北の大地で君と

高松忠史

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伝えたい言葉

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洋介は車を飛び出した。

俺は…  俺は…

足をもつれさせながら全力で走る。

今さえもてば足がもげたっていい…

洋介は走った。
何度も転びそうになりながら
自らの心の声に従って…

まだ
まだ俺は…

エントランスに入り彼女を探す。
また走り出しては探し続ける。
しかし人混みで見つけることが出来ない。

大きな力が本当にあるのなら絶対にまた逢える!
洋介は息を切らし走りながらその言葉を信じた。

走る洋介の頭に倉田の言葉が繰り返された。

南波さんの幸せって何ですか?

俺の…

俺の幸せは…


瞬間 …
愛蘭の黄色いスカーフが目に入った。
愛蘭は搭乗ゲートの列にいた。
彼女はまだこちらに気がついていない。

愛蘭ー!
愛蘭ー!

洋介は愛蘭の名前を叫びながら走り出した。

外国線搭乗ゲートはチケットが無ければそのまま入ることは出来ない。
見送りの透明のアクリル壁に走り愛蘭の名前を叫び続けた。
しかし空港内の騒音のため壁を叩いても彼女は気がついてくれない。
それでも洋介は愛蘭の視界に入るよう叫び続けた。
他の搭乗客が何事かと顔を向けた。

愛蘭の顔には先程流した涙の跡が頰に残っていた。
暗く沈んだ顔を少し上げると透明な壁の向こう側に壁を叩く洋介の姿があった。

あぁ…
洋介さん…

驚きと吐息…

愛蘭は駆け寄った。

何かを叫んで壁を叩いているが聞こえない。
走ってきた洋介は息も絶え絶えに壁の向こうに駆け寄ってきた愛蘭の顔を見た瞬間奇跡があることを確信した。

愛蘭!

俺は!

愛蘭は顔を紅潮させながら聞こえないというジェスチャーをしてよこした。

洋介は思いついたようにアクリルの透明な壁に息を吹きかけた。
息で白くなった部分に文字を書き出した。

違う!

鏡文字で書かなければ、、
握った拳で間違えた一文字を急いで消した。

壁の向こうで愛蘭は成り行きを今にも泣きそうな顔で見守っていた。

もう一度…



そして…

愛蘭は手にしていたバックを床に落として両手で顔を覆った。

涙が流れ落ちていた…


つたない中国語でたった三文字
白い息の中に書かれた文字…

                

我愛你

(あなたを愛してます)




その瞬間洋介の車のドアミラーにとまっていた白い蝶が空に舞い上っていった。



                                     完



ー危秋潔さんに捧げるー


第2章「夢の渚」へ続く



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