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揺れる想い
揺れる想い
しおりを挟む翌日、再度黒板五郎の家を二人で訪れた。
洋介は一生懸命ドラマの場面を説明しながら熱く説明した。
愛蘭は話しについていくのがやっとだったが洋介のひたむきな姿をみているだけで満足だった。
洋介にしても昨日一人できた時は寂しさで楽しくなかったが、愛蘭が正面から話しを聞いてくれるので気持ちが上がって嬉しかった。
愛蘭 なんか俺一人で熱くなっちゃってごめんね。
子供のころから観ていたドラマだったから。
私も楽しいよ。洋介さん。
よ、洋介さん…?
洋介はびっくりして愛蘭の顔を見た。
だって昨日から私のこと愛蘭って…
あ…何か気づかず自然に言ってた …
だから今日から私も南波さんじゃなく洋介さんって呼びます。
洋介は照れ臭かったが距離が縮まった感じがして悪い感じはしなかった。
その後洋介は近くに牧場があることがわかったので行ってみることにした。
洋介が運転していると助手席の愛蘭がチラチラこちらを見るような視線を感じた。
どうしたの?
ううん、何でもないよ…
愛蘭は顔を背けた。
愛蘭は昨日の竜々の質問を思い出していた。
あの人のこと愛蘭は好きなの?
洋介の横顔を見ながら愛蘭は考えていた。
次の瞬間洋介と目線が合った。
愛蘭は照れながら下を向いた。
今日の愛蘭何か変だなぁ…
洋介は微笑んだ。
洋介さんの笑顔…
この笑顔を見たかったのかもしれない…
私をいつも癒してくれる。
そして一緒にいられることの安心感。
それが追いかけた理由なんだと思う。
洋介も助手席に愛蘭がいてくれる。
これだけで気持ちが明るくなった。
草原が続く道をこえて牧場に到着した。
観光牧場として馬、牛、羊などの動物が放牧されており様々な体験施設やお土産も充実した立派なものであった。
車から降りると吹き抜ける爽やかな風に牧草の緑の香りがのって気持ちが良かった。
柵の中には白黒のホルスタイン牛と茶色い毛のジャージー牛が草を食んだり横になってのんびりしているのが見えた。
洋介さん向こうの柵には馬もいるよ!
愛蘭は初めて見る放牧された牛や馬に興奮しきりだった。
愛蘭あっち見てごらん
仔馬が親の後を追いかけているよ。
洋介は指を指して愛蘭に教えた。
かわいい!
愛蘭は仔馬に手を振って笑顔を振りまいていた。
洋介も牛がいる牧場には行ったことはあるが、馬が放牧されている光景は初めてだった。
毛並みも良く走る度に躍動する筋肉は美しかった。
人のせせこましい生活とは違い大自然の中の牧草地で伸び伸び過ごす馬の姿に洋介は羨ましくさえ思った。
ひとしきり牧場を見た二人は折角牧場にきたんだからと洋介の希望で牛の搾乳体験をすることにした。
スタッフにやり方をレクチャーされ洋介は初めて牛の乳搾りをやってみた。
ところが洋介の要領が悪かったのか牛は嫌がって後ずさりして上手く出来なかった。
愛蘭もやってみると今度は牛はおとなしく乳を搾られた。
愛蘭は何をやっても器用だなぁ
洋介は感心した。
愛蘭は最初目の前の大きな牛が少し怖かったがスタッフに言われた通りやってみると思いのほか牛も大人しく簡単に乳を出してくれたので自分の隠れた才能を発見したようだった。
洋介さんってもしかして不器用?
