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塔内編
塔内編その64 アーセナルからの手紙
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アイスエイジがステージの壇上へ登った後、私は改めてアドミラルを見据える。
「・・・さっきの手紙の束はどういう事。あの子は何しに行ったの!?」
「・・・どうぞ。」
彼女は静かに私宛の手紙を差すだす。私はその場で封を開け目読する。手紙を掴む手に力が入り”ぐしゃり”と音を立てた。
「なによこれ・・・。あなた知っててあの子を行かせたの!?」
声が震える。怒りとやるせなさで・・・。
「・・・・・・・・はい。」
長い沈黙の後、目を伏せてアドミラルが肯定した。
私は怒りで頭に血が上り手を振り上げる。・・・が、そこで止まった。
「・・・どうぞ・・・打たれて当然の事をしたと思っています・・・。」
誰に相談もせず行ったのはあの子なのだ・・・。彼女だって止めたはずだ・・・。なのにアドミラルをぶって何になるというのだ。
私は振り上げた手と同じ、怒りとやるせなさが混じった行き場の無いぐしゃぐしゃの感情を処理できずにその場から走り去る。
護衛と言う自らの使命を放り出し、走り去る。そんな私をアドミラルは咎めない・・・。
私は外へ出て路地裏に逃げ込んだ。壁に手をつき肩で息をする・・・。改めて手紙を取り出し私は読み始めた・・・。
『隊長。いつも私を気にかけて下さってありがとうございます。今回、私はライブにいけないかもしれません。こんな事を言えるのも隊長だけなのですが、あの子の事よろしくお願いします。彼女、戦う技術は勝れていますが、ご覧の通り見ていて危なっかしい子です。今回のライブも何が起きるか分かりませんので、護ってあげてください。
今回のライブが終わったら少しゆっくりしようと思いますので、どこか一緒に出掛けましょう。どこにいこうかな?ショッピングや演劇なんかも面白そうじゃないですか?
でも一番は誰もいない木漏れ日が指す森の中でゆっくりと二人、木陰で肩を寄せあって、ただ静かな時間を感じてみたい・・・。はは・・・。私、疲れているんですかね?仕事しすぎかな?
隊長もお身体には気を付けて。お元気で。 アーセナルより』
いけない・・・文字が滲んでいく。手紙を仕舞い、静かに嗚咽を漏らす。
彼女は二度と私達の前に現れないだろう・・・。
私達はさよならも告げれず、ふと人ごみを歩いては彼女の姿をさがすだろう。
すれ違う人に彼女の幻影を見るだろう・・・。
きっとその呪いは皆の心に長く残り、私達を悲しませる。
「馬鹿・・・馬鹿・・・!何やってるのよ・・・!」
すでに届かぬ不満を漏らす。
ひとしきり泣いてどれくらい経ってだろう?表が騒がしい。見ればライブ会場の入口付近に物騒な人達が押しかけている。
「急げ!遅れているぞ!」
「わかっているよ!」
ああ・・・。何でこいつらは・・・。今はただ静かに感傷に浸っていたいのに・・・。
腰からナイフを引き抜いて素早く投擲し、騒いでいる男の足を射貫く。
「ぐあっ!あ、足が・・・!」
「おい!大丈夫か!?」
足を抱えて悶える一人を仲間が慌てて取り囲む。今の攻撃に狼狽えるだけで誰一人隠れもしない。武装はしているが素人同然だ。恐らく戦闘経験が無い。もしくは浅い。非戦闘職の奴等だ。
私はナイフを片手でお手玉しながら、ゆっくり近づきそいつらに忠告する。
「死にたくなかったらそのまま中に入らずに表で静かにしてなさい。あまりイラつかせないでね?私、今とっても気が立っているの・・・。変な動きをされたら手元が狂って殺してしまいそうだわ。」
私の顔を見たそいつらはさっきの威勢はどこへ行ったのか、凍った様に固まって大人しくなった。
「・・・さっきの手紙の束はどういう事。あの子は何しに行ったの!?」
「・・・どうぞ。」
彼女は静かに私宛の手紙を差すだす。私はその場で封を開け目読する。手紙を掴む手に力が入り”ぐしゃり”と音を立てた。
「なによこれ・・・。あなた知っててあの子を行かせたの!?」
声が震える。怒りとやるせなさで・・・。
「・・・・・・・・はい。」
長い沈黙の後、目を伏せてアドミラルが肯定した。
私は怒りで頭に血が上り手を振り上げる。・・・が、そこで止まった。
「・・・どうぞ・・・打たれて当然の事をしたと思っています・・・。」
誰に相談もせず行ったのはあの子なのだ・・・。彼女だって止めたはずだ・・・。なのにアドミラルをぶって何になるというのだ。
私は振り上げた手と同じ、怒りとやるせなさが混じった行き場の無いぐしゃぐしゃの感情を処理できずにその場から走り去る。
護衛と言う自らの使命を放り出し、走り去る。そんな私をアドミラルは咎めない・・・。
私は外へ出て路地裏に逃げ込んだ。壁に手をつき肩で息をする・・・。改めて手紙を取り出し私は読み始めた・・・。
『隊長。いつも私を気にかけて下さってありがとうございます。今回、私はライブにいけないかもしれません。こんな事を言えるのも隊長だけなのですが、あの子の事よろしくお願いします。彼女、戦う技術は勝れていますが、ご覧の通り見ていて危なっかしい子です。今回のライブも何が起きるか分かりませんので、護ってあげてください。
今回のライブが終わったら少しゆっくりしようと思いますので、どこか一緒に出掛けましょう。どこにいこうかな?ショッピングや演劇なんかも面白そうじゃないですか?
でも一番は誰もいない木漏れ日が指す森の中でゆっくりと二人、木陰で肩を寄せあって、ただ静かな時間を感じてみたい・・・。はは・・・。私、疲れているんですかね?仕事しすぎかな?
隊長もお身体には気を付けて。お元気で。 アーセナルより』
いけない・・・文字が滲んでいく。手紙を仕舞い、静かに嗚咽を漏らす。
彼女は二度と私達の前に現れないだろう・・・。
私達はさよならも告げれず、ふと人ごみを歩いては彼女の姿をさがすだろう。
すれ違う人に彼女の幻影を見るだろう・・・。
きっとその呪いは皆の心に長く残り、私達を悲しませる。
「馬鹿・・・馬鹿・・・!何やってるのよ・・・!」
すでに届かぬ不満を漏らす。
ひとしきり泣いてどれくらい経ってだろう?表が騒がしい。見ればライブ会場の入口付近に物騒な人達が押しかけている。
「急げ!遅れているぞ!」
「わかっているよ!」
ああ・・・。何でこいつらは・・・。今はただ静かに感傷に浸っていたいのに・・・。
腰からナイフを引き抜いて素早く投擲し、騒いでいる男の足を射貫く。
「ぐあっ!あ、足が・・・!」
「おい!大丈夫か!?」
足を抱えて悶える一人を仲間が慌てて取り囲む。今の攻撃に狼狽えるだけで誰一人隠れもしない。武装はしているが素人同然だ。恐らく戦闘経験が無い。もしくは浅い。非戦闘職の奴等だ。
私はナイフを片手でお手玉しながら、ゆっくり近づきそいつらに忠告する。
「死にたくなかったらそのまま中に入らずに表で静かにしてなさい。あまりイラつかせないでね?私、今とっても気が立っているの・・・。変な動きをされたら手元が狂って殺してしまいそうだわ。」
私の顔を見たそいつらはさっきの威勢はどこへ行ったのか、凍った様に固まって大人しくなった。
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