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双新星編
本編6(緑)(緑)(1) その2
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二時間ほど行軍し、一時間掛けて小高い丘に登る。
頂上はうっそうとしていて眼前には急斜面、下には川、向こう岸まで丸見えと言う、遠距離部隊なら恰好の待ち伏せポイントだった。
「よし。予定通りにね。」
懐から懐中時計を出して時刻を確認する隊長。
「物資運搬ありがとう。助かったわ。」
ぼんぼんに労いの言葉を掛ける隊長。
ぼんぼんは隊長の役に立てたのが嬉しいのか、顔を綻ばせて照れくさそうに頭を掻いている。僕と随分扱いが違うなぁ!
「さあ、荷下ろしをして小隊のみんなは退却して。後は私たちの仕事よ。」
隊長は小隊にそう言ってから、
「あ、そうだ。帰る前に私の所に寄ってくれるかな?」
と、ぼんぼんに向かって言うと彼は隊長に「わかりました」と敬礼をしてから走り去った。
入れ替わりにアーセナルさんが隊長の元にやってくる。
「隊長~。布陣のことなのですが・・・」
そう話しかけた瞬間だった。
ライブラリーさんから貰って胸に付けてたブローチが光り出し、光の柱となって空を貫いた。
アーセナルさんも隊長も僕も一瞬呆気に取られたが、すぐさま隊長が僕に指示を出す。
「新入り!叩き割れ!!!!」
僕は隊長が指示を言い終わる前にブローチを地面に叩きつけ、剣を突き立てて割った。
「全員!臨戦態勢を取れ!!!罠だ!!!!」
隊長の怒号が飛ぶ。
「君!そのブローチはどうしたの!?」
アーセナルさんが僕を問い詰める。
「こ、これは行軍中にライブラリーさんから貰ったもので・・・」
僕の話を聞いた隊長が、
「ライブラリー!ライブラリーはどこか!?」
あたりを見渡しライブラリーさんを探す。
皆が混乱する中、ライブラリーさんは遠くにポツンと立っており目が虚ろでブツブツと呟いていた。
そこに迫る大きな影、
「ライブラリー!!!!!後ろだ!!!!!!!」
隊長が目いっぱい叫ぶ。
ライブラリーさんは『えっ』とした顔をして後ろを向いた瞬間、
すでに迫っていた大型の魔獣に乗った騎兵の槍に貫かれた。
ゆっくりと倒れるライブラリーさん。
「ま、魔獣ガルムの騎兵隊・・・【蹂躙走破】スタンピードの部隊だ・・・」
アーセナルさんが真っ青な顔で呟く。
まずい・・・前回の捨て駒の寄せ集めとは違う・・・敵のランカー部隊。しかも相手は騎兵で、こちらは虚を突かれた状態だ。
「居たぞ!!!雑魚にかまうな!!!!こっちだ!!!!!!ヘッドシューターだ!!!」
ライブラリーさんを貫いた敵騎兵が仲間を呼ぶ。
『ひゅっ』と音がして敵の頭に矢が刺さり絶命する。隊長の狙撃だ。
「ライブラリー!!!!!!!!!!」
隊長が半狂乱になって叫び、倒れているライブラリーさんの元へ駆け寄ろうとする。
アーセナルさんが『はっ!』として、
「駄目です!」
と隊長を羽交い絞めにして止める。
「で、でも・・・・でも!!!!」
「何をしているんですか!!!!あなたが隊長なんですよ!!!指揮を取ってくだい!!!!」
涙を浮かべながらライブラリーさんの行こうとする隊長をアーセナルさんが引っ叩き正面を向かせ叱咤した。
隊長は深呼吸したあと、泣きそうなお姉ちゃんの顔からいつもの隊長の表情に戻り、
「ごめん・・・。アーセナルは残存部隊をまとめ、ファランクスの隊形で固く守り、東へ移動しろ!必要なら敵の槍や盾を奪って使え。後のことはお前に任す。」
「隊長はどうするのです!?」
「私は西へ行き敵部隊を引き寄せる。敵の叫んだ言葉から恐らく狙いは私だ。私と離れれば活路はある。」
「無茶です!隊長一人でなんて!死ぬ気ですか!?」
「大丈夫・・・私は死なない・・・死なない!」
隊長は僕の方を向き、
「新入り。お前もアーセナルと共に行け。」
そう命令を下す隊長は震えを精一杯かくしている様に見えた。
僕は目を瞑り、一度、深呼吸してから言ってやった。
「嫌です。」
「なに・・・を言って・・・」
隊長が言い切る前に、
「弓兵が騎兵相手に前衛も無しでどうかしてる!しかも、多勢に無勢。僕が隊長の盾になります!!」
「今回は本当にどうなるか・・・」
全て言わせる前に、
「死なないんでしょ!だったら僕も守ってください!!!僕もあなたを守りますから。」
そう言って盾を『コンコン』と叩いた。
隊長はじっと僕の瞳を覗いてから、
「よし!共に来い!新入り!!!後は頼んだぞ!アーセナル!」
言うや否や西へ走りだす。
そして、走りながら、
「私こそは第一連隊所属、第七独立部隊隊長ヘッドシューターだ!この首欲しくばかかってこい!!!!」
と高らかに宣言した。
あちこちで「こっちだ!居たぞ!!!」という声がして敵が迫ってくる。
木々を縫うように走り抜けていく隊長に何とか付いて行く。
しかし敵騎兵もアジリティ競技のように木々をかわしながら追ってくる。
(このままじゃ追いつかれる。)
隊長が牽制の弓を放つが、重武装している猛者の騎兵相手では墜とせるのは数騎だった。
隊長が何射目かの矢をつがえた時、隊長の後ろに影があった!
