スキル放出と神様落ちた。~異世界で始まる神様とチート旅。

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プロローグ

落ちる神としょぼスキルの俺

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その日、俺――三浦想真は、コンビニでカップ焼きそばを買って帰るだけの、ごく普通の高校生だった。
勉強はそこそこ。友達もそこそこ。彼女はいない。人生ってだいたいそんなもんだ。


だが、その帰り道――
空がバグった。
 

バリバリバリッッ!!


「なっ、なんだ!?空から……ノイズ?」

空間が割れた。文字通り。
漫画やゲームで見たことのある“異世界転移演出”が、俺の真上で始まっていた。


「……うわ、マジか。これってまさか……」

俺の足元に、光の魔法陣。
頭の中に響く、不快なテノールボイス。


『選ばれし者よ……我の世界を救うため、貴様を召喚した――』

 
「お前かああああああ!!!」


俺は本能で殴った。

 
目の前に突如現れた胡散臭いローブ姿の男、
金髪ロングに宙に浮いたポーズで「神感」を出している男、
その額に――ガチで拳をぶち込んだ。


「てぇぇぇめぇぇぇ!!!いきなり勝手に人を連れてくんじゃねぇぇぇ!!!」
「がはっ!!? なっ……なぜ殴る!?神だぞ!?わしは神じゃぞおおお!!?」

その瞬間、光が暴走した。

 
「ってちょっと待て待て待て!!やばい!!転移魔法が……うぉわっ!!」

「な、なにィ!?わしの座標まで巻き込まれ――」


――ズガァァァァァァァァン!!!

 
強烈な光と衝撃。
気がつくと、俺は草原の真ん中に寝転んでいた。


「……は?なにこれ?空、青い。草、生えてる。……隣、神っぽい奴、転がってる。」


> 【異世界転移完了】
【スキル《放出》を授けます】
【同行者:天上ミタマ(神)】
【状態:神力99%減少。現在、人間に毛が生えた程度】



「ちょっと待て、なんでアイツまで一緒に転移してんだよ!?」


目を覚ました神――ミタマは、頭にタンコブを作りながら立ち上がった。

「うぅ……痛たた……ここはどこじゃ?天界じゃない……? えっ、わし、転移された!?ってか、おぬし、殴ったな!?神を!!」

「その前に無断召喚したお前が悪いだろうがあああ!!!」
 

こうして俺は、
地味すぎて使い方がよくわからないスキル《放出》と、神力ほぼゼロのポンコツ神と共に――

知らない世界に、ものすごく不安な一歩を踏み出すことになった。

この旅が、魔王退治とかいう大事になるなんて、
このときの俺は知る由もなかった。

 

「はぁ……マジで転移してる……」

俺、三浦想真は草原のど真ん中に座っていた。
聞いたことのない鳥の声、透明すぎる空気、やたら背の高い草。

目の前には、ただの平原――と、
その横で仁王立ちして大きく伸びをしている、うるさそうな金髪ローブの男。

「ん~~~!下界の空気、うまいのぉ!やっぱり異世界転移はこうでなくては!」

「……お前、誰?」


というか、
なんで俺の隣に堂々と立ってんのか意味が分からん。
空間がバグったと思ったら、光に包まれて――
気づいたらこいつも一緒に吹っ飛んできていた。

「……てか俺、今異世界ってことでいいんだよな?」

 
とりあえず、テンプレ通りにやってみよう。

 
「ステータスオープン!」

 
> ――――――――――
【名前】三浦 想真
【年齢】17
【レベル】1
【スキル】《放出》
【称号】神を殴った者
【状態】健康
――――――――――

 

「……なんだこの称号。てか殴ったのって……」

ちらりと隣の金髪を見る。

そう、転移前にいた“俺を勝手に召喚した自称神様”。
突然の神ムーブにキレた俺は、思わず顔面に拳を叩き込んでしまった。


「うむ。おぬしのパンチ、実に見事であったぞ」
「褒めてんじゃねえよ!!」


その称号のせいか、画面がちょっとチカチカしてるのが気になる。
まあそれより――

「スキル、《放出》……?」

聞いたことのないスキル名に、正直ピンとこない。
説明を探しても出てこない。
強いのか弱いのかも分からない。けど――

「……字面、めっちゃ地味じゃね?」


一方の金髪は、地面に生えていた謎の草をむしって、なぜかポケットに詰めている。

「ふむ、この草は貴重な気がする。薬草っぽい匂いがする」

「それ、さっき俺が踏んでたやつだぞ」

「む? 足の裏の魔力によって覚醒した可能性があるな」

「あるわけねえだろ!!」

 
とりあえず現状を整理しよう。

俺は転移された。
スキルは《放出》ってやつ。使い方も何も分からん。
隣にいる自称神は相変わらずのハイテンション。というか、こっちの話ガン無視で勝手に歩いてく。

 
「おい待てって!どこ行くんだよ!?」
「うむ、街を目指すぞ!神の知識ではこの辺に交易都市が――たぶんある!」

「“たぶん”って言ったな今!!」


こんな感じで、
スキルの詳細も、今後の行動も、同行者の正体すらよく分からないまま――

俺の異世界生活はスタートした。

 

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