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恋人編
第20話「運命とは、自らの手で掴み取る物である」② 本編完結
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――カーテンを貫いて、朝日が優しく窓から差し込む。セミダブルのベッドに寝転がる私は、まぶたを照らす日の光に「ん……」と目を覚ました。
乱れてボサボサの髪の毛をそのままに、私はゆっくりと上体を起こす。無駄にデカい胸に掛け布団がひっかかり、ぬくいベッドの中から温度が抜け出ていく。
夏も終わりとは言え、未だに暑さは残る。全裸でも寒さはまったくなく、むしろこのくらいが一番過ごしやすいなと、ぼうっとした頭でどうでもいい思慮を巡らせる。
ふと。寝ぼけ目で漫然とした意識のまま、私は右隣へと視線を向けた。
――真白だ。私と同じく、衣服を脱いだ姿で布団にくるまっている。
狭苦しいベッドにぎゅうぎゅうと身を寄せる彼の姿を見て、私は途端に意識が覚醒し、そして昨晩の出来事を急速に思い出す。
――や、やっちゃったやっちゃったやっちゃった~~~~~~~~~!!!!!!!!!
全身が急に温度を上げる。酔っ払ってしまったかのように顔が急激に紅潮して、私は掛け布団を寄せて、誰が見ているというわけでもないのに自分の体を覆い隠す。
ぬおおおおおお。まさか、まさかこの私が、お、男とセックスをすることになるとは。
や、ヤバい。実感がない。実感がないけど、顔がにやける。私は中学時代の頃のように、「デュフ、デュフフフ……」と頬の引きつった不気味な笑みを浮かべた。
これまでの人生。男と付き合ったことはあれど、体を交えることは一度もなかった人生。そんな私が、まさか処女膜を打ち破る日が来ようとは。
ていうか、正直、何もやることがわからなかった。エロ漫画だとこういう時、ち〇ぽを咥えたりおっぱいで挟んだりとかしていたけど、そう言うのを何もせずに、ただ交尾をして終わってしまった。
ていうか、セックスってこんな感じなんだ。エロ漫画だとち〇ぽを突っ込まれた瞬間に『ンホォ♡♡イグゥゥ♡♡』と白目を剥きながら叫んだりしていたけど、そう言うのも完全になかった。
なんというか……色々と、よくわからなかった。私は初体験の感想を頭の中で繰り返すと、恥ずかしさのあまり掛け布団に自分の顔を埋めた。
……ていうか、やっぱり突っ込む時って痛いんだな。アレだけはマジで、「ヒギィ」って声が出るかと思ったし(どっちかって言うと「ウギャアア」だったが)。
……ていうか、真白、凄い優しかったな。お互い初めてで何もわからなかったけど、前戯は丁寧にやってくれたし、入れた直後から動いたりもしなかったし。
……この日のために、色々と勉強してきてくれたのだろうか。私はたどたどしいながらも色々と頑張ってくれていた真白の姿を思い出し、ぽっと、胸に日の光が灯ったような感触を覚えた。
……総じて。まとめると、「よかった」になる。
いや、なんと言うか。正直自分でシコってる時の方が気持ちは良いのだけれど、なんというか、そう言うのじゃなく。心の底から愛情が湧き出て来るというか、もっとずっと、このまま彼を離したくない気持ちにさせられたと言うか。
私はやや鼻息を荒くしながら、隣に眠る真白へと視線を落とす。
……コイツ、改めて見てみると結構かわいいな。華奢で男らしさのかけらもない体つきだけれど、それがむしろ子供っぽくて良いと言うか。
