神にもらった最強チートでやりたい放題

モデル.S

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第1章

学園にて

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ラステル学園・会議室。
 カイルと健人たちは、午後の陽光差し込む中、静かな気配に包まれた一室へと案内された。

 すでに一人の青年が椅子に腰かけていた。
 整った顔立ちと落ち着いた雰囲気、淡く笑う口元――だが、どこか「鋭さ」を感じさせる男だった。


---

 「こちらが……レオン=シュタイン子爵家の次男です」
 カイルが簡潔に紹介した。

 ティナとリュカは、少し緊張した面持ちで小さく頭を下げた。

 (ティナ)「……なんか、貴族のオーラがすごい……」
 (リュカ)「ん? どこぞの家なんだ? 名前は聞いたことないな……」

 ――2人は、レオンの素性についてこの時点では何も知らなかった。


---

 そのときだった。

 レオンの視線が健人に向けられる。
 そして健人もまた、その顔を見て――わずかに、時が止まったような錯覚を覚えた。

 (……この顔……まさか)

 滅びの五日前、魔法国の崩壊寸前の研究施設。
 魔力暴走の中心地に倒れていた研究員。
 ――目の前のこの男は、未来で出会った“あの研究員”と瓜二つだった。


---

 だが健人は表情を崩さず、
 「ケントです。よろしく」とだけ、落ち着いた声で答えた。

 レオンは微笑んだまま、「こちらこそ、光栄です」と返し、会談は始まる。


---

 会議室を後にした後、ティナがポツリとつぶやいた。

 「すごく……“できる人”って感じだったね。雰囲気からして違う」

 「確かに。オーラっていうか、隙がねぇ感じだったな。あいつ、何者なんだ?」

 そこでカイルが小さく苦笑しながら言った。

 「レオン=シュタイン。子爵家の次男。
  学園でもずば抜けて優秀で、魔導科と戦術科の両方でトップの成績。
  それに、卒業後の進路ももう内定してるって噂だよ。
  “新しい魔法エネルギー開発の国家事業に関わる”らしい」


---

 (――やはり、そうか)

 健人は心の中でそっとつぶやく。

 (未来で、あの施設にいたのは偶然じゃない。
  レオンはこの時点で、すでに“あのプロジェクト”に近づきつつある……)

 だが、彼はその想いを――誰にも語らず、胸の奥に仕舞い込んだ。


---

 何も知らぬ2人。
 そして、すべてを知る男。

 交差する運命は、まだ静かに眠ったまま――。


---
「まずは、魔石の採取量を稼ぐこと。
  ただし質も評価に加味される以上、雑な討伐は逆効果だ」

 ラステル学園の一室。
 カイルの声が静かに響く中、健人、リュカ、ティナの三人は簡易地図を囲んでいた。


---

 魔石競技演習。
 明日行われる勝負の舞台は、学園南方にある“リセルの森”――
 かつて小規模ダンジョン跡があったとされる、魔力濃度の高い地域だ。


---

 「……つまり、量を狙うには小型魔物、質を狙うには中型クラス以上。
  バランスよく狩っていく必要があるってことだな」

 リュカが地図を指さしながら確認する。

 「はい、しかも魔物の討伐痕をきれいに残して、魔石を損傷しないように取り出す技術も重要です」
 ティナが補足するように言った。


---

 「僕は……正直、まだあいつに勝てるとは思ってない。
  けど、挑む以上は全力を尽くす。君たちとなら、それができるって信じてるんだ」

 カイルの表情は、以前よりずっと凛としていた。
 健人は短く頷いた。

 「勝てるさ。あんたは、ちゃんと“成長してる”。その力を、俺たちが引き出すだけだ」


---

 その夜、健人は宿の屋上で一人、夜風に当たっていた。

 空には二つの月が昇り、森の影がゆらめく。

 (……レオン)

 彼の顔が思い浮かぶ。

 未来では“研究員”。
 だが今は、ただの優秀な学生。

 (この勝負で何かが変わるとは思っていない。
  でも――この時代の彼を、見ておきたい)

 (そして……いずれその“進路”が現実になるのなら、俺は――)


