異世界転移したおっさんが、凡庸スキルで現実的に成り上がる

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第一章

風魔法の実戦投入

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俺はようやく最初の魔法を手に入れた。

《ウィンド・ボール》。

小さな風の球を作り出し、
敵に向かって放つ攻撃魔法だ。

だが、使えるようになっただけでは意味がない。

(実戦で通用するのか、確かめなきゃな……。)

俺はギルドへ向かい、討伐依頼を受けることにした。


---


「風魔法を試したいんだが、ちょうどいい討伐依頼はあるか?」

ギルドの受付で、カリンにそう尋ねる。

「そうですね……それなら、こちらはいかがですか?」

彼女が差し出した依頼書を読む。


---

《スライム討伐》

危険度:★★☆☆☆

報酬:銅貨150枚(魔石買取込み)

討伐数:5体以上

注意点:物理攻撃が効きづらいが、魔法には弱い



---

(スライムか……ちょうどいい。)

スライムは物理攻撃が効きづらいが、
魔法には弱いとされている。

俺の初めての魔法を試すには、
まさに適任の相手だろう。

「これを受ける。」

「わかりました。お気をつけて。」

カリンに見送られ、
俺はスライムが出現する森へと向かった。


---



森に入ってしばらく歩くと、
木の根元に、青く半透明な物体がうごめいているのを見つけた。

(いたな……スライム。)

ポヨン……ポヨン……と、
弾むような動きで、地面を這い回っている。

見た目は可愛いが、
弱い冒険者なら飲み込まれてしまうこともある危険な魔物だ。

(さて……試してみるか。)

俺は、スライムに向かって手をかざす。

魔力を練り、
風を形作るイメージを持つ。

(よし……!)

「風よ、我が手に宿れ――《ウィンド・ボール》!」

シュッ!

手のひらの前に、風の球が現れた。

だが、次の瞬間――

「――ッ!?」

ボンッ!!

風の球が暴発し、俺の目の前で霧散した。

「くそっ……まだ制御が甘いのか……!」

魔法を出すことはできるが、
"狙った方向へ飛ばす"のが難しい。

(もう一度……!)

再び魔力を練り、
風を球状に圧縮する。

「――今度こそ!」

シュウッ!!

今度はしっかりと形を作り、
手を振ると同時に前方へと飛ばした。

ボフッ!!

風の球がスライムに直撃する。

「ギュプッ……!」

スライムの体が波打つように揺れ、
内部のコアが見えた。

(効いてる……!)

だが、一発で仕留めるには至らなかった。


---



「なら、追撃だ!」

俺は剣を抜き、
スライムのコア目がけて突きを放つ。

ズブッ!!

剣が半透明の体を貫き、
コアを砕いた。

「ギュル……!」

スライムがビクッと震え、
地面に溶けるように消えていく。

(よし……1体目撃破。)

だが、戦闘音を聞きつけたのか、
周囲からスライムがさらに4体、
こちらに向かってくる。

(まとめて相手するしかないか……!)

俺は、剣を構えながら魔力を練った。


---



(さっきの失敗を思い出せ……。)

魔力を出すだけじゃダメだ。
しっかりと狙いを定めて撃つ。

「風よ、貫け――《ウィンド・ボール》!」

風の球を作り、
しっかりとスライムのコアを狙う。

ズドンッ!!

命中。

風の衝撃でスライムのコアが揺れ、
ひびが入る。

(狙いを定めれば、ちゃんとダメージが入る!)

さらにもう一発。

「《ウィンド・ボール》!」

ズドンッ!!

2発目の風弾で、
スライムのコアが砕け、
そのまま崩れ落ちた。


---

戦闘終了――合計5体討伐完了。


---



ギルドへ戻り、カリンに報告。

「お帰りなさい。スライムの討伐結果を確認しますね。」

魔石を渡すと、カリンがカウントする。

「5体討伐ですね。報酬は銅貨150枚になります。」

「助かったよ。」

「どうでしたか? 初めての魔法は。」

俺は少し考え、答えた。

「……実戦では、まだまだだな。」

魔法は出せるようになったが、
命中率が低く、威力も不安定だった。

「もっと練習が必要だ。」

カリンは微笑みながら頷いた。

「ええ、でも、最初はみんなそんなものですよ。大事なのは、諦めないことです。」

「ああ……そうだな。」

剣の修行だって、
10ヵ月かかったんだ。

魔法も、焦らず鍛えていけばいい。

(次は、風魔法をもっと使いこなせるようにならないとな。)

俺は、さらなる成長を目指し、
次の修行に向けて動き出すのだった――。





スライムとの戦いで、
俺は自分の魔法がまだまだ未熟であることを痛感した。

発動までの時間が長い(約3秒)

命中率が低い(狙ったところに飛ばない)

威力が安定しない(強い時と弱い時の差が激しい)