……そっか。私、とうとうコイツと繋がったんだ。私はそれをもう一度強く意識すると、「ふへ、ぐへへへへ……」とよくわからない笑みをこぼした。
「……愛してるよ、真白」
私はそう言いながら、眠っている真白の頬にキスをした。真白は「ん……」と身動ぎをしたが、変わらずスヤスヤと眠っており、起きる気配は微塵もなかった。
と。私は今しがたの自分の行動にボン、とまた顔が熱くなり、「バカップルか私は……」と言いながら手で首元を仰いだ。
「……ま、まあ、でも……」
……せっかくだし、まだ甘えていてもいいよね。私はそう思うと、再び布団にくるまり直り、「えへへへ……」と、真白の体をギュッと抱き寄せた。
◇ ◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇ ◇
――秋が過ぎ、冬も終わりに差し掛かる。学び舎の生徒が雪解けと共に社会へ旅立とうとするこの季節に、私と真白は、とあるアパートの一室で、綺麗に配置された家具を眺めてため息を吐いた。
「――終わったああぁぁぁ……」
私が叫びながら肩を落とすと、隣にいる真白も、「本当、ようやっと終わった」と、息継ぎをするように声を漏らした。
何をしていたのかは言うまでもないだろう。ようするに、私こと姫川詩子は、隣にいる彼ピッピと共に、引っ越しを完了させたところだ。
前々からこうすることは話し合っていた。あなたが好きです、セックスもしましたで即結婚となれば、そんなもの、できちゃった婚と変わらない。夫婦となって身を固める前に、お互いの生活習慣を合わせるために同棲をするつもりだったのだ。
引っ越しに必要な諸々の手続きは正直面倒臭かった。大学生で一人暮らしをしていたとはいえ、アパートを取り決めたりは全部親がやっていた。
つまるところ、本当の意味で「引っ越し」の手続きをするのは今回が初めてなわけで。調べ物をしたり内見をしたり、新しい家具を買ったり、お互いの家から不要な物を取り除いたりと、目まぐるしい東奔西走に息が詰まるようだった。
だけど、それももう全て終わりだ。これから私たちは、この月6万程度のアパートで新生活を始める。
大好きな彼氏との共同生活とは言え、楽しいことばかりじゃないだろう。人と人とが交われば、そこに面倒臭いあれこれがあるのが当然だ。
だけども。私は、一人で生きる気楽さよりも、コイツと一緒に生きる面倒臭さを選んだのだ。
だって。それが、私にとっての、自分らしさだから。私は隣に立つ真白へと顔を向けると、晴れやかな気持ちで、彼に笑いかけた。
「――これからも、よろしくね、真白!」
「――うん!」
~愛と友情は紙一重! 完~
乱れてボサボサの髪の毛をそのままに、私はゆっくりと上体を起こす。無駄にデカい胸に掛け布団がひっかかり、ぬくいベッドの中から温度が抜け出ていく。
夏も終わりとは言え、未だに暑さは残る。全裸でも寒さはまったくなく、むしろこのくらいが一番過ごしやすいなと、ぼうっとした頭でどうでもいい思慮を巡らせる。
ふと。寝ぼけ目で漫然とした意識のまま、私は右隣へと視線を向けた。
――真白だ。私と同じく、衣服を脱いだ姿で布団にくるまっている。
狭苦しいベッドにぎゅうぎゅうと身を寄せる彼の姿を見て、私は途端に意識が覚醒し、そして昨晩の出来事を急速に思い出す。
――や、やっちゃったやっちゃったやっちゃった~~~~~~~~~!!!!!!!!!