---

 翌朝。

 リセルの森、試合開始の広場。

 レオンとその護衛チームがすでに整列していた。

 「ふふ、来たか。今日こそ、お互いの実力がはっきりするな」

 「ふん、こっちは準備万端だ。覚悟しておけ、レオン」

 カイルが気迫を込めて返す。

 その背後には、健人たちの安定した存在感が光っていた。


---

 主催の教員が声を上げる。

 「では――“魔石競技演習”、開始!」

 鐘の音が響き、勝負が始まった。

リセルの森。
 魔石競技演習――開始から一時間。

 「このまま行けば、まず数ではこっちが上だな」
 リュカが手にした布袋を揺らすと、複数の魔石がシャラリと音を立てた。

 「質も悪くありません。中位魔獣から取れたものですし……」
 ティナが丁寧に魔石の鑑定を進めながら頷く。

 カイルは肩で息をしながらも、笑みを浮かべた。

 「ありがとう、君たちのおかげでリズムがつかめてきた。……このまま押し切れるかも」


---

 その時だった。

 「……っ、あれ……?」

 ティナが違和感に気づいた。

 「急に魔物の出現が減ってる……? さっきまで定期的に反応があったのに」

 健人も森の魔力を感じながら、僅かな異変に目を細めた。

 「周辺の“気配そのもの”が薄くなってる。まるで、先回りされて狩られてるみたいだ」


---

 そして――

 崖の上から、姿を現したのはレオンのパーティ。

 静かに微笑みながら、レオンは手を振った。

 「やあ。どうやら僕たちの方が、一歩先を行っていたようだね」


---

 カイルが驚きの声を上げる。

 「まさか……お前、魔物の群れの“行動ルート”を事前に読んで――」

 レオンは答えるように語った。

 「この森には、魔物の“循環ルート”がある。
  移動・出没パターンを記録しておけば、事前に魔物の集中エリアを潰しておける。
  もちろん合法だよ。“狩ること”に規定はあるが、“情報活用”に制限はない」


---

 「つまり……全部“潰してから”移動してたってわけか……!」

 リュカが悔しげに拳を握る。

 健人は何も言わなかった。
 ただ、静かにレオンの目を見返していた。

 (やるな……。
  戦うだけじゃなく、競技として勝つための最善手を選び続けてる)


---

 「さて……こっちは“次の群れの発生域”に向かうよ。
  のんびりしてると、狩場は全部こっちがもらうことになるかもね」

 そう言って、レオンたちは風のように森の奥へ消えていった。


---

 数では追いつかれ、質でも不利になりつつある状況。
 けれど――健人の目に焦りはなかった。

 「レオンの戦い方は、たしかに見事だ。だが――“狩りのすべて”じゃない」

 「ケント……?」

 「ここからは“読み合い”だ。狩るだけじゃなく、誘い、仕掛ける。
  相手が“読みきった”と思ってるなら、逆にその裏を突ける」


---
「ケント……何か考えがあるんだろ?」

 リュカが問いかけると、健人はわずかに口角を上げた。

 「レオンたちが“魔物の行動ルート”を読んで先回りしているなら――
  俺たちは“魔物の群れそのもの”をこちらに誘導すればいい」


---

 健人は森の地図を再確認する。

 「魔物の休息地は、森の東側の斜面。だが、その奥――沼地に近い区域には、
  一種の“縄張り境界”が存在するはずだ」

 「縄張りの……境界?」

 ティナが首を傾げると、健人が指で地図の斜線部分をなぞった。

 「中型の捕食種――たとえば“ファング・バイパー”の領域だ。
  そこに低位魔物の群れを意図的に追い込めば、“狩られる直前”に魔石ごと狩ることができる」


---

 「やるじゃねぇか……。獲物を“他の魔物から守って回収”か。
  しかも、群れごと誘導すりゃ、一気に数も稼げる」

 リュカがにやりと笑い、ティナも拳を握る。

 「誘導の魔法、任せてください!」


---

 作戦開始。

 ティナは《ウィンド・チャーム》で森に魔力の“微風の誘導線”を引き、
 リュカが小型魔物にわざと気づかせる形で走り回る。

 群れが、ぞろぞろと動き始めた――。

 そして、それを正面から迎え撃つのが、健人だった。


---

 「――来い」

 木々の間から姿を現したのは、牙を鳴らす十数体の“スレイブ・ウルフ”の群れ。

 健人は剣を抜かず、右手を軽く振る。

 **シュン――**と空気を切り裂く音。
 直後、群れのうち先頭の2体が“何かに蹴られたように”地に沈んだ。

 (最小の力で、急所だけ)