「隊長、後ろです!!!!」
僕の声にすかさず振り返り、矢を放つが騎獣の身体に当たると空しくはじかれる。
そこには全身、鉄の鱗を纏った騎龍に乗った兵士が居た。
「スタンピード!?それに甲殻竜!?」
隊長の声が上ずる。
「アンタを狩るために、こいつを手なずけるのに苦労したぜ!終わりだ!ヘッドシューター!」
甲殻竜の爪が隊長に迫る。もはや避けれる状態ではないし、隊長にその爪撃を防ぐ術はない。
必死で隊長の元へ走るが・・・
(間に合うか!?くそ!間に入っても、あの一撃をこの盾で、今の僕であの攻撃を受けれるのか?・・・もうアレを・・・やるしかない!!!)
僕は隊長のもとに走りながら、
「ライブラーーーーーー!!!!コンサルティングだーーーー!!!!!!!」
僕はこの世界にきてから隠してきた能力をついに言葉にして使った。
世界の色が失せ、灰色となり、時が止まり、天秤を持った女の子が現れる。
『うふふ・・・呼んだ!ついに呼んだわね!!』
『あー久しぶり~』
「糞神さんよ、何とかしてくれ。」
『あー、そう言うこと言う。やめよっかなー』
「ぐっ!ライブラ神様、能力の調整をお願いします。」
『そうそう!それでいいのよ。見てたけど、こいつは甲殻竜ね~。こいつを倒すとなると、アンタの身体、支払いの反動でバラバラになるけどいい?』
「いいわけねーだろ。馬鹿か?てめーは。」
『あ~・・・そういう・・・』
「すみません。この後、動ける程度にお願いします。」
『そしたら倒すのは諦めなさい。この一撃を回避するだけ。後はどうしようもないわ。なんとかなさい。』
『とりあえず盾の表面の摩擦係数を小さく、丈夫にしてから、それで・・・あなたの筋力、体幹、骨格、動体視力を強化・・・と。ま、こんなもんかな?動けるって言っても相当の反動は覚悟しておきなさい。』
ケラケラ笑う糞神。
「あんた自分の使徒を大切にしろよ。」
『アンタが私を信仰するなら、もうちょっと可愛がってもいいかな?』
「へっ」心底嫌そうな顔をしてやる。
『それじゃそろそろね。いい?相手の攻撃を滑らせるように受け流すのよ?』
『では、共に宣言なさい、我が使徒よ』
『報酬には』
「対価を」
『選択には』
「犠牲を」
『借りものには』
「返済を」
『共に締結の言葉を』
『「レバレッジ」』
『では、相談料に寿命の3%いただきまーす』
糞神の最後の言葉が聞こえ、
灰色の世界に色が戻り、時間が動き出す。
「死にな!ヘッドシューター!」
隊長に甲殻竜の爪が迫る。
僕は常人ならざるスピードで間に入り、甲殻竜の爪をいなすように受け止めた。
(ぐううううう!!重てえ!!!!)
