神にもらった最強チートでやりたい放題

モデル.S

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第1章

理由

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魔石競技演習の結果――引き分け。

 高品質な魔石の数も拮抗し、両チームともに大健闘と認められ、
 学園内では“伝説的な演習試合”とさえ噂され始めていた。

 勝負の翌日、健人たちは学園内の一角――カイルの私室に招かれていた。


---

 「改めて、ありがとう。……あんな勝負ができるなんて、思ってなかった」
 カイルは温かい紅茶を差し出しながら、少し照れたように言った。

 ティナがにこやかに微笑む。

 「カイルさんもすごかったです。私たち、逆に引っ張られてました」

 「んでさ。そろそろ聞いてもいいんじゃないか?」

 リュカが椅子にもたれながら、にやりと笑う。

 「どうしてレオンと“あんな勝負”することになったのかって話」


---

 健人も静かにうなずく。

 「そうだな。演習形式にしては、少し異質だった。“魔石勝負”というのも……」

 カイルは苦笑し、顔を手で覆った。

 「……バレるか。いや、言うよ。もうここまで付き合ってもらったんだし、隠すのも失礼だ」


---

 そして――カイルはぽつりと口を開いた。

 「……実は、俺……レオンの“妹”に想いを寄せててさ」

 「……ん?」

 「え?」

 ティナとリュカが同時に瞬きする。


---

 「き、気になってるだけだよ!? 別に告白したわけじゃない!」
 「いや、でも気持ちが顔に出てたんだろうな……多分、レオンにバレて」

 「……それで、妹に近づきたいなら“実力を見せてからにしろ”って、勝負を吹っかけられた」

 「うっわ、古風……!」

 リュカが素でツッコミを入れた。


---

 健人は苦笑を浮かべながら、静かに言った。

 「つまり……俺たちは、“義兄になるかもしれない人間の評価テスト”の手伝いをしてたわけか」

 「わー! 言い方ァ!!」

 カイルが頭を抱えて転げ回る中、ティナがふっと微笑む。

 「でも……その妹さん、きっと素敵な方なんでしょうね。
  レオンさんが“あれだけ真剣に試すくらい”なんだから」


---

 カイルは頬を赤く染めながら、遠くを見るように呟いた。

 「……いつか、ちゃんと気持ちを伝えるよ。君たちのおかげで、その勇気ももらえた気がする」


---

 外では、学園の鐘が穏やかに鳴っていた。

 命のやり取りも、滅びの謎も、未来の因縁も――
 今だけは遠く、ただ仲間たちの笑い声と、ひとつの恋の始まりがそこにあった。


---
学園からの帰路。
 馬車に揺られて街へ戻った健人たちは、久々に“何もない一日”を与えられていた。

 「いや~やっと羽を伸ばせるな……俺もう足が棒だぞ」

 リュカは宿のベッドに大の字になって、幸せそうにうなる。

 「カイルさんの告白話で心が温まった後にこれですか……ギャップが……」

 ティナは呆れつつも笑っていた。

 健人も、荷物を置いて窓辺に腰かけ、そっと深呼吸する。

 (静かだな……けど、この平和もいつまで続くか……)


---

 午後。

 街へ繰り出した3人は、久々にそれぞれ好きなことをすることにした。

 ティナは魔道具屋で魔石の研磨道具をチェックし、
 リュカは露店で串焼きを食べ歩き、
 健人は一人、人気の少ない古本屋の奥へ足を運んでいた。


---

 ふと、誰かの視線を感じて振り返る――が、そこには誰もいない。

 (……気のせいか)

 だが、どこか“空気”が違う。

 誰かが、彼の存在を探っている――そんな感覚だけが、微かに残っていた。


---

 夜。
 3人は屋台で合流し、焼き鳥や魚の干物をつつきながら、地酒を少しだけ楽しむ。

 「しばらくは、こういう日が続くといいな」
 ティナが言うと、リュカがうんうんと頷く。

 「でも、ケント。お前……なんか、今日ずっと落ち着かねぇ顔してるな?」

 「……そうか?」

 健人は笑ってごまかす。だが――心の奥には確かに、静かに灯る違和感があった。

 (何かが、動き始めている――そんな予感がある)



「……ついに来たな、Bランク依頼」

 ギルドカウンターの前で、健人は手にした依頼書に目を落とした。

 【討伐依頼:グレイハウンドの群れ】
 ・出現地域:西部山脈の峡谷地帯
 ・危険度:Bランク相当
 ・備考:小規模な群れだが連携が巧み、機動力も高い。夜行性で視覚に優れる


