女子に追いかけられて死んで転生した:ヌルゲーで異世界生活:

涼雪 涼

文字の大きさ
116 / 118
魔功都市ジンフォルド

108 集落

しおりを挟む
 カムランの丘から数千キロメートル離れた荒野に、遊撃部隊は馬で闊歩していた。

「ほんとにこの方角であってるの?」

 リヴィアンは手綱をうまく操りながら後ろに乗っているマグに聞く。かれこれ2,3時間上手に乗りっぱなしなのだ。

「ええ。もう着きます」

「それさっきも言ってなかった?」

 アルブリヒトは溜息をつき、皮袋に入った水を飲む。そんな彼女を横目にマグはマンモンに言われたことを思い出す。



   ○   ○   ○



「アーサー王の故郷に行ってもらいたいのです」

「それはどういう事ですか?」

 食事を終えたあと、マグはマンモンに呼び出され書斎にいた。

「アーサー王のあの異様な強さは恐らく、彼の故郷に関与していると思われます。まぁ、故郷を人質に取られていると考えてもらっても構いません」

「ヴォーディガンは意外と外道なんですね」

 失笑混じりにマグは溜息をつく。マンモンもニヤリと笑う。

「ま、悪魔より悪魔してますしね」

 そして暫しの沈黙。

「で、アーサー王の故郷に言ってどうするんですか?」

「軽く、ブリタニアの偵察兵士たちを倒してくれればいいのです。そうすれば人質は開放されたも同然。もちろん、偵察兵士を倒せばそれに勘づいて追加の兵士が来ますが。恐らく心配はありません。あそこには理解ある騎士がいますからね」

「理解ある騎士?」

 取り敢えずは味方がいるから安心しろということなのか、それとも敵だが話で決着がつくのか。どちらにせよ、トリストの助力になるのであれば断る道理がない。

「分かりました」

「君なら引き受けてくれると思っていましたよ。リヴィアンとアルブリヒトも同行させます。地図は明日の早朝渡します」

 そう言ってマンモンは書斎を出ていった。

 マグはマンモンにあまり親しみが湧かない。むしろ嫌悪感が少し勝る。

「引き受けてくれると思っていました?ふん。トリストの助力になるような計画を促した時点で私が引き受けることを知っていたはずです。全く、悪魔ってものは性根が腐っていますね」



   ○   ○   ○



「あっ!あれじゃない!?」

 はっとマグは顔を上げる。目の前に見えたのは小さな集落だった。

「おおー。あれがアーサー王の生まれ故郷」

「あなたが言うとアーサー王をからかっているようにしか思えないですね」

 たははとアルブリヒトは笑う。

「さて、この当たりで理解ある騎士と合流するはずなのですが」

 そう言った瞬間、マグは明確な殺意を感じた。

「…っ!!止まりなさい!!」

 マグは急ぎ馬の静止を叫ぶ。アルブリヒトとリヴィアンは訳が分からぬままに止まる。

「いきなり何よ」

「止まるにはまだ早いぞ?」

 マグは睨みをきかせ前を見据える。そこには2人の騎士が立っていた。一人は槍を、もう一人は巨大な縦を片手に持っていた。

「やはり、理解ある騎士など存在するはずなどありませんね」

 「いつの間にっ!?」

「おーおー。揃いも揃って殺気立ってるねー」

 二人の騎士は今なお凄然と立っている。マグはその二人が誰かを知っていた。その知識はトリストから共有されている。

「早いご登場ですね聖杯探索組」

 槍を持っている騎士はパーシヴァル。巨大な盾を持っている騎士はガラハッド。この二人は聖杯探索において多大な貢献をした。故に、伝説に近づいたとされる。

「騎士ガラハッド」

「騎士パーシヴァル」

「「尋常に勝負!!」」

 女性の声が集落の前に響いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

処理中です...