愛蘭は笑って言った。
悪かったね。
どうせ不器用ですよ。
洋介はおどけて答えた。
二人は少し遅めのお昼を併設されているレストランで取ることにした。
メニューには乳製品をふんだんに使ったものや手作りのソーセージなど牧場ならではのものがあり特に味の濃い牛乳は最高に美味しかった。
食事も終わり愛蘭は化粧直しのため洗面所へ向かった。
洋介は愛蘭が楽しんでくれているようなので牧場にきて良かったと思った。
しかしこの状況が一変する出来事が発生した。
洗面所から戻ってきた愛蘭は青い顔をして動揺していた。
洋介は心配して
具合悪い?
と聞いたが
愛蘭はううん、そうじゃないの… 行こう…
あ、うん…
洋介は車を出し牧場を後にした。
愛蘭は深い溜息と共に深刻な顔をしていた。
洋介は愛蘭に洗面所の際に何か変化があったと感じた。しかし洋介はしつこく聴きだすようなことをせず愛蘭の言葉を待った。
愛蘭は思い詰めた表情をしていたが、
私洋介さんに言わなきゃいけないことがあるの…
と洋介の横顔を見つめてきた。
大事な話し?
洋介は聞いた。
はい…
愛蘭は俯いた。
洋介は走っていた車を近くのコンビニの駐車場の端の方に停めた。
洋介は愛蘭の方を見て愛蘭の話しを聞いた。
愛蘭はゆっくり話し出した。
実はさっき洗面所にいるときメールが入ってきたの…
相手は婚約者の天祐から…
天祐が言うにはこの間のこと謝りたいって…
また私とやり直したいっていう内容だった…
この問題は愛蘭にとって父親との関係以上の最大の苦悩の原因であるものだ。
愛蘭は助けを求めるように洋介を見つめた。
洋介は優しく語りだした。
愛蘭 俺 ある人からこんな言葉をかけられたんだ。
世の中の当たり前だと思うことが実は当たり前ではない…
当たり前に居た人が居なくなって初めてその人の存在に気づく…
…俺は今の君は海で出会ったころの愛蘭ではないと思うんだ。君自身気が付いてないかもしれないけど、愛蘭 君は変わった。
自分で自分の行き先を決められる強い意思を持った女性になったと思う。
焦らなくていいから今日はゆっくり自分の行く先を考えてごらん…
はい…
愛蘭は作り笑いをしたように頷いた。
この日は早めにホテルにチェックインした。
一人静かに考える環境を洋介は愛蘭に与えるためシングルをふた部屋取った。
部屋に入る前洋介は愛蘭に言った。
これから君は人の引いたレールの上を走るんじゃなく自分自身で決めた道を歩んでいくんだ。
後悔のないように自分と見つめあってね…
それでも もしわからなくなってしまったら素直に自分の奥底にある心の声を聴いてごらん。
…はい
洋介は愛蘭が部屋に入るのを見届けた。
洋介は自分の部屋に入るときつく目を閉じた。
俺にできる事は見守ることだけだ…
洋介には信念があった。
こんな時彼女の横について話しを聴いてやったりアドバイスするのは容易いがそれは本当の優しさではない。
男の優しさとは信じて見守ること。
彼女が出した答えならば…
それがどんな結論だとしても…
愛蘭はドレッサーの前に座ると大きな鏡に自分の姿を投影した。
大きく息を吐いてもう一度天祐からのメールを読み返した。
愛蘭
今日君の家にいったら君のお父様から君が日本へ行った事を聞かされた。
あの時のこと謝りたくて
どうか僕を許してほしい
僕は弱い人間です。
君の気持ちも考えずに僕は周りに流されていた。
愛蘭 僕には君が必要なんだ
どうか僕のところへ帰ってきてほしい。
愛蘭 君のことを愛している
天祐
愛蘭はスマホを両手できつく握り締めていた。
日も暮れ暗くなってから洋介は一人静かに部屋を出て夜の街に出た。
商店街は閑散としてシャッターを閉めている店や空き店舗の紙を貼って閉じている店も多かった。
愛蘭は今自分と向き合って苦悩している…
俺は自分とちゃんと向き合っているのか?
