肝胆相照のティーシポネー

人の心無いんか?

文字の大きさ
23 / 35
キリちゃん視点

本編4 食べ物の恨みは何とやら・・・

しおりを挟む
 一週間を過ぎた頃だろうか・・・
 その日の前日は夜遅くまで聞き込みを頑張り、疲れてぐっすり眠っていた。そこをゆさゆさと誰かに揺さぶられる。

『おーい!妹よ。用事みたいだぞー。』

 寝ぼけながら身体を起こすと、揺さぶっていたのは同室のショートボブの雑魚こと雑用係だった。
 何の用なのよ・・・天秤でも見つけたのかしら・・・まー違うと思うけどね。

 聞いてみたら案の定、違っていた。
 なんか、敵対勢力と戦えだの、部隊に参加しろだの、何だの色々言っているが、なんで私がそんな事しなきゃなんないのよ。

「興味ない。雑魚どもでやってればいいわ。」
 そう言って布団を被って二度寝する。
 「え?ちょっと!?」と再び揺すってくる雑魚。
 私はイラっとして蹴りをかましてやると、足にいい感じの感触があって静かになった。

(ん~・・・クリーンヒットしたな、これ。おやすみなさ~い・・・むにゃむにゃ・・・)

『って、こらこら!寝るんじゃない。おーい!お友達ぶっ倒れてるじゃないか!』

 (お兄ちゃん、五月蝿いなぁ~。私は疲れてるの・・・よ。)
 私は再び眠りに落ちた。



 お昼過ぎに目が覚め、日課のために動き出す。なんか起きた時、雑用係が白目向いて倒れていたけど、まぁ大丈夫よね?
 私はいつも通り聞き込みをしたが、今日もやはり収穫はゼロ。
 夕方頃にいつもみたく腰巾着の部屋を尋ねことにした。
 ノックをすると中から、いつかのチビのチンピラが出てきて、私の顔を見るなり震えだす。

「こんにちは~。」

 笑顔で挨拶すると腰巾着は『ひっ!』と小さく叫び声をあげ、

「よ、要件はなんでしょうか・・・?」
 おどおどしながら聞いてくる。

「お腹減っちゃて~。」
 私は困り顔でそう言う。

「い、いつもの・・・ですか?」
 
「いいの~?ありがとー。じゃあ、移動しましょ♪」
 ここ数日のいつもの調子で、ニコニコと笑顔でお礼を言う。

 腰巾着と連れだって目的地まで歩く。お兄ちゃんは後ろで腰巾着を可哀想な目で見ていた。

「ねえ~?あのおっきなお友達は元気~?」
 割とどうでもいいんだけど、私はあれ以来見ていない大柄な男の”容体”を聞いてみた。まーここは神様から能力を授けてもらった奴らばっかりだし、あのくらい平気よね?

 そしたら、腰巾着はブルブル震えだして、
「勘弁してください!勘弁してください!」
 そう言って目に涙を溜めて謝りだす。

 あれ~?なんか変なこと言ったかなぁ~?
 身体の具合聞いただけなのにね?変なの?

 目的の洋菓子店に着くと腰巾着が一人で目的の物を買いに入る。
 私が外で待っているとお兄ちゃんが、

『いい加減。許してやれって。』
 呆れ顔でそう言ってくる。

「何を?」

『もう訪ねてやるな。可哀想だわ。』

「でも、エクレア食べたい。」
 唯一味のする、心の栄養だもの・・・。無いと心が死んじゃう。

『今日蹴とばした子に色々聞いてみろって。ここでの生活の仕方を。』

「あいつ、やだ。お兄ちゃんとの間に入ってきそうだもん。」

『いいじゃん、それで。友達になりなよ。』
 軽い感じで笑いながらお兄ちゃんが言う。

「要らないわよ!そんなもの!!」
 私はこんなにもお兄ちゃんの事を想ってるのに!どうしてそんなこと言うの!?なんで解ってくれないのよ!
 私はお兄ちゃんの態度と言い草にムッとして大きな声が出てしまっていた。

「ひっ!・・・何か落ち度でもありましたでしょうか・・・?」
 
 いつの間にか会計を済ました腰巾着が目の前に来ていた。

「何でもないのよ。いつもありがとう。」
 そう言って、誤魔化すように笑顔を作って洋菓子店の箱を受け取る。

「あ、あの・・・もう・・・」
 青い顔をして腰巾着が何か言おうとしてる。

「え?なに?」
 私が話を聞こうと腰巾着を見つめると、

「いいいいいいえ!何でもありません!!」
 そう言って『ピュー』っと走り去っていった。

「なんだか最後言いたそうにしていたわね。」
 私はきょとんとしてその背中を見送る。

『だから、もう勘弁して欲しいんだって・・・』

「え~、そうなのかな~。まぁいいや。それよりもエックレア、エックレア!!」
 私は歌いながらスキップして食堂に向かった。




 食堂について私はいつものようにテキパキとお茶の準備をしてエクレアもお皿にセットする。
 ああ~美しい。エクレアの周りだけ色が戻っている。眺めているだけで幸せになるわ~。
 私は頬杖をついてニコニコとエクレアを鑑賞していた。
 ただ、何やら周りが騒がしい。五月蝿いなぁ~。いつもならイライラするけども今の私はご機嫌だ。ちょっとの事じゃ気にならない。

「何だか騒がしいね~♪」

 迎えに座るお兄ちゃんに話しかける。

『お前さ~。ちょっとは周り気にしようぜ・・・』
 お兄ちゃんは眉間を押さえてため息をついていた。
 
 え~、エクレアとお兄ちゃん。この完璧な構図!周りなんてどうでもいいわ。幸せ~。
 そう思っていた時、

 バリンッ!!!!!!!!!!!!!