レバレッジの能力上昇で何とか踏ん張る。
「し、新入り!?」
「そんなチンケな盾で防げるわけねーだろ!一緒に潰れろや!!!」
(それろそれろそれろそれろそれろ・・・・)
「そーーーーーれーーーーーーーーろーーーーーーー!!!!!」
血管が千切れるような感覚。
甲殻竜の爪を左にそらす。
「ああ!?なんだと!?」
敵兵のライダーは『そんな馬鹿な!?ありえない。』という顔をしている。
しかし反動で僕は隊長を巻き込みながら吹っ飛び、斜面を転がり落ち、木にぶつかって止まった。
隊長は頭を強打し気を失っていた。
(後ろはもう川だ。川に飛び込むか?しかし、かなり流れが早い。くそ!どうすれば・・・)
迷っていると上から叫びながら、ぼんぼんが走って来るのが見える。
「先輩ー!!剣士君ー!!ちくしょう!こいつら!」
「馬鹿野郎!!なんで来た!!!」
「ぼくも先輩を守りたいんだ!」
そう言って駆け下りてくるぼんぼんの背後を魔獣騎兵が捉える。
「ぼんぼん!!後ろだ!!!能力を使って身を守れ!!!」
「ひっ・・・・!」
僕の声で振り向くが、ぼんぼんは恐怖のせいか固まり、まともに動けず、魔獣の爪を腹に受けて斜面を転がり落ち、川に転落した。
「くそったれ!!!行くしかねぇ!!!!」
隊長の弓と矢筒、ポーチだけ持って、腹を括って僕も隊長を抱え川に飛び込む。
上手く流れに身を任せて流されていると前方に・・・
(おいおいおいおいおいおい!!!嘘だろ!?滝とか聞いてねえって!!)
頂上はうっそうとしていて眼前には急斜面、下には川、向こう岸まで丸見えと言う、遠距離部隊なら恰好の待ち伏せポイントだった。
「よし。予定通りにね。」
懐から懐中時計を出して時刻を確認する隊長。
「物資運搬ありがとう。助かったわ。」
ぼんぼんに労いの言葉を掛ける隊長。
ぼんぼんは隊長の役に立てたのが嬉しいのか、顔を綻ばせて照れくさそうに頭を掻いている。僕と随分扱いが違うなぁ!
「さあ、荷下ろしをして小隊のみんなは退却して。後は私たちの仕事よ。」
隊長は小隊にそう言ってから、
「あ、そうだ。帰る前に私の所に寄ってくれるかな?」
と、ぼんぼんに向かって言うと彼は隊長に「わかりました」と敬礼をしてから走り去った。
入れ替わりにアーセナルさんが隊長の元にやってくる。
「隊長~。布陣のことなのですが・・・」
そう話しかけた瞬間だった。
ライブラリーさんから貰って胸に付けてたブローチが光り出し、光の柱となって空を貫いた。
アーセナルさんも隊長も僕も一瞬呆気に取られたが、すぐさま隊長が僕に指示を出す。
「新入り!叩き割れ!!!!」
僕は隊長が指示を言い終わる前にブローチを地面に叩きつけ、剣を突き立てて割った。
「全員!臨戦態勢を取れ!!!罠だ!!!!」
隊長の怒号が飛ぶ。
「君!そのブローチはどうしたの!?」
アーセナルさんが僕を問い詰める。
「こ、これは行軍中にライブラリーさんから貰ったもので・・・」
僕の話を聞いた隊長が、
「ライブラリー!ライブラリーはどこか!?」
あたりを見渡しライブラリーさんを探す。
皆が混乱する中、ライブラリーさんは遠くにポツンと立っており目が虚ろでブツブツと呟いていた。
そこに迫る大きな影、
「ライブラリー!!!!!後ろだ!!!!!!!」
隊長が目いっぱい叫ぶ。
ライブラリーさんは『えっ』とした顔をして後ろを向いた瞬間、
すでに迫っていた大型の魔獣に乗った騎兵の槍に貫かれた。
ゆっくりと倒れるライブラリーさん。
「ま、魔獣ガルムの騎兵隊・・・【蹂躙走破】スタンピードの部隊だ・・・」
アーセナルさんが真っ青な顔で呟く。
まずい・・・前回の捨て駒の寄せ集めとは違う・・・敵のランカー部隊。しかも相手は騎兵で、こちらは虚を突かれた状態だ。
「居たぞ!!!雑魚にかまうな!!!!こっちだ!!!!!!ヘッドシューターだ!!!」
ライブラリーさんを貫いた敵騎兵が仲間を呼ぶ。
『ひゅっ』と音がして敵の頭に矢が刺さり絶命する。隊長の狙撃だ。
「ライブラリー!!!!!!!!!!」
隊長が半狂乱になって叫び、倒れているライブラリーさんの元へ駆け寄ろうとする。
アーセナルさんが『はっ!』として、
「駄目です!」
と隊長を羽交い絞めにして止める。
「で、でも・・・・でも!!!!」
