雑食読書日記

日本文学

『月の三相』 著：石沢麻衣

『貝に続く場所にて』
著：石沢麻衣
発行：講談社

芥川賞を受賞してから気になっていてついに文庫化したので買ってみた。

舞台は2020年、ドイツの学術都市、ゲッティンゲン。
留学している「私」の元に9年前の東日本大震災で行方不明になったはずの後輩が現れる。
死者だと思っていた後輩との出会いで「私」は過去を回遊し始める……

文章の美しさに魅せられて、のめり込むように読んでしまった。読む絵画のような小説。
またゲッティンゲンの現在と東日本大震災の過去がシームレスに繋がっていて、読んでいる間、謎の浮遊感を感じる事ができ、またそこまで仲良くない人の死に触れるよそよそしさがひしひしを文章から伝わるので謎の圧力がかかる感じもあった。