スマホ片手に異世界ライフ! ~神様のアプリで無敵冒険者~

モデル.S

文字の大きさ
52 / 78
第1章

襲撃

しおりを挟む
森を抜け、街道へと向かう一行。
空は朱に染まり、あたり一帯を赤く染めていた。

「……ようやく終わったな」
ジャグが肩を回しながらぼやく。

「マジで疲れた……」
ミックが項垂れ、ドンも黙ってうなずいた。

ガアラたちも、貴族パーティーも、ザ・普通チームも、皆足取りは重かった。

その時――

 

――ズズ……ッ。

大地が微かに震えた。

「……っ!?」
リィナが敏感に反応する。

ガアラは即座にスマホを確認。

> 【異常検知】
【複数の大型魔力反応を感知――接近中】
【推定:大型異形×4体】



 

「来るぞ!!」

叫んだ直後、森の奥から四つの巨影が飛び出してきた。

全身が膨れ上がった異形たち。 それぞれが別の方向から四組に向かって突進してくる!

「分散しろ!!」

ガアラの号令に、全員が即座に対応する。

 

ガアラ・リィナ・カリア組は、右手から突進してきた一体と激突。

剣に魔力を纏い、ガアラが前へ。

「来いッ!」

異形の腕が唸りを上げる。

【疾駆】で一気に間合いを詰め、剣を閃かせる!

斬撃が肩口を裂き、リィナが影走りで背後へ回り込む。

カリアが支援魔法【エアハンマー】を撃ち込み、異形の体勢を崩す!

「いける!!」

一気に畳み掛ける!

 


ケンカ屋三人組――ジャグ、ミック、ドンも、それぞれ異形に立ち向かっていた。

ジャグの棍棒がうねり、ミックの短剣が足元を狙い、ドンが巨体を押し込む!

「オラァァァ!!」 「こっちだゴラァ!!」

ごり押しながら、少しずつ異形を追い詰めていく。

 


貴族パーティー――レオン、リーナ、ギド、ゼノもまた、必死に応戦していた。

「リーナ!結界! ギド、支援を!」

「任せて!」

雷の剣を振るうレオン。 補助魔法を展開するギド。 リーナが結界で攻撃を防ぐ。

まとまりのある連携で、異形を徐々に押し返していく。

 


普通冒険者チーム――地味な服装だが堅実な動きをする四人組。

「落ち着いていけ! 相手の動きを読め!」

リーダー格の青年が指示を飛ばし、残りの三人が左右から挟み撃ち。

火魔法、短剣、槍――バランス良く攻め続ける。

異形は荒れ狂うが、的確な攻撃で着実にダメージを与えていく。

 


森に、怒号と咆哮が木霊する。

四組それぞれ、死力を尽くして一体ずつ異形と渡り合っていた。

 

「カリア、オーバーブラスト準備できるか!」

「いける!」

カリアが魔力を極限まで高める。

ガアラが異形の膝を斬り裂き、リィナが背後から急襲。

魔力が収束し、カリアの両手に光球が膨れ上がった!

「撃つ――!!」

「オーバーブラスト!!」

 

ズガァァァァァァン!!!

 

巨大な魔力が炸裂し、異形の腹を抉り飛ばす!

ぐらりとよろめいた異形を、ガアラが跳躍して魔力纏いの剣で一閃!

ズバッ!!

首筋を断ち、異形は絶叫しながら崩れ落ちた。

 

「……一体、撃破!」

 


同時に、他の場所でも勝負がつき始めていた。

スキンヘッド三兄弟が、掛け声を合わせて異形を倒す。

「いっくぞオラァァァァァ!!」

ジャグたちケンカ屋三人組も、ミックが足を斬り、ドンが押し倒し、ジャグが頭を叩き潰す!

「くたばれゴラァァァァ!!」

レオンたち貴族チームも、最後にレオンが雷閃剣で魔石を貫き、撃破する。

「これで、終わりだッ!!」

普通冒険者チームも、連携して異形を削り続け、最後はリーダーの槍が魔石を穿った!

 


静寂。

四体の異形が、すべて地に伏していた。

「はぁっ……はぁっ……!」

「やった……」

全員が肩で息をしながら、互いの無事を確認し合う。

 

「……全員、生きてるな」

ガアラが小さく呟く。

皆、ボロボロだが――誰一人欠けなかった。

 

ジャグが吼えた。

「おらぁぁ! 俺たちCランクだってやりゃあできるんだよォ!!」

「……騒がしいわね」 リィナが苦笑する。

 

レオンも剣を収め、静かに呟いた。

「悪くない……」

その顔に、少しだけ誇りの色が宿っていた。

 

Cランクたちは、それぞれに傷を負いながらも、
確かに――一歩、強くなっていた。

 


「帰るぞ。みんなで、堂々とな」

ガアラの言葉に、全員が頷いた。

ボロボロの体で、互いに支え合いながら、彼らはグラースの街へと向かった。

沈みゆく夕陽が、彼らの背を、静かに照らしていた。


---

ギルドの重い扉を押し開けると、昼の活気が戻った室内に、スキンヘッド三兄弟――ギズマ、グリル、ゲーラの姿があった。

ガアラたちに気づくと、ギズマが腕を組んだまま、にやりと笑う。

「おう、のろま共。生きて戻ったか」

「そっちこそ。どこでサボってたんだ?」 ガアラが笑い返すと、グリルが肩をすくめた。

「サボってたわけじゃねぇ。途中で別の群れに絡まれてな。そっち片付けてたら……お前ら見失っただけだ」

「……またゲーラが方向音痴やった?」 カリアが小声でツッコミを入れると、ゲーラはむすっと顔を背けた。

「……違う」

リィナはため息混じりに笑った。

「……まあ、無事ならいいわ」

 

