青春ラブコメと無関係な世界

涼雪 涼

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臥京遊佳の強さ

人は誰しも愛を求める訳では無い

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 結局あの後、何事もなくお見合い(仮)はお開きになり俺は帰路につく。その際、臥京はこう言ったのだ。

「あなたは誰にも渡さないわ」

と。

 むしろ愛が重すぎて怖かったです…。今日の意味の無いあのイベントは何だったのだろうか。だが、少なからず俺は臥京遊佳の強さの理由を知った。あのご家庭だ。わがままなど許されなかったに違いない。欲しいものは、我慢する。それでも彼女は一つだけ欲しいものがあった。

 それは恐らく、共感出来る異性。つまり恋人である。

 恋は人を悩ませ、そして苦しませる。人は誰しも愛を求める訳では無い。愛は欲しい人だけが手にし、必要のない人が持つべきものではない。不幸の数だけ幸せがある。なら、不幸なのはいけないことなのか?それは違う。人は不幸だから生きていけるのだ。この腐りきった世界に生まれたことが不幸なのだ。それを運命だの幸運だので終わらせる輩がいるが、この世に生まれたくて生まれたのではない人間がどれだけいるか分からないのだろう。

「はぁ、何言ってんだ俺は」

 少し、動揺しているのか。異性に一目惚れだと言われるのは生まれて初めてで、未体験のことだ。こんな程度でご乱心になるとは、まだまだ俺は子供なのだろう。

「さてはて、これからどうなるのやら」

 もう暗くなりかけている空を沈鬱な思いで仰ぐ。まだ星は出ていないが、月はうっすらと出ている。車のガソリンの匂いが鼻孔をくすぐり、爽やかに吹く風が嘲笑うように俺の頬を撫でていく。

 もう後には引けないのだろう。生徒会には深く関わっていない、はず。ここらで俺も決断するべきだ。代償があってこそ、人生は成長する。

 これまでは選択肢のなかった俺だが、今回は選択肢ができた。だけど、選択肢はもとより一つだけ。

「何カッコつけてんだよ。周りのことも見ることの出来ないくせに。見てて哀れだ。自分が、哀れだ」

 そんなことを呟いた矢先、家の前に着く。こうして今日も終わっていく。決断を迫られても時間はそんなもの関係なした過ぎていって、やらなければと思った時にはもう遅い。

 なら、遅いのならもう一度問いただすのだ。どこかで間違っていても必ず正解はあるのだから。
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