ハッタリと適当で世界を救う ~泣きそうだけど最後まで貫く~

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第2章

賢者様、異世界からの来訪者!?

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(……ヤバい。完全に面倒ごとに巻き込まれた。)

 交易の村で巡礼を行っていた俺は、突如として"奇妙な相談"を受けることになった。

「賢者様……どうか、私を元の世界に戻す方法を教えてください!!」

(え!? えええええええ!?!?)

 突然の懇願に、俺は思わず目を見開いた。

(な、なに言ってんの、この人……!?)

 前に跪いているのは、見た目はこの世界の普通の青年に見えるが、俺の耳には、彼が完全に"日本語"を話しているように聞こえた。

(ってことは……まさか……!?)

「……あなたは、どういう意味で"元の世界"に戻りたいのですか?」

 慎重に言葉を選びながら尋ねると、青年は深く頷いた。

「……私は"異世界から来ました"。元々、日本という国にいたのですが、突然この世界に飛ばされてしまって……」

(ビンゴォォォォォォ!!)

 俺は内心で絶叫するが、表面上は冷静を装う。

「なるほど……では、その"日本"とはどのような場所なのですか?」

 ここで俺が不用意に知っていることを口にしたら、「あれ? 賢者様、日本のこと知ってるの?」となる可能性がある。慎重にいくぞ……!!

 すると、青年は食い気味に答えた。

「えっと……高度に発展した技術を持つ国で……魔法ではなく"科学"というもので生活を支えていて……」

(うんうん、すっごい分かるぞ、その説明!!)

「電車や車があり、スマートフォンという小型の機械で世界中の情報を得られて……」

(いやもう、絶対に俺と同じ日本人だろ、この人!!!)

 だが、この話をここで「分かる!」とか言うわけにはいかない。

 ソフィアをチラリと見ると、彼女は静かに俺の様子を観察していた。

(やばい、ここで変なリアクションをしたら、俺まで"異世界人"だと疑われるかもしれん……!!)


「……それは興味深い話ですね。」

 俺は慎重に言葉を選ぶ。

「"元の世界に帰る方法"を知りたい……ということですが……私には"確実な方法"は分かりません。」

(うわああああ!!! もっともらしい嘘をつかないと!!!)

 しかし、ここで突き放すわけにもいかない。俺だって、こいつがどういう経緯でこの世界に来たのか知りたいし、できることなら保護してやりたい。

「ですが、異世界への移動は"特定の法則"がある可能性が高いです。」

「本当ですか!?」

 うおおおおお、めっちゃ食いつかれた!!

「確実な証拠はありませんが、"召喚術"や"転移魔法"といった技術が、この世界には存在します。それらが関係している可能性はありますね……」

(あ、ちょっとそれっぽいこと言えたかも!?)

「じゃあ、研究すれば帰る方法が分かるってことですか!?」

(やばい、めちゃくちゃ期待されてる……!!)


 ふと気づくと、ソフィアがじっと俺を見つめていた。

(やばい、なんか疑われてないか……!?)

「……賢者様?」

「な、なんだ?」

「"異世界"の話に対して、驚きが少ないように見えますが……」

(ギクッ!!!)

「いや、その……賢者たる者、あらゆる知識に精通しているものだろう? だから、異世界の概念にもそれほど驚かないというか……」

 ソフィアは一瞬考え込んだが、「まぁ、それはそうかもしれませんね」と納得したようだった。

(あぶねえええええ!!!)

 とにかく、俺が異世界人であることはバレずに済んだ……!!

 それよりも、この青年をどうするかが問題だ。

「……君の名前は?」

「西村 昇(にしむら のぼる)です。」

(やっぱり日本人じゃねぇか!!)

「昇よ。しばらくはこの村で大人しくしていた方がいい。異世界人であることが知られれば、厄介なことになるかもしれん。」

 俺は"保護"する方向で話を進めることにした。

「本当に帰る方法があるかどうかは、時間をかけて探る必要がある。すぐに答えが出るものではないからな。」

「……分かりました。でも、賢者様が調べてくれるなら、僕はそれを信じます!!」

(いや、そんなこと言われても……俺、ほんとに何も知らんぞ……!?)

 こうして、俺は**"異世界から来た日本人"を保護することになった。**


---


俺が日本人だとは気づかれずに済んだ!!(ギリギリ)

異世界から来た西村 昇を保護することに!!

だが、彼の存在がバレれば王国や教会が動く可能性も……!?

さらに、彼の異世界転移の経緯を調べれば"元の世界に帰る方法"が見つかる可能性も……!?


(うおおおお、めちゃくちゃ厄介なことになってきたぞ……!!!)

