スキル放出と神様落ちた。~異世界で始まる神様とチート旅。

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第1章

遺跡にて

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遺跡の奥、苔むした広間に足を踏み入れた瞬間だった。

――ギィィ……

重たい音が響いた。
中央にある古代の装置が淡く青白く光り出し、
その周囲に並ぶ石像のうち、2体が――ゆっくりと、だが確実に動き出した。

 

「……動いた!? あれ、生きてんのか!?」

「動力式魔法ゴーレム……! 旧時代の自律兵器よ!」

 

リィナが即座に構えを取る。

ミタマも剣を抜くが、顔はやや引きつっている。

「やっかいじゃぞ……! 石の魔物は硬い! そして――」

 

――ズガン!

片方のゴーレムが一歩踏み出しただけで、地面が沈む。
その質量と威圧感に、俺は思わず一歩後ずさった。

 

「い、いけるのかこれ……」

「ソウマ、探れ! 動きを読むのじゃ!」

「わかった、《放出》――!」

 

ボン!

広がる魔力の衝撃。ソナーのように弾き返される反響。

(右のゴーレム……動きが速い。軽装タイプ!?
 左のはデカい……でも鈍重。盾役だ!)

 

「右が速い! 左が重い! ミタマは左を引きつけて!」

「心得た!」

 

ミタマが左のゴーレムに斬りかかる――が。

 

ガンッ!

剣が石の外殻を弾く。浅い!

「ちっ……硬っ!」

 

ゴーレムの腕が振り下ろされる。ミタマが転がって回避――
地面に激しく叩きつけられた衝撃で、石床がひび割れた。

 

「くっそ……パワーが桁違いかよ!」

 

右側では、もう一体のゴーレムが俺に向かって突っ込んでくる。

「っ、くそ……撃て!《放出》!!」

 

ドンッ!!

至近距離での衝撃波。
しかし――

「跳ね返された!?」

ゴーレムの前脚が地面を滑りながら迫る。
体勢を崩し、バランスを失った俺に、トドメの一撃が――!

 

――シュバッ!

「下がって!」

リィナが間に割り込んだ。

鋭い踏み込みと共に放った斬撃が、ゴーレムの関節部に深く切り込む。

 

「脚のつなぎ目……そこが弱点よ!」

 

「ソウマ! おぬしの《放出》、一点集中で撃てるか!?」

「やってみる!!」

 

目標は――あの切れ目だ!

 

「《放出》――収束、集中……いけえぇぇ!!」

 

ゴンッ!!!

一点に絞った魔力が、ゴーレムの膝裏を直撃。
関節が悲鳴を上げるように砕け、右の個体がガクッと崩れ落ちた!

 

「よしっ!」

 

一方ミタマも、左のゴーレムの動きを《剣術Lv1》で受け流し続けていた。

 

「速さはない、パターンは単調……なら!」

カン、カンッと連撃――そして、
ゴーレムの手が止まった瞬間、
ミタマはカウンターで、首の根元に一閃!

 

ズバッ!

装甲の隙間を正確に突いた刃が、ゴーレムの中枢核を破壊する!

 

――バキィッ!!

石の巨体が、崩れるように倒れ込んだ。

 

「……っ、ふぅ……ふぅ……」

「ミタマ! 無事か!」

「この程度の苦戦……わしの神歴にはよくあることじゃ……」
(息上がってるぞ……)

 

全員、息を切らしながらも立っていた。

連携は粗い。でも、確実に形になってきている。

 

中央の装置から、淡く光る青い石が浮かび上がっていた。

 

「これは……“魔力転換核”だな。古代魔導文明のエネルギー触媒じゃ」
ミタマが、最後に静かに言った。

 

「これ……ギルドに持ち帰れば、報酬どころじゃないかも」

「まあ、その前に休ませてくれ……」

 

俺たちは、限界寸前で、初の本格的な遺跡戦を乗り切ったのだった。


遺跡での死闘から一夜明け、俺たちはギルドで報告を済ませていた。

受付嬢が驚いたような顔で言う。

 

「……本当に“魔力転換核”を持ち帰ったんですね。すごいです!
 これは特例報酬の対象になります!」

 

> 【特別報酬:銀貨12枚】
【名誉点加算:+5】
【追加:ギルド内・装備店割引チケット発行】



 

「うおっ……金額、跳ね上がったな」

「これでようやくまともな装備が買えるのう!」

 

「ふふ、よかったじゃない。ちゃんと形になってきたってことね」

リィナも、いつもより柔らかい声でそう言ってくれた。

 



 

昼下がり、俺たちは商業区の通りをぶらぶらしていた。

ギルドからもらった割引チケットを握りしめ、目指すは――そう、装備と、ちょっといい食い物!

 

「おぉ……あれが噂の“マジック補正入りジャケット”か!」

「うむ、カッコいいのう! 背中に羽根の刺繍もあるぞ!」

「そこはどうでもいい!」

 

今回は“見た目”だけじゃなく、“機能”も重視。

魔法に対する耐性が少しだけあるレザージャケット

魔力を通しやすい導力加工の剣(放出との相性UP)

冒険者っぽい腰ポーチ&小物(鑑定用クリスタルなど)


 

俺もミタマも、それぞれに装備を新調し、
鏡に映った自分を見て、ちょっとだけ――ニヤける。

 

「おぬし、にやけ顔が気持ち悪いぞ」

「うるせえ神様(Lv1)」

 



 

その日の夕方。

俺たちは少し贅沢して、人気の小さな食堂に入った。

 

「あっつ……このスープ、うまっ!」

「うむ、このパンも外カリ中ふわじゃ! 神の味覚にも合格じゃ!」

「食レポするな!」

 

