異世界転移したおっさんが、凡庸スキルで現実的に成り上がる

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第一章

リアクター室の脅威

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リアクター室の扉が静かに開いた瞬間、
俺たちは言葉を失った。

「……これは……」

中に広がるのは、まるで"異質な世界"だった。

リアクターを囲む壁や床の一部が黒く変色し、
ねっとりとした有機物のようなものに覆われている。

天井からは、無数の細長い突起物が垂れ下がり、
わずかに蠢いているようにも見えた。

「……なんだ、この気味の悪い空間は?」

エドガーが剣を構えながら言う。

「これは……魔物の巣? でも、見たことない……」

リディアも慎重に杖を握る。

「ハロウ、これは何だ?」

「……詳細不明。事故後のデータにこのような現象は記録されていません。ただし、リアクターの正常な機能が阻害されていることは確かです。」

レイナも目を細めながら、辺りを警戒する。

「……やっぱり、ここで何かが繁殖しているのかもしれないわね。」

その時――

ズル……ズルル……

暗闇の奥で、何かが動いた。


---



「……来るぞ!」

俺が警戒を強めた瞬間、
黒い有機物に覆われた天井から何かがゆっくりと降りてきた。

その姿は……

「……う、嘘だろ……?」

エドガーが息を呑む。

そこに現れたのは、まるで人間の形をした何かだった。

黒い粘液に覆われた体躯。
その表面は半透明で、内部に無数の光る管のようなものが脈動している。
しかし、顔はまるで溶けかけたように不完全で、
空洞になった口からは、低いうめき声が漏れていた。

「……まるで"変異した人間"みたいだな……」

リディアが青ざめた顔で言う。

「ハロウ、こいつは何なんだ?」

「該当するデータなし。ただし、生体反応を検知。敵対的である可能性が高いため、警戒を推奨。」

すると、天井だけでなく、壁の奥からも複数の同じ存在がゆっくりと現れ始めた。

「……これ、ヤバくないか?」

エドガーが冷や汗を浮かべる。

「数が増えてる……!」

リディアも息をのむ。

「戦闘は避けられないわね。」

レイナが冷静に銃のような武器を構えた。

俺は剣を握り、仲間たちを見渡した。

「やるしかねぇな……!」


---



黒い異形の生物たちは、ゆっくりとした動きから一転、
突然、信じられないほどの速さで俺たちに向かって飛びかかってきた!

「エドガー、リディア! 正面は俺たちで押さえる!」

「わかった!」

「了解!」

エドガーが先陣を切り、
巨大な剣を横薙ぎに振るう!

ザシュッ!

しかし――

「……っ!? 切れねぇ……!」

エドガーの剣が異形の体に食い込み、
黒い粘液が飛び散るが、完全に切断することはできなかった。

「クソッ、なんて硬さだ……!」

その瞬間、
異形の生物が腕を振り上げ、エドガーに叩きつけようとする!

「危ない!」

俺はすぐに風魔法を発動し、エドガーを吹き飛ばすように回避させた。

ゴッ!!

異形の腕が床を叩き割り、
そこに巨大な穴が開く。

「……っぶねぇ!」

エドガーは息を整えながら立ち上がる。

「硬いなら、魔法で押し切るしかないか……! リディア!」

「任せて!」

リディアが集中し、雷魔法を発動する。

「雷撃閃――サンダースパイク!」

バリバリバリッ!!

放たれた雷が、異形の生物の体に直撃する。

「ギャアアア……ッ!!」

生物が苦しむようにのたうち回る。

「……雷が効いてる!?」

レイナが驚いたように言う。

「魔法が有効なら、一気に押し込むぞ!」

俺も剣を構え、風魔法で速度を上げながら斬り込んだ!

「はあぁぁっ!!」

ザシュッ!

今度は、雷でダメージを受けた部位を剣で断ち切ることに成功する!

「……なるほど、まずは魔法で弱らせてから、物理で仕留める流れか。」

レイナはすぐに理解し、自分の銃の引き金を引いた。

バシュッ!

銃弾が、雷を浴びた異形の体に突き刺さり、完全に崩壊する!

