女子に追いかけられて死んで転生した:ヌルゲーで異世界生活:

涼雪 涼

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魔功都市ジンフォルド

107 ランスロット卿

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「はぁっ!!」

 素早くアロンダイトの切っ先が俺の頬を掠める。鮮血が宙を舞う。

 アロンダイトは折れることのない不屈の剣。まず武器を破壊することは無理だ。ならば、

「その武器を手放して貰う!」

 俺はナイフを柄のあたり目掛けて振り上げる。金属の擦れる音が戦場に反響する。

「…っ!!」

 しかしランスロットは武器を手放してはいない。そもそも金属の擦れる音などする筈ない。当てたはずなのに擦れることなどないのだ。

!?」

「その程度の腕がアーサー王を倒そうなど、笑止!」

 受け流された反動で俺は体のバランスを崩す。それを狙っていたかのようにランスロットは剣を振り上げる。

「っ!でぁっ!」

 ランスロットの胴体を蹴り距離を図る。しかし、その代償として左足を切り落とされる。

「ちっ!」

 左足はしばらくしないと再生しない。かなり不便だ。

「足が生えるまで待ってやる」

 ランスロットは剣を鞘に収める。どういうつもりか?同情か?俺の困惑の表情にランスロットは淡々と話す。

「不利になった相手に勝ったところで勝利とは言えない。真の勝利とは、同じ状況で勝つことだ。今の貴様に勝ったところで私はただの卑怯者であるという事だ」

 話が終わると同時に俺の足が再生して元に戻る。

「貴様、本当に人間か?そこまで見事に元に戻るなど、普通じゃ考えられない」

 ランスロットは剣を鞘から抜き切っ先を俺に向ける。

「化け物。これが今の貴様に相応しい名だ」

「そりゃどうも。ランスロット、あんたも俺からしてみれば化け物と変わらないさ」

 ピリピリと緊張の空気が漂う。周囲では兵士たちが戦い、悲鳴をあげ雄叫びを上げている。その中、俺とランスロットのいる場所だけが静かだった。

「全力で行く!」

 ランスロットはスピード勝負に出た。ならば俺も、それに応えるしかあるまい。

 俺もランスロットに続いて足を踏み出す。

「おおおお!!」

「はああぁ!!」

 速さに任せナイフを横振る。ガキンッ!鈍い音が鳴り響く。両者の刃が弾かれる。それが分かった瞬間俺はまたもナイフを振るう。ランスロットも同じ考えのようだ。弾き、弾かれの剣の応酬、応酬、応酬、応酬!

 またも金属のぶつかる鈍い音。両者ともそれを合図に後ろに後ずさる。

「はぁっ、はぁっ…」

「はっ、はっ…」

 息を整えるも、なかなかに辛い。それでも互いに譲れない目的がある。俺はナイフを構え直す。

「ここまでとは…」

 ランスロットはアロンダイトを地面に突き刺す。負けを認めたのか。そんな甘い考えが脳裏を横切る。慌てて俺はその思考を断ち切った。そんなことあるわけが無い。それこそ無礼に当たる。

「仕方あるまい。これだけは使いたくなかったものだ」

「奥の手ってやつか」

 ランスロットはニヤリと笑う。

「王の忠義に基づいて、我その力を望まんとする。友を斬り、仲間を斬った剣よ、今ここに顕現し、指し示せ!」

 地面に刺されたアロンダイトが眩い光に包まれる。とめどなく溢れる光。

「これが、己が騎士道!」

 ランスロットがアロンダイトを引き抜く。光が剣となり、カムランの中心に眩い光の柱が顕現する。

仲間殺しの湖の剣トゥレチェリイ・アロンダイト!!!」

 眩く白い光が戦場を包み…。
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