異文化交流

春子

文字の大きさ
1 / 1

転校生がやって来ました。

しおりを挟む
かつては、争いの耐えない、醜い種族戦争をしていたが、平和協定が結び、今日まで、平和。

土地が悪かったのか、人間があんまり住んでいない。
妖怪や悪魔、天使など、人間以外の種族は、大勢、いるものの、なかなか、人間が住まず、学校には、人間が一人もいなかった。身近にいないものは、興味をひく。
先生いわく、うちのクラスに転校生が来ますが、ここに、入るなんて、可哀想だと、鷲鼻の魔女先生が言うが、お仕置きのためにヘドロのような薬草を飲ませる先生よりは、マシである。
「折角、ここに入ってくれたのです!あなたたち。いいですね!人間は、丁重に扱い、優しく、仲良くしなさい!!」
『はーい』
返事だけは一丁前だと先生は言う。


学校は、かなり強固に造られている。種族により、力関係で、壊されては、堪らないからだ。
特にこの小学校は土地柄、強い部類に入る。
公立小学校でありながら、児童による遊びで、何度か、壊れかけた。

魔女先生がつれてきた子は、聡明そうな男の子だ。真っ黒な髪の毛に瞳、何かが不思議なのだろう。辺りを見渡してる。
「はい。転校生の如月葉月君です。見た通り、人間です!いいですか。おふざけで、あなたたちが、ちょっと、叩いただけでも、大怪我です!暴れないように!」
「はじめまして。如月葉月です。わからないところは、教えてください。」
『よろしくね!!』
騒ぎ出す教室。人間に興味津々。
「あの角の生えた鬼の女の子の隣があなたの席です。行きなさい。」
「はい。」
ドキドキ。人間が隣に来た。チラチラ。
角がない!尻尾もない!羽もない!
「はじめまして。鬼丸かなめっていうの。よろしくね!」
「はじめまして。よろしくね。僕、人以外と接したことないから、教えてね!」
「うん!」
キラキラ、笑みを浮かべる。
魔女がかなめに頼みますよ?と心配に見てるが、気づいてない。

当たり前ではあるが、転校生とは、普通でも目立つ。群がり、あれこれ、構いたくなるものだ。
「人間って、飛べないんだろ?俺が一緒に空、飛んでやるよ!」
「バカじゃないの。そんなことしたら、人間なんだから、死んじゃうでしょ!ここは、あたしと、プールで泳ぎましょうよ!ね。泳ぎ方、教えるわ。」
烏天狗の少年が意気揚々と誘うが、人魚の女の子に却下される。はあ!?と喧嘩勃発。小競り合いだ。
「バカいうなよ!泳ぐより、空にとんだ方が、楽しいわ!」
「なんですって!!」
机をひょいと持ち上げ、ドタンバタン。荒れていく教室。また喧嘩だと呆れる同級生。
「危ないから、学校の案内する。」
唖然する葉月の手をひく。

「みんな、口より手が早いんだけど、心根は悪くないの。ごめんね!ビックリしたよね!」
「ちょっとだけ。話には聞いていたけど、あの机、アダマント製って聞いたけど。」
「うん…ちょっと、そのみんな、はっちゃけてるから。」
廊下を歩いてる。
まずはの案内先。保健室。
「体調悪くなったり、怪我したら来てね!保険医は山姥だけど、ちょっとはじめは、びっくりするかもだけど、優しいからね!お手の製のお茶とお菓子は美味しいよ!」
「山姥って本当に実在するんだね。」
「今はいないね。どこにいったかな?見回りかな?」
保健室を開けると、山姥先生は不在。誰もいないようだ。
「ねえ?聞いてもいい?あの部屋は物置部屋?」
「うん?」
極一般的な保健室の間取りに清潔感のあるベットと備品。にも関わらず、ちらっと見えたカーテンレールの向こう側の扉。
「わかんない。でもたぶん、触っちゃいけないんじゃないかな?近寄ると、山姥先生がものすごく、怒るから。前に入ろうとした生徒は、薙刀で、数十周、校舎外で、追いかけられたって聞いた。」
学校七不思議のひとつだ。
「薙刀?」
「出刃包丁がなかったんだって。」
「…。」
遠い目をする。
大丈夫かと、揺すった。

