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塔内編
塔内編その67
しおりを挟む畜生!あのバカ女!!本当に起爆しやがった!一瞬でも信じかけた私もバカだった!!
だが派手な音と爆発範囲の割には威力は低い。殆どは衝撃波だった。私はクイーンから賜った装備があったから辛うじて助かったが、私みたいな装備の奴は他に居ないから殆ど虫の息だろう・・・。
「早く治療しないと・・・。」
その時、倒れている私に影が落ちる。
「大丈夫?シオンちゃん!今助けるよ!」
「キラリか!?助かった!爆発の衝撃波でまだあまり視力が戻らないんだ。どこだ!?どこにいる?」
「ここだよ!さあ立って!」
「ああ・・・ありが・・・。」
キラリの伸ばす手を掴もうとして彼女の顔を見てしまった。うっすら見えてしまったんだ・・・。掴もうとして伸ばしていた手が止まる。
「ん~?どおしたの?ほら?」
「おま・・・・おま・・・。お前かあああああああああ!!!!!」
「え~なんのことぉ????」
私を上から見下ろす彼女の浮かべる薄ら笑いを見た瞬間全て悟った。何かしらの方法であの爆弾に干渉したのはコイツだ!見れば確信があった・・・。
「て、てめぇ~!!!」
「プラン1は失敗だったけどプラン2は面白い事になったわねぇ。きししししし・・・。」
ねっとりと絡みつくような声。聞いただけで身体の芯から寒気がするその声の持ち主が居るであろう方角を向く。辛うじて形を留めていた椅子に腰かけ、クイーンとサブさん、それに側近たちがそこには居た。そして二人してこちらを見て笑う。
「お、面白いショーになったわねぇ~・・・。」
「でやんしょう?因みにプラン1も別の団体が動いてるって話ですぜ?」
「ほぉ・・・?そこには潜り込ませたのか?」
「ある程度は・・・。しかし殆ど非戦闘員の集まりでやんすから期待は出来やせん。」
「別に殺す必要はない、十分だな。張り付かせてるやつに連絡を密にしろと伝えておけ。このショーが済んだら追い込みをかけるからな。」
「了解でやんす。ヤスに言っておきやす。」
「く・・・」
サブさんと話し込むクイーンに辛うじて声を出す。
「ん~・・・なんだ”豚”ちゃん?」
クイーンが私を見て”豚”と言う。
「た、助けて・・・くだ・・・さい・・・クイーン・・・。」
その言葉を聞いて二人はきょとんとしてから大笑いをし始める。
「くはははは・・・。あーおかしい。笑ったわぁ~・・・。サブ。二人にはちゃーんと伝えたんだろうな?」
「へい。ちゃーんと伝えやした。『ペットは二匹も要らないと』」
「ふむふむ。ちゃ~んと伝えてあるなぁ~。つまりそう言うことだ。」
「へ・・・?だって優秀な方を・・・って・・・。」
その言葉を聞いてまた二人はお腹を抱えて嗤い出す。
「あー可笑しい。サブ、優秀とはなんだ?」
「そりゃ~・・・生き残った方が優秀に決まってるでやんす。」
「だそうだ、ブタ。あとな・・・ブタは喋らないんだぞ?バカだから知らなかったか?」
クイーンはニヤニヤと笑いながらそう告げた。
ああ・・・くそ・・・そういうことか!!!くそくそくそくそ!!!こんな所で終わってたまるか!!!
キラリは依然として薄ら笑いを浮かべて私を見下ろす。それを私は下から睨みつけ、痛む身体に鞭を打ち、反動を付けて起き上がろうとした・・・が・・・
「がはっ!!!!」
簡単に動きを読まれて上から踏みつけられる。私は諦めずキラリの足に噛みつくと若干顔を歪ませるが、すぐにお腹に蹴りが飛んできて吹っ飛ばされた。
「ゲホゲホゲホゲホっ!!!」
大きく咽てから何とか立ち上がろうとするが、キラリがすでにゆっくりと私の方へ向かてくるのが見える。その手に拾った角材を持って・・・
「・・・っ・・・っ・・・っ・・・っ・・・!!」
私は声にならない声で叫びながらその辺に落ちている石でも砂でも酒瓶のかけらでも何でもひっつかんで必死に投げるが座った状態の全身を使えない投擲なんてたかが知れている。
そして目の前に立ったキラリは口角を上げて笑いながら角材を振りかぶり・・・
ガスガスガスガスガスガスガスガスガスガスッ!!!!
視界がブレる・・・意識が遠のいていく・・・私が死んでいく・・・ああ・・・帰りたい・・・日本に帰・・・りた・・・・・・・・・・・・い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
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なかなかのスピード感、作者さん本人の名前通り鬼畜さ(褒め言葉)が見え隠れして今後が楽しみです
ありがとよ!まるこめ。
まるで本の帯に書いてある忖度コメントの様だぜwww
まぁ、実際これに限ってはそのようなものかw