐と持久力を鍛える。人によっては、ストレス発散になるらしい。」
「東京ってなに?」
「都市部。家の回りには、森はないし、畑もない。家庭菜園する人は中にはいたけど、農家さんから仕入れした野菜やら肉とか牛乳は、スーパーって言う店で取り扱ってて、みんな、そこで買う。」
普通の人は、ナイフを持って、食料を狩っていかないと言う。
「ナイフなんか、持ってたら、銃刀法違反で、間違いなく、捕まる。」
「ふーん。」
しゅばっとナイフで山菜を切り取る。

「あー。疲れたあ。基地にいこうぜ。」
「うん!」
子供は秘密基地を作る。
グリードが密かに作った秘密基地。
グリードにしか作れない。
神から貰ったらしいスキルで、移動。
普通は魔方陣を使用し、魔力を流してから、使うもので、貴重なものだ。一昔前なら、人狩りにあうレベル。
グリードに掴まる。
実際は何処の場所にあるのが知らないが、聞かない。出来た親友だと自画自賛。
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