北の大地で君と

高松忠史

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慕情

慕情

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洋介は車をホテルの入口につけ愛蘭を待った。

暫くしてから愛蘭が出てくるのが視界に入った。
昨日までとは違い髪の分け目を変えてアレンジを加えていた。
そして目の覚めるような鮮やかなレモン色のブラウスにベージュのスカートを履きスッキリとした表情には笑みも見える。

洋介は感じ取った。


決まったんだな…


愛蘭が車のドアを開け助手席に座った。

洋介は正面を向いたまま言った。

俺は…君が決めた決断を尊重する…

そう言うと洋介は左手でカーナビを設定し始めた。

どこに行くの?
愛蘭が洋介を見て言った。

空港にせっ…

突然愛蘭の右手が洋介の左手を抑えた。

私 決めたんです。
婚約者の天祐の元へは帰りません。

え?

父や学校にもお願いして今の学校で今まで通り生徒たちに日本語を教えたい。

天祐とは婚約を解消してお別れします。

だけど…
洋介は戸惑った。

洋介さん今言ったじゃない
私の決断を尊重するって。

う、うん…

洋介はまさか愛蘭がそんな決断を下すとは思わなかった。

ほら、後ろに車がついているから出発しよ。
愛蘭はケロっとした感じで洋介に出発を促した。

洋介は行き先も決めないままとりあえず車を走らせた。
少し開けた窓から入る風に愛蘭の髪はなびいている。
穏やかな表情に口元は微笑んでいるように洋介には見えた。

愛蘭は夜が明けてから天祐にメールを返信していた。


天祐へ

メールありがとう
いろいろ気を使ってもらって貴方には本当に感謝しています。

私は今日本の北海道にいます。

貴方は 私のことを自分に相応しい女性だと言ってくれましたね。

でも私北海道へ来て気づいたんです。
こちらへ来て様々な人と出会い、様々な人の考え方に触れました。
そして何よりここの雄大な大自然の中で私という人間がいかに小さい存在なのか
いかに未熟な人間なのかを痛感したのです。

決して私は貴方に相応しい女性なんかじゃありません。

天祐 貴方はこんなところで立ち止まってはいけない人です。
貴方に相応しい人はこれからきっと現れる筈です。

貴方は貴方の信じる道を進んでください。

今まで楽しい思い出をありがとう。

貴方の成功を祈っています

                                    愛蘭


洋介は運転しながら心配そうに愛蘭の横顔を見た。
愛蘭と一瞬目が合ったが愛蘭は微笑むとほおづえをついて窓の外に視線をそらした。


愛蘭は流れて行く車窓の景色を見ながら思っていた。

昨夜考えたの…
洋介さんが言った通り素直に自分の奥底にある心の声を聴いてみた。

私は自分で決めた道を進んでいきたい。

そして私が本当に側にいて欲しいと思った人…

浮かんだ顔は天祐じゃなかった…

浮かんだ顔はそう…

洋介さんあなた…

たとえあと三日しか時間がないとしてもそれまであなたと一緒にいたい…
それが素直な私の気持ち

意味ありげな目線を愛蘭は洋介に向けて微笑んだ。



洋介は愛蘭の微笑みの意味がわからなかったがつられて微笑んだ。

洋介も細かいことまで問うのは男らしくないと思ったので何も質問はしなかった。


3㎞先花時計公園
の標識が目に入った。
愛蘭が見てみたいというので洋介は公園に入った。

色とりどりの花が咲いている大きな花時計がシンボルの美しい公園だった。
周りには芝生や噴水もあった。

洋介は自販機でコーヒーとジュースを購入して噴水の前のベンチに愛蘭と腰を下ろした。
芝生にはシートを敷いてカップルや家族連れの姿が見られた。

二人で噴水を見ながら飲み物を飲んでいると2歳くらいの女の子がちょこちょこ歩いてきて洋介の近くで立ち止まった。
洋介が顔を向けるとニコっと笑いかけてきた。
洋介も笑って応えた。

すみませーん
女の子の母親が走ってきて女の子を抱き抱えていった。母親に抱き抱えられた女の子は洋介にバイバイと手を振って笑顔を振りまいた。
母親と去っていく女の子に洋介も微笑みながら手を振って応えた。

洋介さん子供好きなの?
愛蘭が親しみを込めて聞いてきた。

うん…
うちら夫婦は二人とも子供が好きだったけど結局子供は出来なかったんだ…

洋介さんの奥さんってどんな方だったの?