ギズマが棍棒を肩に担ぎ直し、不満げにぼやいた。

「ったくよー……俺らもよ、でかぶつと一戦交えたかったんだぜ?」

「こっちは命がけだったんだけどな」
 ガアラが苦笑しながら返す。

「美味しいとこだけ持ってきやがって」 
グリルが睨む。

「いや、マジで美味しくなかったけど!?」 
リィナが即ツッコミ。

ゲーラも短くぼそっとつぶやいた。

「……次は、俺らもやる。」

ガアラたちも、にやりと笑う。

「じゃあ、次は誰が一番先に魔石ぶっこ抜くか勝負だな」

ギズマが棍棒をくるりと回してにやけた。

「……負けねぇぞ、テメェら」

 

冗談混じりだが、剣呑な火花も散る。

だが、それもまた――
同じ修羅場を生きた者たち特有の距離感だった。

 


「おいそこのガキども! 報告まだかー!」

ギルド職員の怒鳴り声にせかされ、 ガアラたちは笑いながら、ギズマたちとともにカウンターへ向かう。

 

それぞれが、今日の戦いを胸に――


ガアラたちはギルドカウンターを通り抜け、奥の階段を上がる。
案内もなく当然のように――ギルドマスター直通の扉へ向かっていた。

(……大仕事だ。こっからが本番だ)

リィナとカリアも、無言で背を預けてくる。

ガアラは躊躇せずノックもせず、扉を押し開けた。

 

「入るぞ」

 

中にいたのは、いつもと変わらぬ――
だが一段と鋭い目を光らせたギルドマスターだった。

「……来たか、坊主ども」

窓の外を一瞥したまま、重たい声だけを落とす。

「報告しろ。全部だ」

 

ガアラたちは、一度だけ頷きあった。

そして――
異変の始まりから、森での異常。
魔物がほとんど消えていたこと。
大型異形との遭遇と、四体同時の襲撃。
それぞれのパーティーが一体ずつ仕留めたこと。
帰還の途中で何者かの気配を感じたこと。

すべて、隠さずに語った。

 

ギルドマスターは一言も遮らず、じっと聞き続ける。

頬杖をつきながら、しかしその眼光は一切、緩むことがなかった。

 

全てを語り終えた後――

部屋に、重苦しい沈黙が落ちた。

 

「……なるほどな」

ギルドマスターは、唇の端をゆっくりと吊り上げた。

「予想以上だ。……いや、最悪に近い」

 

ドン、と肘で机を叩き、

「大型異形が単独じゃない。群れで行動し始めている」

「そして、森の魔物がごっそり消えた……」

「つまり、“誰か”がこの街を狙って動いてやがるってことだ」

 

ガアラたちは押し黙ったまま、ギルドマスターの次の言葉を待った。

ギルドマスターは、ボロボロの羊皮紙地図を広げ、指を叩きつける。
 

「ここだ。北東の森。消えた魔物どもの巣だ」

「いずれ、そいつらが――まとめて街を襲う」

「早ければ数日以内。遅くとも……次の満月だ」


背筋に冷たいものが走った。

街ひとつが、更地になる規模の襲撃。

それを――
今、このギルドにいるCランク、Bランク、Aランク――
全てを総動員してでも、防がねばならない。


「いいか、坊主ども」

ギルドマスターは、椅子をギィと鳴らして立ち上がった。

 

「これからお前たちにも、容赦なく地獄を歩いてもらう」

「覚悟しておけ」

 

そして、ぐっと目を細め――にやりと笑った。


「……でもまあ」

「その覚悟を持ったやつしか、“上”には行けねぇからな」

 

ガアラは、リィナとカリアの顔を見た。
二人とも、無言で、だが確かに頷いていた。

(――ああ。もう、戻る道なんかねぇ)

 

ギルドマスターは拳を握りしめる。

 

「明日、全ギルド員に緊急召集をかける」

「Cランクも例外じゃねえ」

「いいか、お前たち――」

 
「街を、守れ」


静かな命令だった。

だがそれは、どんな怒声よりも重く、
胸の奥に、焼き付いた。

 

こうして、ガアラたちは――
グラース(グラストール)最大の危機へ、否応なく巻き込まれていく。

次に待つのは――
未曾有の、総力戦だった。



---
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった! スキルスキル〜何かな何かな〜 ネットスーパー……? これチートでしょ!? 当たりだよね!? なになに…… 注文できるのは、食材と調味料だけ? 完成品は? カップ麺は? え、私料理できないんだけど。 ──詰みじゃん。 と思ったら、追放された料理人に拾われました。 素材しか買えない転移JK 追放された料理人 完成品ゼロ 便利アイテムなし あるのは、調味料。 焼くだけなのに泣く。 塩で革命。 ソースで敗北。 そしてなぜかペンギンもいる。 今日も異世界で、 調味料無双しちゃいます!

処理中です...