---

 「これは少し手ごわいわね」
 ティナが真剣な表情で依頼書を覗き込む。

 「Bランクになると、“数が多いだけ”じゃ済まなくなるからな」
 リュカも真顔になる。

 「今回は、しっかり準備してから向かおう。武器と防具もそれなりのものに更新しないと」


---

 街の鍛冶屋通り。
 健人たちは装備を見て回りながら、店主と相談を重ねる。

 「この軽鎧、見た目以上に耐久あるな」
 リュカが試着した革と金属の混合アーマーを軽く叩いて感心する。

 「私は魔法織布のローブを。防御力と魔力の通しやすさ、両方大事ですから」
 ティナは深緑色のローブを羽織って鏡の前で回ってみせた。


---

 健人はといえば、柄に控えめな刻印の入った重厚な片手剣と、
 肩と胸を覆う簡易装甲を選んだ。

 (力に頼らずとも、動きやすさを重視。……それでいて、見た目は“強すぎない”)

 「それで十分かい、旦那」
 鍛冶屋の親父が怪訝そうに言うが、健人は静かに頷いた。

 「これでいい。目立たず、でも必要な時に“戦える装備”だ」


---

 宿に戻った3人は、改めて地図と依頼内容を確認しながら作戦を立てた。

 「グレイハウンドは“群れの連携”が脅威。1匹ずつ相手にしてたら囲まれる。
  できるだけ初動で数を削ることが重要だな」

 「範囲魔法、いくつか準備しておくわ」
 ティナが魔導具を点検しながら頷く。

 「じゃあ俺は動きの早いやつを釘付けにしてやるよ。速さじゃ負けねぇからな」
 リュカが新調した脚甲を見せながら笑う。


---

 「よし――Bランクの実力、見せてやろうぜ」

 装備も作戦も整い、健人たちは新たな挑戦へと歩を進める。


---
西部山脈――その麓にある峡谷地帯は、風が唸り、草木すら低く伏せる荒野だった。

 「……気配がある。もう近い」

 健人がつぶやくと同時に、ティナの杖の先が青白く光る。

 「方位魔法反応……右前方、五体。後方にも……三体接近中!」

 「挟まれんのかよ。さすがはBランクの連中、知恵があるな」

 リュカが舌打ちしながらも、腰を落として構える。


---

 峡谷の岩陰から、風のように飛び出す灰色の影――

 グレイハウンド。

 瘦せ細った狼のような姿に、鉄のような黒い牙。
 その動きは“跳ねる”というより、“弾ける”というべき瞬発力だった。

 「来る――!」

 ティナが魔法陣を展開し、広範囲に《ウィンド・シェル》を展開。

 衝撃波のような風圧が一斉に群れをはじく。


---

 「っしゃあああ、いただくぜ!」

 リュカが弾かれた1体に飛びかかり、
 背中を踏みつけると同時に短剣で急所を突く。
 獣が呻く前に、その命は地に落ちた。


---

 一方、健人の前に現れたのは――リーダー格の個体。
 群れの中心に位置し、動きを制御する“頭”だ。

 (こいつを落とせば、連携は崩れる)

 健人は剣を抜く。
 敵の目がギラリと光った瞬間――

 ガッ――!!

 鋭い牙が健人の肩を狙って飛んでくる。だが。

 「遅い」

 健人の体が、わずかに軌道をズラす。

 そのまま反転し、剣が地を這うように振るわれる。

 ズシュッ――!

 リーダー格のグレイハウンドが、呻くことなく倒れた。


---

 「ナイス! あと四体!」

 ティナが叫び、援護魔法を展開。

 《スパーク・ネット》が小型のハウンド2体を痺れさせ、リュカがそこに跳び込む。

 「こっちは任せろォ!」


---

 数分後――

 風の唸りが、静かになっていた。

 谷の中央には、グレイハウンドの屍。
 健人たちは呼吸を整え、確かめ合うように視線を交わした。

 「……ふぅ、久々に“歯応え”あったな」

 リュカが額の汗を拭きながら笑う。

 「でも、全員無事。……やっぱり、みんな強くなってるよね」

 ティナの言葉に、健人も小さく頷いた。


---

 その足元には、光を反射する黒紫の魔石。
 確かに、Bランクの魔物を倒した証がそこにあった。

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