妻の美紗子か…
そう…明るかったな
天然なところもあったけど…
俺が仕事で嫌なことがあって家に帰っても美紗子といるといつの間にか嫌なことを忘れちゃうみたいな…

家のことはあいつに任せっきりで俺は一人で何も出来なかったよ。
俺は甘えていたんだな…

美紗子が死んだとき…
俺は自分の身体の一部が無くなったようだった。
それからぽっかり心に穴が開いたようになってしまったんだ。

昨夜も考えていたんだ…
俺と一緒にならなければ美紗子はもっと幸せだったんじゃなかったのか…てね…

そう…違う人生を歩んでいたなら…

洋介は握った拳を見つめて言った。

俺が彼女を死なせてしまったんじゃないかと思って…


そんな…
奥さんは病気だったのよ。
洋介さん自分をそんなに責めないで…
愛蘭は今にも泣きそうな顔で洋介を見つめた。

病気だったってことは頭では解っているつもりなんだけど簡単に割り切れなくてね…

洋介は遠い目で答えた。

愛蘭は洋介の手にそっと手を置いた…
愛蘭の手の温かさが伝わってきた。

ありがとう…愛蘭

洋介が人にこれだけ心の内を吐露したのは初めてのことだった。
愛蘭だったから素直になれたんだと洋介は思った。

愛蘭も自分の前で弱さを見せた洋介をより近くに感じた。

洋介さん…
私 最初の条件破っていい?

何のことだい?

踏ん切りがついたら出発するっていう約束…
私 …踏ん切りがついたのかもしれない…
でも…あと三日、最後の日まで居てもいい?

ああ…
洋介は頷いて微笑んだ。 

そう…愛蘭が日本にいられる日にちはあと三日…

洋介は何とも言えない気持ちだった。


街のレストランでお昼をとって二人は札幌に向かって走った。

途中 突然電話が鳴った。
ナビ画面に妹の美加の名前と番号が表示された。

美加は美紗子が死んで洋介が塞ぎ込んで食事も取れずに家にこもっていた時 献身的に食事の用意をしたり洋介の身の回りの世話をしてくれた洋介にとって一人きりの兄妹だった。

洋介は運転中だったためハンズフリー通話ボタンを押して電話に出た。

兄さん?
スピーカーから美加の声が聞こえてきた。

ああ。

お母さんが心配して兄さんにスイカを持っていくように預かったんだけど、兄さんの家に行ったら留守だったから…

今出かけているんだよ。

どこにいるの?

北海道。

北海道⁈
一人で?

うん、ま、まあな…
洋介はチラッと愛蘭の方を見た。

どうして北海道なんか行っているの?
私聞いたよ、兄さん会社辞めたって。
もしかしてまだお姉さんのこと引きずっているの?

…それを吹っ切る為にここに来ているのかもしれない。



…何カッコつけたこと言ってるのよ⁉︎

美加は苛立った声をあげた。

洋介は苦虫を噛み潰したような表情になった。

もうすぐお姉さん亡くなって一年だよ!

まだ一年だ…

もう一年よ!

兄さん… 兄さんにはこれから長い人生があるのよ。
現実の生活から逃げちゃダメだよ。
美紗子さんだってこんな兄さん見たら悲しむよ。


洋介は黙り込んだ。

愛蘭は心配そうに洋介の顔を見つめた。

実は兄さんに会って欲しい女性がいるの。
私の友達の親戚の方なんだけど優しい感じで凄く器量が良くて兄さんに合うと思う。
今度お見合いしてみない?

愛蘭はお見合いという言葉にピクっと反応した。

俺は次の結婚なんて考えていない。

兄さんだっていつまでも若くないんだよ。
これからずっと独りって訳じゃ困るでしょう?