全身が急に温度を上げる。酔っ払ってしまったかのように顔が急激に紅潮して、私は掛け布団を寄せて、誰が見ているというわけでもないのに自分の体を覆い隠す。
ぬおおおおおお。まさか、まさかこの私が、お、男とセックスをすることになるとは。
や、ヤバい。実感がない。実感がないけど、顔がにやける。私は中学時代の頃のように、「デュフ、デュフフフ……」と頬の引きつった不気味な笑みを浮かべた。
これまでの人生。男と付き合ったことはあれど、体を交えることは一度もなかった人生。そんな私が、まさか処女膜を打ち破る日が来ようとは。
ていうか、正直、何もやることがわからなかった。エロ漫画だとこういう時、ち〇ぽを咥えたりおっぱいで挟んだりとかしていたけど、そう言うのを何もせずに、ただ交尾をして終わってしまった。
ていうか、セックスってこんな感じなんだ。エロ漫画だとち〇ぽを突っ込まれた瞬間に『ンホォ♡♡イグゥゥ♡♡』と白目を剥きながら叫んだりしていたけど、そう言うのも完全になかった。
なんというか……色々と、よくわからなかった。私は初体験の感想を頭の中で繰り返すと、恥ずかしさのあまり掛け布団に自分の顔を埋めた。
……ていうか、やっぱり突っ込む時って痛いんだな。アレだけはマジで、「ヒギィ」って声が出るかと思ったし(どっちかって言うと「ウギャアア」だったが)。
……ていうか、真白、凄い優しかったな。お互い初めてで何もわからなかったけど、前戯は丁寧にやってくれたし、入れた直後から動いたりもしなかったし。
……この日のために、色々と勉強してきてくれたのだろうか。私はたどたどしいながらも色々と頑張ってくれていた真白の姿を思い出し、ぽっと、胸に日の光が灯ったような感触を覚えた。
……総じて。まとめると、「よかった」になる。
いや、なんと言うか。正直自分でシコってる時の方が気持ちは良いのだけれど、なんというか、そう言うのじゃなく。心の底から愛情が湧き出て来るというか、もっとずっと、このまま彼を離したくない気持ちにさせられたと言うか。
私はやや鼻息を荒くしながら、隣に眠る真白へと視線を落とす。
……コイツ、改めて見てみると結構かわいいな。華奢で男らしさのかけらもない体つきだけれど、それがむしろ子供っぽくて良いと言うか。
……そっか。私、とうとうコイツと繋がったんだ。私はそれをもう一度強く意識すると、「ふへ、ぐへへへへ……」とよくわからない笑みをこぼした。
「……愛してるよ、真白」
私はそう言いながら、眠っている真白の頬にキスをした。真白は「ん……」と身動ぎをしたが、変わらずスヤスヤと眠っており、起きる気配は微塵もなかった。
と。私は今しがたの自分の行動にボン、とまた顔が熱くなり、「バカップルか私は……」と言いながら手で首元を仰いだ。
「……ま、まあ、でも……」
……せっかくだし、まだ甘えていてもいいよね。私はそう思うと、再び布団にくるまり直り、「えへへへ……」と、真白の体をギュッと抱き寄せた。
◇ ◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇ ◇
――秋が過ぎ、冬も終わりに差し掛かる。学び舎の生徒が雪解けと共に社会へ旅立とうとするこの季節に、私と真白は、とあるアパートの一室で、綺麗に配置された家具を眺めてため息を吐いた。
「――終わったああぁぁぁ……」
私が叫びながら肩を落とすと、隣にいる真白も、「本当、ようやっと終わった」と、息継ぎをするように声を漏らした。
何をしていたのかは言うまでもないだろう。ようするに、私こと姫川詩子は、隣にいる彼ピッピと共に、引っ越しを完了させたところだ。
前々からこうすることは話し合っていた。あなたが好きです、セックスもしましたで即結婚となれば、そんなもの、できちゃった婚と変わらない。夫婦となって身を固める前に、お互いの生活習慣を合わせるために同棲をするつもりだったのだ。
引っ越しに必要な諸々の手続きは正直面倒臭かった。大学生で一人暮らしをしていたとはいえ、アパートを取り決めたりは全部親がやっていた。
つまるところ、本当の意味で「引っ越し」の手続きをするのは今回が初めてなわけで。調べ物をしたり内見をしたり、新しい家具を買ったり、お互いの家から不要な物を取り除いたりと、目まぐるしい東奔西走に息が詰まるようだった。
だけど、それももう全て終わりだ。これから私たちは、この月6万程度のアパートで新生活を始める。
大好きな彼氏との共同生活とは言え、楽しいことばかりじゃないだろう。人と人とが交われば、そこに面倒臭いあれこれがあるのが当然だ。
だけども。私は、一人で生きる気楽さよりも、コイツと一緒に生きる面倒臭さを選んだのだ。
だって。それが、私にとっての、自分らしさだから。私は隣に立つ真白へと顔を向けると、晴れやかな気持ちで、彼に笑いかけた。
「――これからも、よろしくね、真白!」
「――うん!」
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