今のままでは、
実戦では使い物にならない。

(剣と同じだ……ただ振れるだけじゃダメだ。 "確実に仕留める技術"を磨かなきゃな。)

俺は徹底的に、風魔法の精度を高める訓練を開始することにした。


---



最初の課題は、発動時間の短縮。

「お前が剣を振るうとき、3秒も構えているか?」

エリックの言葉を思い出す。

(そうだ……剣なら"考える前に動く"ように鍛えたんだった。)

魔法も同じだ。
意識するより先に発動できるようにしなければならない。


---

俺は、まず魔力の練り時間を短縮する訓練を始めた。

最初は3秒。
次は2.8秒。
2.5秒……2.2秒……2秒……。

しかし、ここからが難しい。

魔力を無理に速く練ろうとすると、
"魔力の流れが乱れて"しまい、
風弾が暴発したり、弾けて消えてしまうことが増えた。

(無理やり速くするだけじゃダメだ……。)

魔力を"速く"ではなく、"効率的に"練る方法を探さなければならない。


---

俺はまず、魔力を練るルートを最適化することにした。

1. 体のどこから魔力を引き出しているかを分析する。


2. 魔力が手まで到達する流れを意識する。


3. 無駄な回り道をさせず、最短ルートで指先へ流す。



(これは剣の軌道と同じだな……。)

最短ルートで魔力を流すことで、
魔法の発動速度は約1.2秒まで短縮できた。

最終的には1秒を切ることができるようになった。

3ヵ月の試行錯誤
---



次に、狙った場所に魔法を当てる訓練を開始した。

スライム戦では、
俺の《ウィンド・ボール》がことごとく外れた。

(風魔法は、弾速が速く、直線的に飛ぶと思ってたが……。)

実際には、放たれた後に僅かに軌道がブレることがわかった。

「魔法はただ撃つのではなく、"風の流れを計算して撃つ"ことが重要です。」

神官のアドバイスを受け、
俺は的を使った訓練を開始した。


---

最初の課題:静止した的を狙う

的の中心に向かって、
確実に風弾を命中させる訓練。

最初は、5発撃って1発しか当たらなかった。

(くそ……剣ならこんなに外さねぇのに……。)


---

次の課題:距離を変えて当てる

的を5m、10m、15mと離して、
風弾を当てる訓練。

距離が長くなるほど、
軌道がブレやすくなる。

ここで、俺は
**「魔力を圧縮するほど軌道が安定する」**ことに気づいた。

魔力をギリギリまで圧縮して放つと、
風弾の弾速が上がり、
外れにくくなるのだ。


---

さらに応用:動く的を狙う

最後の課題は、動く的に風弾を当てる訓練。

木にロープを結び、
吊るされた的を揺らしながら撃つ。

これは剣の組手に近い感覚だった。

相手の動きを見て、
"先を読んで撃つ"ことが重要だった。

この訓練を3ヵ月続け、
ようやく風弾を動く的に正確に当てられるようになった。


---



最後の課題は、魔法の威力を安定させること。

俺の風弾は、強い時と弱い時の差が激しい。

「魔力の流れが不安定ですね。均等に流すことを意識してください。」

魔力の流れを一定にするには、
「力を込める」のではなく、
「均等に流し込む」ことが重要だった。


---

俺はまず、
魔力を一定の速度で流す訓練を始めた。

「風よ、均等に吹き抜けろ――《ウィンド・ボール》!」

最初は失敗ばかりだった。

しかし、
剣術と同じように"力を抜くこと"を意識すると、
魔力の流れが自然と安定するようになった。

最終的に、
風弾の威力を一定に保つことができるようになった。

1ヵ月の精密調整

---



こうして、
俺は6ヵ月間にわたる徹底的な鍛錬を積み、
風魔法を実戦レベルまで高めることができた。

《ウィンド・ボール》は、
もはやただの風の球ではない。

発動速度:1秒以内に発動可能

命中精度:動く敵にも高確率で命中

威力:安定して魔石を破壊できるレベル


(これなら……実戦でも通用する!)

俺は、さらなる成長を目指し、
次の修行に向けて動き出すのだった――。


---



訓練を終え、
俺はギルドへ向かった。

「今日はどの依頼をお探しですか?」

「……強めの討伐依頼を受けたい。」

カリンは少し驚いた顔をしたが、
すぐに微笑んで依頼書を差し出した。


---

《オオカミ型魔物:フェンリル・ウルフ討伐》

危険度:★★★☆☆

報酬:銀貨10枚(魔石買取込み)

討伐数:1体以上

注意点:素早く、群れで行動することもある



---

「これを受ける。」

「気をつけてくださいね。」

俺は森へと向かった。

"鍛え上げた魔法"が通用するのか、
"剣と魔法の併用戦闘"が可能か――

その答えを求めて。
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