別に困らないよ…俺は
独りでも…

そんな強がり言ってないの。

強がりなんかじゃない…
洋介は怖かった。
これから先 人を幸せにすることなんて俺には出来ない…
洋介は苦悩していた。

とにかく早く帰って来なよ。みんな心配してるんだからね。
美加の電話は一方的に切れた。

洋介は襟首をつかまれて急に現実の世界に連れ戻されたような感覚がした。

洋介さん…?

愛蘭が心許なげにこちらを見つめていた。

愛蘭心配ないよ…
妹もきつい事言うけど俺のこと心配して言ってくれているんだよ。

あいつの言う通りさ…
もう一年近く経つのに俺はまだ踏み出すことが出来ない…

洋介さんお見合いするの?
愛蘭は上目遣いに聞いた。

まさか…。
公園でも言ったけど俺には人を幸せにすることなんてきっと出来ない…
そんな資格もない男なんだよ…

そんなこと…ない…

愛蘭は顔を洋介から背けた。
瞳には涙が浮かんでいた。
愛蘭は悲しかった。
 
洋介の氷のように固まってしまった心をどうやったら溶かすことができるのか愛蘭にはわからなかった。

洋介は思った
俺に終着駅はあるんだろうか…


札幌に着くと愛蘭の荷物を預けてあったゲストハウスへ向かった。
愛蘭は長期に渡って荷物を預けてもらっていたことを詫び必要の無い荷物を故郷へ送る手続きをとった。

その後二人は時計台や旧道庁、大通公園を見学して市内のビジネスホテルに宿を取った。

ホテルに着いた洋介は愛蘭を街に誘った。

なあ愛蘭 今晩飲みに行かないか?

え?
だって洋介さん飲めないんでしょ?

札幌は美味しい海産物食べさせる居酒屋もあるみたいだから俺は飲まなくても大丈夫だよ。

愛蘭は嬉しそうに頷いた。

洋介は愛蘭に故郷に帰る前にもっと日本を楽しんでいってもらいたかった。

愛蘭は洋介の方から声をかけて貰えて嬉しかった。

札幌ススキノの夜は昼間のような明るさだった。
愛蘭は洋介の少し後ろを歩いて行った。
大きな看板のネオンに目を奪われているうちに愛蘭は洋介と少し離れてしまった。

先にいた洋介に風俗店の客引きが腕を引っ張り執拗に店に誘っているのが見えた。

失礼!   

愛蘭は駆け寄ると洋介と腕を組み洋介がつんのめるくらい腕を引っ張って歩き出した。

なんだ同伴かよ。
それにしてもいいスケだねぇ…
客引きはようやく諦めた。

愛蘭はそのまま洋介と腕を組んだまま目的地の居酒屋まで歩いた。

海鮮居酒屋はビルの3階にあった。
二人は畳敷きの個室に案内され洋介はおまかせコースを二つ注文した。
飲み物は愛蘭は冷やの日本酒を注文して洋介はウーロン茶を注文した。

洋介は愛蘭のガラスのお猪口に徳利から酒を注いだ。
乾杯をすると愛蘭は一気に日本酒を飲み干した。

美味しいー
愛蘭は嬉しそうに言った。

なるほど…お酒は強そうだと洋介は思った。

日本酒好きなの?
洋介は聞いた。

最近中国でも日本酒流行っていて私大好きなの。

料理は北海道らしく帆立やイクラ、サーモン、イカ、雲丹など豪華な刺身や茶碗蒸し、焼きガニ、寿司などが並んだ。

愛蘭のピッチは早く徳利が次から次へと空になった。

私こういうお店初めて。
天祐と行ったのはいつも気取った高級レストランばっかりだから。
 
高級レストランと比べたら見劣りするだろけど気に入って貰えたかな?

お料理もお酒も美味しいし私は居酒屋のほうが好き。
愛蘭はぐいぐいお酒をあおった。

あんまり無理するなよ…
洋介は心配した。

大丈夫~

愛蘭は言ったが目が座ってろれつが回らなくなってきていた。
たまに中国語も混ざって話すようになった。

コラァ!よーすけ!…

うん?
愛蘭は完全に酔っているようだ。

あなたは@#&♨︎ 
奥手過ぎるんのよ@$%,.○

そう…かもな…
洋介は苦笑した。

そんな奥手でど、どうやって奥さんにプロポーズしたの⁉︎
愛蘭は洋介に指を指して聞いてきた。

いいじゃないか、そんなこと…
洋介は笑って答えた。

よくない!