洋介は夜の街をあてもなく歩いていると古ぼけた木の看板に白い字でコーヒーと書かれた喫茶店を見つけた。
ドアを開けるとカランコロンと鈴が鳴り中からコーヒーのいい香りが漂ってきた。
昭和の時代で時間が止まっているようなレトロな純喫茶だった。
比較的広い店内には端の方にテーブルゲームがあり木目調のテーブルに赤いソファー、クラシックなペンダントライトが下がりカウンターとソファー席が数席設置された落ち着いた空間だった。
洋介を喜ばせたのはマスターの趣味らしくカウンターの奥に数十年は経っているであろう安全地帯のポスターと棚には表を見せてLP版のジャケットが飾られていた。
そしてBGMには玉置浩二がかかっていた。
洋介は中学生の頃から彼等のファンでほとんどのCDを持っていた。
彼等は北海道出身だったことを思い出した。
洋介は客のいない店内のソファー席に座り口髭を生やした品の良さそうなマスターにコーヒーを注文した。
茶色いコルク調の壁にはいつ描かれたのかわからない落書きがあった。
マジックで描かれた相合傘の中に 悟と菜々子いつまでも仲良し ハートやピースマークもあった。そんな落書きをみているうちにサイフォンで入れられた香り高いコーヒーが運ばれてきた。
テーブルの上には小さくかわいい向日葵の一輪挿しがあった。
一年前…
美紗子の入院していた病院の花壇にも向日葵が咲いていた。
洋介の願いも虚しく美紗子の病状は日に日に悪化していた。
顔はこけ放射線治療の副作用で髪は抜け頭にはニット帽を被っていた。
洋介は美紗子の手を取ったときの細くなった手首にショックを受けた。
かなり疲れ易い身体になっていたが調子の良いときは車椅子や洋介に肩を借りて病院の中を散歩することもあった。
ある日花壇の前のベンチで美紗子は独り言のように呟いた。
向日葵見るのも今年で最後ね…
洋介はギョッとして美紗子の顔を見たがかけてやる言葉が見つからなかった。
安易に励ますことの無意味さを洋介は理解していたし、来年もまた一緒になんて言葉は美紗子を逆に悲しませることになる。
先の話しをすることは必ず美紗子が生きていたらという言葉が頭につくのだ。
洋介は話しをそらすように
太陽に向かって黄色い花がすごくきれいな向日葵だ。
と美紗子に向かって言った。
向日葵の周りには白い蝶が飛んでいる。
…うん
美紗子は弱々しく返事を返した。
ねえ あなた
私、最近あちらの世界が近いせいか…
洋介は
そんな話し聞きたくない!
言葉を遮った。
洋ちゃん最後まで聞いて…
母親が駄々をこねる子供を諭すように美紗子は洋介に語り出した。
私ね身体の自由が効かなくなってからいろんな事に敏感になった気がするの。
世の中には何か目に見えない大きな力があるっていうか…
オカルト的な?
違う。
洋介は場を和ませようと言ったつもりが強く否定されてしまった。
じゃあ運命とかかい?
うーん、運命ともちょっと違うかな、
運命って未来が自分で変えられない決まったものでしょ?
そうじゃなくて引力というか磁力みたいに引きあうっていうか上手く説明できないけど人にはそんな力が働いているように思えるの…
その時洋介には美紗子が何を言いたいのかわからなかった。
目の前の漆黒色のコーヒーを洋介は眺めていた。
美紗子…
そんな大きな力があるのならなんでお前は死んだんだ?
世界には世の中の害になるような悪い奴がいっぱいいるのに何でお前なんだ…
洋介は悔しかった。
俺はお前を幸せにしたのか?
お前は幸せだったのか?
俺と一緒にならなければ違った人生がお前にはあったんじゃないのか?