「よし……この戦法ならいける!」

俺たちは連携しながら、次々と異形の生物を撃破していった。


---



「……はぁ、はぁ……なんとか、片付いたか……?」

数分に及ぶ戦闘の末、
俺たちはどうにか異形の生物を殲滅することができた。

エドガーが肩で息をしながら剣を支え、リディアも疲れたように膝に手をついている。

レイナも銃を持ったまま辺りを見渡し、慎重に周囲を確認した。

「……どうやら、まだ他の反応はないみたいね。」

俺はホッと息をつきながら、ハロウに尋ねた。

「ハロウ、リアクターの状態は?」

「戦闘終了を確認。リアクター本体に外部干渉はなし。ただし、補助システムの一部が損傷しています。」

「修理は可能か?」

「レイナ・カーター技術士官の協力があれば、復旧可能です。」

レイナが小さく笑い、頷いた。

「やるしかないわね。」

俺たちはようやく一息つきながら、
リバティの完全復旧に向けて動き出した――。


---

「ハロウ、リアクターの状態は?」

「リアクター本体は健全ですが、補助システムの損傷が確認されました。修理が必要です。」

レイナがリアクターの操作パネルに近づき、慎重に触れた。

「……うん、まだ生きてるわね。ハロウ、詳細な損傷個所を表示して。」

「了解。データを展開します。」

リアクター室の中央に立体ホログラムが浮かび上がる。

青く輝く球体――リアクターを中心に、
その周囲に赤く点滅する部分が複数見える。

「この赤い部分が損傷箇所か……どれくらい時間がかかる?」

「レイナ・カーター技術士官の手動修理が必要です。所要時間は約2時間。」

レイナはホログラムを見つめながら、静かに頷いた。

「よし、やるわ。ジン、みんなは周囲の警戒をお願い。」

「任せろ。」

俺たちはリアクター室を取り囲み、再び異形の生物が現れないか警戒しながら、
レイナの作業が始まった。


---



レイナは、コンソールを操作しながら、
時折ハロウに指示を仰いでいた。

「ハロウ、この配線は?」

「その部分は冷却システムへの接続です。断線を修復する必要があります。」

レイナは慎重に手を動かしながら、細かい作業を進める。

俺はそんな彼女の姿を見て、思わず声をかけた。

「お前、よくこんな複雑なものを理解できるな。」

「一応、技術士官だからね。こういうのが私の仕事よ。」

「いや、すげぇよ。俺だったら、こんなパネルの文字を見るだけで頭がパンクする。」

レイナはクスッと笑い、軽く肩をすくめた。

「まぁ、私にとってはあなたたちが使う"魔法"のほうが信じられないわ。エネルギーを直接操るなんて、科学じゃ説明できないもの。」

「魔法ってのは、訓練と才能次第で使えるようになるもんだ。俺も最初は何もできなかった。」

「……なら、私にも魔法が使えるようになるのかしら?」

「さぁな。試してみる価値はあるかもな。」

そんな会話をしながら、レイナの修理作業は着実に進んでいった。


---



1時間ほどが経過し、作業は順調に進んでいた。

しかし――

「ハロウ、エネルギーフローに異常があるわ。」

レイナの表情が険しくなる。

「警告。リアクター内部で未確認のエネルギー反応を検出。」

「……未確認のエネルギー反応?」

「詳細不明。ただし、リアクターの核部に影響を及ぼしている可能性があります。」

レイナが操作を進めると、
リアクターのホログラムに、今まで見えなかった赤黒い影のようなものが浮かび上がった。

「なんだこれは……」

俺も目を凝らしてホログラムを見るが、
それはまるで"魔力の塊"のようにも見えた。

「ハロウ、これは生物なのか?」

「不明。しかし、リアクターのエネルギーシステムに"寄生"しているように見えます。」

「……つまり、これを取り除かないと完全な修復はできないってことか。」

レイナが眉をひそめながら言う。

俺は剣を握り、仲間たちを見た。

「なら、俺たちでこいつを何とかするしかないな。」


---



リアクターの周囲に、
突如として"黒い影"が集まり始める。

それはまるで、異形の生物たちが溶け合い、新たな存在を生み出そうとしているかのようだった。

「くるぞ!」

俺たちはすぐに戦闘態勢を取る。

黒い影は次第に形を成し、
やがて巨大な**"影の獣"**のような姿になった。

「……これは、まるで魔王軍の魔物のようだ……」

リディアが震えた声で言う。

「でも、こんなもの見たことない……」

「とにかく倒すしかねぇ……!」

影の獣は咆哮し、俺たちに向かって襲いかかってきた!


---



影の獣は、まるで黒い霧のような体を持ち、
実体があるのかないのか分からない。

「攻撃が効くのか……!?」

俺が剣を振るうが、
刃が影の中を通り抜け、手応えがない。

「クソッ……! 物理攻撃が通らねぇ……!」

エドガーも剣を振るうが、やはり通じない。

「じゃあ、魔法ならどう!?」

リディアが即座に雷魔法を放つ。

「雷撃閃――サンダースパイク!」

バリバリバリッ!!

雷が影の獣の体に命中し、
一瞬だけその姿が揺らぐ。

「……効いてる!」

「なら、魔法で押し切るしかねぇな!」

俺も風魔法を放つ。

「ウィンドカッター!」

シュバァッ!!

風の刃が影を切り裂き、
その体が分裂する。

「いける! 魔法攻撃で削っていくぞ!」

俺たちは魔法を連携し、
次第に影の獣の形を崩していった。

「トリアス先生、支援魔法を!」

「了解!魔力増強――エンハンスマナ!」

俺たちの魔力が高まり、
攻撃がさらに強力になった。

「とどめだ……!」

俺は剣に風の魔力を込め、
全力で影の獣に向かって突き刺した。

「はぁぁぁぁっ!!」

ズバァッ!!!

影の獣が裂け、
断末魔のような悲鳴をあげる。

――ギャアアアアアア!!!

そして、黒い霧となって消え去った。


---



「……終わったか?」

俺は剣を納め、息を整えた。

レイナがリアクターのコンソールを操作し、確認する。

「ハロウ、システム状況は?」

「異常エネルギーの消滅を確認。リアクター、完全復旧。メインシステムの起動が可能です。」

「やった……!」

俺たちはついに、
リバティの完全起動に成功したのだった――。


---
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