だいたい おれは人を幸せにできない…なーんて寝ぼけたこと言っちゃってさぁ–⁈

よーすけは…すで…に
…わたしの…こと

うーん…

寝ぼけな…いで…よ

愛蘭はテーブルに突っ伏して寝てしまった。

愛蘭が何を言ったか洋介には聞き取れなかった。

しょうがないな…

洋介は愛蘭に近づいて肩を叩いた。

愛蘭もう帰ろうか?

うーん…
やだ

お店出よう

私帰りたくない…

そういう訳にもいかないだろ?

中国に帰りたくない
まだ日本にいたい…
うーん…
よーすけと…

洋介はドキっとした。
愛蘭は寝たまま意識がもうろうとしているようだった。

洋介は会計を済ますと愛蘭をおんぶして帰る事にした。

さあ、愛蘭落ちないようにしっかり掴まって。

洋介は愛蘭を背中におんぶして立ちあがった。

苦しい!腕で首締めてる…
愛蘭緩めて…

やっとの思いで洋介は歩き出した。
夜の街をおんぶ姿で歩くのは滑稽だが場所柄珍しいことでもないだろう。

背中に愛蘭の体温を感じつつ宿泊先まで洋介は慎重に歩いた。

夜風が心地よい夜だった。


洋介さん…

うん?

洋介は愛蘭が気が付いたものだと思って愛蘭の方に顔を向けた。



行かないで…


愛蘭は眠ったままだった…
夢を見ているのか…

俺はここにいるよ…
洋介は優しく答えた。

部屋に着くと洋介は愛蘭をベッドに寝かせた。
愛蘭は気持ち良さそうに眠っていた。
洋介は愛蘭の幸せそうな寝顔を見て微笑んだ。

洋介は自分のベッドに腰掛けると手帳を出して挟んである一枚の写真を取り出した。
それは美紗子が元気だった頃の写真…
洋介が家の花壇にいる美紗子を撮ったものだった。
美紗子はカメラに向かって笑っていた。

洋介はさっき愛蘭に聞かれたプロポーズの場面を思い出していた。
洋介にとって忘れられない日であったし、生涯で一番緊張した瞬間を洋介ははっきり覚えていた。

そこは丘の上から夜景が見える場所だった。

心臓はバクバクで全身ガチガチだった。
この日のために何度も練習した言葉が洋介は頭が真っ白になって口から出なかった。
それでも誠意だけは伝えたくて飾らない言葉を思い切って言った。

美紗子さん…
あなたを一生守ります
僕と結婚してください

長い沈黙が続いた…

…はい
美紗子は涙を流して承諾してくれた。

洋介は写真を見ながら呟いた。

美紗子…

約束を守ることができなかったな…

君を守ることが俺には出なかった…

ごめんよ…

指で写真の美紗子の顔をなぞった。

うーん
愛蘭が寝返りをうった。

洋介は写真を手帳にしまった。

現実の生活…
美加から言われた言葉だ。
洋介もそのことは当然わかってはいた。
帰れば容赦無く待ち構える現実…
生きるために働かなくてはならないし、生活のために家事もしなければならない。
今この瞬間も現実には違いないが、この旅自体どこか現実から乖離して浮世離れした夢の中にいるような感覚に陥ることがある。

当然 旅の中で出会った愛蘭のことも例外ではなかった。

愛蘭も国に帰れば現実の生活が待っている。
そしてすでに愛蘭自身その道筋を立てている。

愛蘭を洋介の現実の生活に当てはめることなど想像も出来ないことなのだ。

愛蘭の寝顔を見ながら洋介は思った。
愛蘭には最終日まで北海道を楽しんでもらってこの旅をいい思い出にしてもらいたい。
俺に出来るのは最後の日に笑顔で愛蘭を見送ることだけだ。
彼女の未来のために…

洋介は愛蘭の布団を優しく肩まで掛けてあげた。

洋介はベッドに横になって思った。
俺自身どこかで踏ん切りをつける瞬間がくる…
いや、つけなければ…
永遠に旅を続けることなんて出来やしないのだ。

洋介は旅の終わりを決意した。

































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