もしかしたら病気にもならずに今でもどこかで元気に…
洋介は目を閉じた。
俺には人を幸せにすることなんてできない…
店内には玉置浩二の
MR.LONELY
が流れはじめた。
洋介は歌詞を噛み締めた。
Oh… Oh… Oh… Oh…
こんな僕でも やれることがある
頑張って ダメで 悩んで
汗流して できなくって
バカなやつだって 笑われたって
涙こらえて
Wow…
何もないけど
いつでも 野に咲く花のように
君が優しかったから 僕は
元気でいるから
Oh… Oh… Oh… Oh…
どんな時でも どんなことにでも
人の気持ちになって
この心が痛むなら
むだなことだって 言われたって
かまわないから
Wow…
何もないけど
なかよく 野に咲く花のように
君と暮らしていた頃を 思って
元気でいるから
むくわれないことが 多いだろうけど
願いをこめて
Wow…
何もないけど
僕らは 野に咲く花のように
風に吹かれていたって
いつでも どんな時でも
何もないけど
君のために 野に咲く花のように
遠く離れていたって 笑って
元気でいるから
Oh… Oh… Oh… Oh…
コーヒーを飲み干すと洋介は喫茶店を出てホテルの部屋に戻った。
ベッドに横になると深い溜息をついた。
チラッと壁の方を見た。
今このとき愛蘭は壁の向こうで自分の行き先を決める重大な決断をしているはずだ。
洋介は天井を見上げたまままんじりともせず朝を迎えた。
愛蘭は鏡に映る自分の顔を見ながら天祐のことを考えていた。
天祐とは大学のとき知り合った。
中国でも最高学府の大学で二人は常に首席を争う優秀な成績をあげていた。
愛蘭は努力型の秀才肌だが天祐は正に天才肌の学生だった。
大企業の御曹司で成績も優秀な天祐を女子学生が放って置くはずもなく天祐の周りには常に取り巻きがついていたほどだ。
愛蘭も成績優秀で美人であったが、当時愛蘭は人付き合いはせず男子学生からは冷たい高値の花に思われたため遠巻きに見ても近寄ってくる強者はいなかった。
そんな二人がテニスサークルで知り合ったのは偶然だった。
天祐は愛蘭に出会った瞬間から恋をした。
女性にモテている天祐であったが決してチャラついたところはなく女性と遊ぶような事もなかった。
愛蘭に猛アタックをして愛蘭以外の女性には一切見向きもしなかった。
愛蘭も最初はボンボンの天祐に興味を示さなかったが天祐の一途さについに折れた。
この頃の天祐は財力をひけらかすこともしなかったし学力を鼻にかけるような態度もしなかったから友人も多く友人も天祐に対して普通に付き合っていた。
そんな天祐に次第に愛蘭も心を許すようになっていった。
二人が付き合うようになってショックを受けた男女は数知れなかったがこの二人なら仕方ないと思う者が大半だった。
誰もが見てもお似合いのカップルで皆が羨望の眼差しで二人を見た。
大学を卒業後も愛蘭の教育実習や天祐の仕事の関係上離れることがあったが二人の恋人関係は続いた。
愛蘭は思い出していた。
楽しかった天祐との思い出を…
夜の街を天祐の運転するバイクに乗ってしっかり天祐の背中にしがみついて疾走した夜。
愛蘭の誕生日のお祝いに間に合うように手にマメを作って一生懸命ギターを練習してぎこちない演奏をしてくれた天祐…
水族館にデートに出かけ周りに人のいない隙に神秘的な光りを発光するクラゲの薄暗い水槽の前でキスしたこと…
楽しい思い出が脳裏をよぎっていく。
天祐…
愛蘭はフゥーと大きく息を吐くと鏡の前でニコっと笑った。
夜はすでに明けていた。
バタン、
隣の洋介の部屋のドアが閉まる音が聞こえた。
そしてカサっという音がして愛蘭の部屋のドアの下にメモが差し込まれた。
先に車で待っています
洋介
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