 次々に倒れる狼たち――魔石だけが鮮やかに残された。


---

 そして、その奥にはすでに“捕食者”が潜んでいた。

 ファング・バイパー。
 だが、群れが到着する前に、健人が一瞬で地面を滑り込む。

 「ティナ、今!」

 「《フレイム・スティッチ!》!」

 炎の糸がバイパーの動きを封じ、リュカがその隙を斬る。

 全員が役割を果たし、わずか数分で群れ全体の魔石を“高品質のまま”回収した。


---

 それは、明らかにレオンたちの“狩りルート”を上回る一撃だった。


---

 「……まさか、この群れをまとめて倒すなんて……!」

 観察地点から遠巻きに見ていたレオンが、初めてわずかに眉を動かす。

 「誘導、分断、確殺……魔物の動きを“作った”のか。
  ふふ……なるほど。こちらが読みきったと思った瞬間に、裏を突く――
  それが君の戦い方か、ケント」


---

 日が傾き始める頃。
 両チームの戦果は拮抗していた。

 レオンは静かに呟く。

 「やっぱり、君には何かがある。
  ――このまま終わるには、惜しい相手だな」


---
日が西に傾き、森の影が長く伸び始める。
 競技終了まで残り一時間――

 その時、森の西端――古びた洞窟から異質な魔力の揺れが発せられた。

 「この反応……明らかに大型個体。魔石の“質”は確実に高いはずだ」

 健人が魔力の流れを読むと、リュカも険しい顔で頷く。

 「他の群れとは動きが違う。おそらく“上位個体”。たぶん、この競技の中で唯一のBランク級魔物だな」


---

 一方、同じ魔力の揺れを察知していたのはレオンたちも同じだった。

 「……どうやら、最後の一撃は“あれ”だな」

 「どうする? あの相手も来るかもしれない」

 レオンは静かに笑った。

 「来るだろう。……だからこそ、迎え撃つ意味がある」


---

 健人たちが洞窟に到着すると、そこに――既にレオンたちの姿があった。

 「やあ、やっぱり来たか。最後は“君たちと正面でぶつかりたい”と思っていた」

 「……偶然だな。こっちも、“ちょうど最後の一撃が欲しかった”ところだ」

 健人が歩み寄り、二人の距離が縮まる。

 その瞬間、洞窟の奥から、低く唸るような音が響いた――


---

 姿を現したのは、“ダスク・ミノタウロス”。

 全長3メートル、片腕に巨大な斧を持ち、
 その肌は灰色がかった黒――魔力の瘴気を纏った、夜に紛れる戦鬼。

 「くっ……マジかよ。あれはBランクの上位個体じゃねぇか……!」

 「魔石の質は……最高レベル。間違いないわ」


---

 「よし、ここは“合同戦闘”といこうか」
 レオンが声を上げた。

 「それで、討伐後に魔石を巡ってまた競うつもりか?」

 健人が目を細めて問うと、レオンはわずかに笑って――こう返した。

 「ふふ、それもまた一興だ。君と、“本物の実戦”で組めるなら」


---

 こうして、二組のチームは一時共闘することとなった。

 健人とレオン――並び立つ二人の剣士が、ミノタウロスの前に立つ。


---

 ズガァアッ!!

 ミノタウロスの斧が地面を裂く。
 直撃すれば一撃で人間は肉塊だ。

 だが、健人が刃をかわしながら横へ滑ると、
 その隙にレオンが魔法を詠唱する。

 「《ブレイズ・エッジ》!」

 魔力の炎が剣を包み、獣の左脚を切り裂く。


---

 ティナとリュカは後方から支援と妨害。
 レオンの護衛も次々に連携して、攻撃を繋げていく。

 そして――

 「今だ、ケント!」

 カイルの叫びと共に、健人が一瞬の隙を突く。
 剣を回し、ミノタウロスの脇腹へ――

 ズガッッ!!

 衝撃と共に、魔獣の巨体が崩れ落ちる。


---

 残されたのは、黒く濃密な魔石――
 大きさ、濁りの少なさ、純度――全てが競技最高評価級の逸品だった。


---

 「……これで、決着だな」

 レオンは剣を納め、健人の方を見て静かに言った。

 「君はやっぱり……何かを“超えてる”。戦っていて、そう感じた」

 「……お前もな。まだ“学生”とは思えない動きだった」

 健人もまた、心からそう思っていた。


---

 その後、魔石を分け合い、双方とも納得した形で勝負は終了。
 勝敗は――

 “引き分け”。

 だが、それは健人たちにとって十分すぎる結果だった。


---

 そして、別れ際。
 レオンは最後にこう呟いた。

 「また会えるだろう。……今度は、味方としてか、敵としてか――それは、君次第だ」

 健人は、その意味を深く考えることなく、ただ笑って答えた。

 「その時が来たら、覚悟してろよ」


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