温かい料理と、たっぷりの野菜と、香ばしい焼き肉――
たった一日違うだけで、これほど“生活”が豊かに感じるのかと思う。

 

「……あー、異世界ってのも悪くねぇな」

「そう思えるのは、今日を生き延びた証じゃ」

ミタマはワインをちびちびと飲みながら、どこか落ち着いた微笑を浮かべていた。

 

「次の依頼も、少しずつ上を目指して……
 だな、ソウマ?」

「おう。俺、ちゃんと強くなるよ。絶対」

 

食後の風にあたりながら帰る道。
夕暮れの街並みの中で、俺たちは少しずつ“この世界での居場所”を築いていっていた。


とある晴れた日。
街の外れにある訓練場――ギルドに登録してる冒険者が自由に使える屋外スペース。

 

「……で、わざわざこんなとこ来たのはいいけど、何するんじゃ?」

「練習だよ、練習。俺の《放出》、絶対もっと使い道あるって思ってな」

 

そう。最近は攻撃とかソナー的な探知に使ってるけど、
“放つ”って意味なら――可能性は無限大だ。

 

「まずは、基本から確認な」

俺は手のひらを前に向ける。

「《放出》」

 

ボフッ

目に見えない衝撃が空気を押し出す。
木の葉がゆらっと揺れた。

 

「ふむ、安定して出せるようにはなってきたのう」

「だろ? でもここからが本番だ」

 

俺は地面に置いた小石に向かって手を構える。

「よし、《放出:直下》!」

 

カッ!

地面に押しつけるように放った衝撃で、小石が浮き上がる。
俺はそのまま、石に向かってさらに《放出》――

ピシッ!

「おお、反射で撃ち落とせた!」

「まるでマジ○ンバトルじゃな」

「うるせえ、練習なんだよ!」

 

続いて、持ってきた枝を数本並べて、
俺は《放出:広範囲》で扇状に衝撃をばら撒く。

 

ボンッ!

風圧が走り、枝がパタパタと倒れた。

 

「うん……面制圧もいけそうだな」

「範囲は制御できるのか?」

「いや、まだ感覚。でも……ほら、ラノベだとこういうのって“イメージが大事”だろ?」

「うむ、それは異世界でも同じじゃ。精神の集中が魔力の形を決める」

 

次に俺は、背後に向かって《放出》を撃つ。
パシュッ!

勢いで体が前に押し出される――

 

「おぉ!?これ、ジャンプ補助にもなるな!」

「何やっとる!? まさかスキルで跳ぶつもりか!?」

 

そして、ラストは――
拾った短剣を軽く浮かせて、手のひらで“弾く”。

「《放出・狙撃》!」

 

シュッ!

短剣が目標の木に突き刺さった。

 

「おおおっ! 遠距離武器化いける!?」

「放出の応用力……バカにできんのう」

 

汗だくになって、息を整えながら俺は言った。

「たぶんこれ……最終的に“浮かせて操る”とか、“飛びながら撃つ”とかもいける気がする」

「それ、すでにラノベで読んだことあるやつじゃな」

「現実にやってやるよ、異世界チート風スキル!」

 



 

練習後、俺はベンチで水を飲みながら、
遠くの空を見上げた。

 

「……《放出》、最初はハズレスキルかと思ってたけど――
 これ、マジでチートに育つぞ」

「地道な努力を笑う者は、やがて神に笑われるのじゃ」

「神ってお前のことか?」

「そうじゃ(Lv1)」

「台無しだよ!」

 


晴れた午後。
ギルドの裏にある訓練場に、俺とミタマは並んで立っていた。

 

「で、今日はおぬしの《放出》の練習か?」

「いや、その前に……お前の《剣術Lv1》、本気で見せてほしいんだよ」

 

「ほう?」

 

遺跡での戦い。
ミタマは確かに、ゴーレムに一撃を入れて倒した。
けどそれは“たまたまラッキーで刺さった”レベルじゃない。

構え方、間合いの取り方、無駄のない動き――
経験がある奴のそれだった。

 

「なあ……“神”なんだろ、お前」

 

「うむ(ドヤ顔)」

「Lv1でそんな顔すんな」

 

「見せてやろう。わしが神界で鍛えた“基本”をな」

 

ミタマは腰の細剣をすらりと抜き、静かに構える。

肩の高さに剣先を置き、軽く膝を曲げる。
構えに派手さはない。でも――

 

「……空気が変わった」

 

風が止まる。
虫の羽音すら聞こえないような、張り詰めた空気。

 

「――神式、基本の“間”じゃ」

 

スッ――

ミタマが踏み出し、剣を横に薙いだ瞬間。

 

カンッ!

訓練場の木柱が、斜めに切り裂かれて崩れた。

 

「……! 今の……」

「わしのスキルは《剣術Lv1》に過ぎぬが――
 “技”と“魂”は、数値で測れるものではない」

 

くそ、かっこよすぎる。

 

さらにミタマは、もう一本立てていた鉄芯入りの標的を見て小さく構える。

 

「誘導――裂」

 

カシュン!

剣先がかすめたようにしか見えなかったのに、
鉄芯の下だけが斬られ、標的はゆっくりと斜めに傾いた。

 

(……Lv1ですらこれ。
 こいつ……ほんとに“神”なんだよな)

 

俺は、放出の練習を忘れて、ただ息を呑んで見つめていた。

 

ミタマがそっと剣を納め、静かに言った。

 

「……本来なら、神力をもって一閃に世界を割ける。
 じゃが今は……これがわしの全力じゃ」

 

「……十分すぎるだろ」

 

俺も、頑張らなきゃな。
《放出》、もっと使いこなして――

あの剣に、並べるくらいには。

 
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