次に図書室。読書が好きらしい。
公立小学校だから、そんなに広くないが、居心地は良いと思う。図書委員の生徒が受付をしている。
「前の学校とあまり変わらない。」
「ほんと?」
「うん…ちょっと見ていい?」
「どうぞ。」
児童文学から推理小説、絵本に図鑑。
わあと、目をキラキラさせる彼に笑った。
そこに、似合わない叫び声がする。誰かが、禁書の本を開けたのだ。図書委員が立ち上がる。
『ギエエエ。』
甲高い、この世のものと思えない、歪な声だ。
葉月の耳を塞ぐ。
次第に、落ち着いて、無音になったと思ったら、誰かの悲鳴が響く。
「あっち。図書委員の座っていた後ろには、禁書があってね。いつもなら、鍵をかけた部屋に保管されてるの。でも、たぶん、誰が、出して、そこに置いてあったのを、誰かが開けちゃったんだ。見慣れない本があったら、まずは、図書委員にいってね。じゃないと、あーゆうふうになる。」
「え?」
禁書を開けてしまったらしい生徒が図書委員にしばかれてる。図書委員の人、ウサギの獣人だったよね?ウサギってあんなに獰猛?え?嘘?」
鞭持ってるけど。
「あ!禁書にはラベルが貼ってるから。分かりやすいよ!」
そんなアドバイスをもらった。

「ねえ。あれはドッチボール?ボールじゃないよね?あれ。デスゲーム?」
「ドッチボールだよ。でも何故か、いつも天使、悪魔のドッチボールだとお互いに殺伐してて、あれは六年の悪魔と天使だよ。ボールは普通のゴムボール。」
校庭を覗いてる。ドッチボールをする至って普通な光景が異様だ。殺伐し過ぎてる。回りの外野は、是か非とも、中のやつにボールを当てたいと思ってるし、中のやつは、ボールに当たらない!と集中しまくり。
「他の種族が入ったら、もうちょいおとなしいよ。あの二種、意外と見栄張るから。」
そうなんだ。

他愛ない話をしながらも、学校案内が進む。担任の魔女先生は、近寄りがたいけど、ほんとは優しいこと。学校の誰かがいじめられたら、いじめた他の学校のやつにやり返しに行くとか。
給食は、シチューが美味しいんだよ!とか。
「そういえば、かなめちゃんは、喧嘩したことあるの?」
「え?あるよ!そりゃあ。」
「ふふ。机を投げたり?」
「しないよ!かなめはね!こう見えても学年一、いいこです!」
腰に手をやる彼女に笑う。
ピクッ。
かなめが葉月の腕を掴む。
「!!?」
パリーンと割れた窓。破片が散らばる。
「大丈夫!?」
「平気。大丈夫?刺さらなかった?」
「うん!」
何故、窓が割れたのか?呆然と見上げると、目を見開いた。真っ白な髪に紅い目の少年だ。
「申し訳ない、大丈夫か?」
「おい。カールハインツ。大丈夫か?じゃないわ。何してくれてんの?この万年遅刻魔の吸血鬼野郎!!」
「かなめちゃん!?」
ぶわあと、怒りに満ちたかなめは、一瞬にして、鬼と化した。あとから聞いた話では、かなめとカールハインツは、犬猿の仲らしい。入学時からお互いを嫌う仲らしい。鬼本性のまま、荒ぶるかなめと吸血鬼のカールハインツの喧嘩は、魔女先生が来るまで、続き、二人とも、仲良く、ヘドロ薬草を飲んでいた。

僕、この学校で頑張れるかな?
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

俺の伯爵家大掃除

satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。 弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると… というお話です。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

悪役令嬢が処刑されたあとの世界で

重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。 魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。 案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。

処理中です...