青春ラブコメと無関係な世界

涼雪 涼

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プロローグ

ようこそ生徒会執行部へ

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 生徒会執行部と聞けばどの生徒も震え上がり、道を譲る程の権力を有する。

「で、何で俺がこんなところにいるんだ!?」

 現在、取嶺結汰は生徒会執行部の部屋に腰をかけている。おもてなし精神全力で、粗茶と茶請けを貰っている。

「あ、あの、宜しければ…」

 オドオドした少女が俺に紅茶を注いでくれていた。

 焦げ茶のボブヘアに似合う童顔。発育はそこそこだが、ミニスカから伸びる足は黒タイツで覆われている。だが、その黒タイツの中は素晴らしい太ももがあるに違いない。どちらかと言うと文系の娘なのだろう。

「ああ、ありがとう」

 にこやかに爽やかに笑顔を振ったのだが、逆効果だったらしい。うぅと言って俺の向かいに座る臥京の後ろへ隠れてしまう。地味に傷つくので是非、やめて頂きたいものだ。

「笑顔の練習も必要だと思うの」

 カチャリとティーカップを皿に戻しながら俺の笑顔にいちゃもんをつけてくる。

「あら?でも毎日鏡の前で笑顔の練習をして」

「ねぇからな?してないからな!?」

 でも、多少はね?

 だが、本題はそこじゃない。

「何で俺をここに呼び出した」

 そう。呼び出された理由だ。暴力もしてなければ校則違反もしていない。

 なら理由は何?何の理由でどんな経緯で俺がここへよびだされているのか…。

「理由が無ければ呼び出してはいけないのかしら?」

「そういう訳ないけどな。怪しいんだよおま」

 言葉を途中で遮る。いや、遮られたというのが正しい言い方かもしれない。

 目の前では、鋭い目で俺を睨みつけている臥京の顔があった。

 そして、臥京はおもむろに口を開く。

「お前じゃないわ。と前も言ったわ。名前で呼びなさい」

「すみませんでした、臥京遊佳様」

 プライドを棄て頭を下げ、更には様付けする男がそこにあった。

「べ、別に様とかはいらないわ」

 何故ここでツンを出してくるのか。ふと俺の後ろから大人っぽい雰囲気の女性の声が上から聞こえた。

「会長はお主と仲良くして欲しいだけじゃ」

 ガタン!!前倒し…。不覚にも、吉本新喜劇!!

「ど、どうした!?」

 先程の女性が俺の身を案じてくれたのだが。

み、見た目と話し方のギャップがちがいすぎるだろ!

 長くしなやか髪を一つ束にしてポニーテール。
しゃんと整った顔に黒縁メガネ。臥京に少し劣っているが、それでも完璧ボディ。

 なのに…なのに何で話し方がお年寄りぃぃぃ!?

「きっとナノの話し方で驚いたのね。でも流石にここまでやった生徒はいないわ」

 臥京の目は、リアルに引いていた。もう引けない所まで引いていた。

「自己紹介よ」

 唐突だな!とは突っ込まなかった。俺も大人という事さ。

 はい…と控えめに登場したのは先程のボブヘアの少女。

「せ、生徒会執行部書記を担当しています。河鷺昂莉(かわさぎ こうり)と言います。あ、ええと、よろしくお願いします!」

 上靴の色が青。1年生か。…1年生でこの完璧なる太ももとは。JK…恐るべし。

 次に先程のギャップの違いすぎる女性。

「儂は城桜七乃(しろさくら ななの)じゃ。生徒会の副会長をしておる。ナノと呼んでくれ!」

上靴の色は赤。俺と同じ二年生。このギャップはさぞかし他人様を驚かせるだろうな。

 そして、

「改めまして、臥京遊佳(ふしみや ゆうか)よ。見ての通り私が生徒会長よ」

 上靴の色は赤。二年生。この学校初の、最年少で生徒会長に成り上がった天才。

 この学校で、生徒会長に選ばれるのは三年生が多かった。二年生が当選しても、裏で脅されるかはたまた実力で負けるかのどちらかだった。

だがしかし、その絶望をも嘲笑うかのように躍り出たのは臥京遊佳。次期生徒会長候補と言われていた三年生の女子生徒を真正面から叩き潰し、捻りつぶしたのだ。それはもう、その女子生徒が不登校になるくらい完膚なきまでに…。

 表では美しいご令嬢。裏では魔王サタン。それが彼女、臥京遊佳。

「次は貴方よ。取嶺君」

 ハッと我に戻る。

「ん、ああ。取嶺結汰(とみね ゆうた)と言います。…よろしく」

 よし、使うことのないだろうと思われていた自己紹介だが鏡の前で特訓した成果が出たようだ。

「普通過ぎね。もっと可愛い女子達を盛り上げようとは思わなかったのかしら」

 サタン様はご不満のようです。

「いいだろ。普通。シンプル イズ ザ ベスト!って感じで」

 文句を言うな、文句を。それとも何?君が考えてくれるの?

「そんなヤワな英語を使うから英語が苦手になるのよ」

 なんで知ってんの?英語が点数悪いってなんで知ってんの!?うわやだ怖い!

「では早速本題に入らしてもらうわ」

 それはまた唐突だな、オイ!

「取嶺結汰。貴方、生徒会執行部に入りなさい」

 この時、俺ののどかで平和な日常は耳の奥底で木霊する臥京の声で崩れ去っていった。
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