 目の前でエクレアが叩き潰され、鮮やかだった視界が灰色一色になる。晴れやかだった心も視界と一緒で一気に色と温度を失った。

 私は無感情に視線を横にスライドしていく。そこには大柄な女が・・・視界は徐々に灰色から紅色へと変わっていった。

「死にたいようだな。新人。ちょっと原生生物を一人で蹴散らして、【殺戮令嬢キリングドーター】なんて呼ばれてるからっていい気になってんじゃねぇのか?おい?」

 全然知らない雑魚が喚いている。私のエクレアを潰しておいて一方的にキレてる・・・。ああ・・・こいつ死にたいのか。そうなんだな。
 私が見つめると、見る見るうちに顔が恐怖に染まっていく。
 ビビるくらいなら突っかかってくるなよ。

「なんだよ・・・なんなんだよ!おまえはぁ!!!!!」

 雑魚がパンチを繰り出してくる。が、遅い・・・。なんだこれはふざけているのか?
 片手でそれを受け止める。軽い。赤子のパンチだ。
 そのまま軽く握るとグシャと潰れてしまった。
 ちゃんとカルシウム取ってるのかな?マシュマロみたいだったわ。

「あああああああああああああああああああああ!!!!!」

 うるさいな、こいつ。また殴りかかられても困るし、ついでにもう片方もやっとくか。
 私は軽く無事な方の腕を蹴とばした。
 すると簡単に腕は折れ、血が飛び散り、折れた骨が肉を突き破って見えていた。
 こんな蹴りにも耐えられないのか。もっと手加減してやらないとすぐ死ぬな。
 さて・・・それじゃ本格的にやるか。

 私は雑魚の前にしゃがみ
「ねぇ、雑魚。私のエクレア、どこ?」
 そう尋ねた。

 雑魚は何か言おうとしたが、歯がガチガチと鳴るだけだった。
 なんなの?こいつ。人の唯一の楽しみを奪っておいて謝罪も無しか・・・。沸々と静かに怒りが湧いてくる。
 じゃあ・・・もういいよね?謝るまで・・・やるか。

「ねぇ?私のエクレア・・・」
 返事をしない雑魚の頭を掴み、

「どこぉ!!!!!!!!!!」
 床に打ち付ける。
 怒りで力が入りすぎて頭を潰してしまわないように気を付けながら、

 何度も

 何度も

 打ち付ける。

 雑魚はグシャグシャの顔面で号泣していた。
 (ふざけんな!何泣いてんだ、この雑魚!いきなり知りもしない奴にエクレア潰されて泣きたいのはこっちなんだよ!!!)

 その時だった後ろから攻撃を受ける。
 私は前のめりに倒れながら首を動かし、攻撃してきた敵を見据える。

(許さな・・・い。あいつも・・・ぶっ殺して・・・・や・・・る!!!!)

 しかし、私の意識は遠のき、そこで途切れてしまった。










「見捨ててないよね!そんな事してないよね?」

(ああ・・・この感じ、私眠っていたのか。確か雑魚の蹴りを後ろから食らって・・・クソ!あんなのでのびるなんて・・・。じゃあもう一人が起きてたんだな。・・・最悪だ。あいつ何をしでかすか分からないもの。)

「違うもん!お兄ちゃんは見捨てないもん!お兄ちゃんは守ってくれるもん!」
 
「だから~!その兄貴が妹を売り飛ばしたんだよ!!どけ!邪魔すんな!」

(ちょっと!何好き勝手言わせてるのよ!それでも私なの!?)

 私がギャンギャン泣き出す。我ながら恥ずかしい。昔の私ってこんなに泣き虫だったかしら。
 自分の事だから分かるけど、かなり精神に負荷がかかっているわね。だからか・・・。私が目覚めかけてるのは・・・今なら起きれそうだ。しかし、このような形での”私”の覚醒は初めてだ。そもそも”あの子”がこんなに不安定になることは無かった事だ。今起きれば、どうなるか私自身分からない・・・それでも起きる。何故なら私自身、目の前の雑魚共に激しくイラついてるからだ!!!!
 さあ!起きようか!こいつらを分からせてやる!!

「雑魚が・・・好き放題四の五の言いやがって・・・私が違うっていうんだから違うんだよ、カス!!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

冴えない建築家いずれ巨匠へと至る

木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」 かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。 安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。 現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。 異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...