 俺は新たな問題を抱えながら、頭を抱えたのだった――。



---

(まさか、俺以外にも"異世界から来た日本人"がいたとはな……)

 異世界転移したという**ノボル(西村昇)を保護することになった俺。
 彼は「賢者様なら元の世界に帰る方法を知っているかもしれない」**と期待していたが……

(俺も帰る方法なんて知らねぇぇぇ!!!)

 しかし、彼を無下にするわけにもいかない。
 何より、**"俺の正体がバレないようにする"**ためにも、慎重に行動する必要がある。

 まずは、彼がどうやってこの世界に来たのかを詳しく聞き出すべきだろう。

 俺たちは宿の一室にノボルを案内し、異世界転移の経緯を尋ねることにした。

「ノボルよ。君は、どのようにしてこの世界に来たのか?」

 俺が問いかけると、ノボルは少し考え込みながら話し始めた。

「……正直、気づいたらここにいたんです。普通に大学の帰り道を歩いていたら、急に眩しい光に包まれて――気づいたら、この世界の森の中でした。」

(……うーん、よくある異世界転移パターンだな)

「それで、どうやって生き延びたんだ?」

「最初は食べ物もなくて、死ぬかと思いました。でも、運良く"盗賊団のアジト"を見つけたんです。」

「……盗賊団?」

「ええ。そこで彼らが食料を貯め込んでいたので……申し訳ないんですが、全部持ち逃げしました。」

「……は?」

 思わずソフィアと俺が同時に聞き返した。

「だって、仕方ないじゃないですか!! 俺、死にたくなかったし!!」

(いや、まあ、そうなんだけど……)

「でも、そのおかげで、なんとか生き延びて、この村までたどり着いたんです。」

(つまり、コイツ……異世界転移して即、盗賊団から物資を奪い逃げたってことか……)

「ちなみに、その盗賊団はどうなった?」

「それが……次の日、村の兵士たちに全滅させられてました。」

「……」

「えっと……俺、何かまずいことしました?」

(完全に、こいつのせいで盗賊団が飢えて弱体化→簡単に討伐された流れじゃねぇか!!!)

 俺は顔を覆いながら、深いため息をついた。

「……まあ、結果的には村のためになったな。」

「ですよね!? 俺、いいことしましたよね!?」

(いや、結果オーライとはいえ、お前がやったことは微妙にヤバいやつだからな!?)


 ソフィアが腕を組みながら言う。

「"異世界転移"の話は、決して珍しいものではありません。」

「……そうなのか?」

「ええ。勇者召喚の儀式によって、これまで幾度となく"異世界の勇者"が召喚されています。しかし、ノボルのように"召喚ではなく、突然転移した者"の話は、ほとんど聞いたことがありません。」

(やっぱり、この世界には召喚された異世界人がいるんだな……)

「異世界の勇者といえば、王国の"聖剣の勇者"が有名ですね。」

「そ、そうか……」

(ヤバい、ここで余計なリアクションをすると、俺が異世界人だと怪しまれる……!!)

 俺は慎重に言葉を選ぶ。

「ノボルの転移が"召喚"とは異なるのであれば、別の方法で移動したと考えられるな。」

「そうですね。しかし、召喚魔法を用いずに異世界から来るというのは、極めて異例です。魔法研究家たちが知ったら、彼を研究対象にするかもしれませんね。」

(あっぶねぇぇぇぇ!!!)

 俺は何気なくノボルを見ると、彼も冷や汗を流していた。

「えっ……俺、研究されちゃうんですか……?」

「下手に目立てばな。」

「……俺、賢者様に守ってもらえますよね!?」

(うおおおお、すごい目で見てくる!! そんな期待されても俺だってどうすればいいか分かんねぇよ!!)


「……ひとまず、ノボルの安全を確保するのが先決だな。」

「そうですね。このまま村にいれば目立ちますし……」

「よし、ノボル。お前はしばらく"俺の弟子"ということにしておけ。」

「えっ!? 俺が賢者様の弟子に!?」

(このまま"異世界人"として扱われるよりは、"賢者の弟子"ってことにしといた方が安全だろ……)

「じゃあ、俺も魔法とか学べるんですか!?」

「……お、おう(適当にごまかして時間稼ぎだ)!!」

 こうして、俺は**"異世界から来た日本人"を保護し、さらに"弟子"ということにして正体を隠す**ことにしたのだった――。


---

異世界人・ノボルを保護! しかし、スキルも魔法もなし!?

ソフィアたちは"異世界からの勇者召喚"を知っているが、ノボルのような"転移者"は知らない!

俺の正体がバレないように、ノボルを"賢者の弟子"として偽装!

果たして、異世界転移の謎を解き明かせるのか!?


(うおおおおおお!!! 俺、どんどん責任増えてないか!?!?)

 俺の嘆きの声が、交易の村の夜空にむなしく響き渡った――。


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