「何をしているんですか!!!!あなたが隊長なんですよ!!!指揮を取ってくだい!!!!」
涙を浮かべながらライブラリーさんの行こうとする隊長をアーセナルさんが引っ叩き正面を向かせ叱咤した。
隊長は深呼吸したあと、泣きそうなお姉ちゃんの顔からいつもの隊長の表情に戻り、
「ごめん・・・。アーセナルは残存部隊をまとめ、ファランクスの隊形で固く守り、東へ移動しろ!必要なら敵の槍や盾を奪って使え。後のことはお前に任す。」
「隊長はどうするのです!?」
「私は西へ行き敵部隊を引き寄せる。敵の叫んだ言葉から恐らく狙いは私だ。私と離れれば活路はある。」
「無茶です!隊長一人でなんて!死ぬ気ですか!?」
「大丈夫・・・私は死なない・・・死なない!」
隊長は僕の方を向き、
「新入り。お前もアーセナルと共に行け。」
そう命令を下す隊長は震えを精一杯かくしている様に見えた。
僕は目を瞑り、一度、深呼吸してから言ってやった。
「嫌です。」
「なに・・・を言って・・・」
隊長が言い切る前に、
「弓兵が騎兵相手に前衛も無しでどうかしてる!しかも、多勢に無勢。僕が隊長の盾になります!!」
「今回は本当にどうなるか・・・」
全て言わせる前に、
「死なないんでしょ!だったら僕も守ってください!!!僕もあなたを守りますから。」
そう言って盾を『コンコン』と叩いた。
隊長はじっと僕の瞳を覗いてから、
「よし!共に来い!新入り!!!後は頼んだぞ!アーセナル!」
言うや否や西へ走りだす。
そして、走りながら、
「私こそは第一連隊所属、第七独立部隊隊長ヘッドシューターだ!この首欲しくばかかってこい!!!!」
と高らかに宣言した。
あちこちで「こっちだ!居たぞ!!!」という声がして敵が迫ってくる。
木々を縫うように走り抜けていく隊長に何とか付いて行く。
しかし敵騎兵もアジリティ競技のように木々をかわしながら追ってくる。
(このままじゃ追いつかれる。)
隊長が牽制の弓を放つが、重武装している猛者の騎兵相手では墜とせるのは数騎だった。
隊長が何射目かの矢をつがえた時、隊長の後ろに影があった!
「隊長、後ろです!!!!」
僕の声にすかさず振り返り、矢を放つが騎獣の身体に当たると空しくはじかれる。
そこには全身、鉄の鱗を纏った騎龍に乗った兵士が居た。
「スタンピード!?それに甲殻竜!?」
隊長の声が上ずる。
「アンタを狩るために、こいつを手なずけるのに苦労したぜ!終わりだ!ヘッドシューター!」
甲殻竜の爪が隊長に迫る。もはや避けれる状態ではないし、隊長にその爪撃を防ぐ術はない。
必死で隊長の元へ走るが・・・
(間に合うか!?くそ!間に入っても、あの一撃をこの盾で、今の僕であの攻撃を受けれるのか?・・・もうアレを・・・やるしかない!!!)
僕は隊長のもとに走りながら、
「ライブラーーーーーー!!!!コンサルティングだーーーー!!!!!!!」
僕はこの世界にきてから隠してきた能力をついに言葉にして使った。
世界の色が失せ、灰色となり、時が止まり、天秤を持った女の子が現れる。
『うふふ・・・呼んだ!ついに呼んだわね!!』
『あー久しぶり~』
「糞神さんよ、何とかしてくれ。」
『あー、そう言うこと言う。やめよっかなー』
「ぐっ!ライブラ神様、能力の調整をお願いします。」
『そうそう!それでいいのよ。見てたけど、こいつは甲殻竜ね~。こいつを倒すとなると、アンタの身体、支払いの反動でバラバラになるけどいい?』
「いいわけねーだろ。馬鹿か?てめーは。」
『あ~・・・そういう・・・』
「すみません。この後、動ける程度にお願いします。」
『そしたら倒すのは諦めなさい。この一撃を回避するだけ。後はどうしようもないわ。なんとかなさい。』
『とりあえず盾の表面の摩擦係数を小さく、丈夫にしてから、それで・・・あなたの筋力、体幹、骨格、動体視力を強化・・・と。ま、こんなもんかな?動けるって言っても相当の反動は覚悟しておきなさい。』
ケラケラ笑う糞神。
「あんた自分の使徒を大切にしろよ。」
『アンタが私を信仰するなら、もうちょっと可愛がってもいいかな?』
「へっ」心底嫌そうな顔をしてやる。
『それじゃそろそろね。いい?相手の攻撃を滑らせるように受け流すのよ?』
『では、共に宣言なさい、我が使徒よ』
『報酬には』
「対価を」
『選択には』
「犠牲を」
『借りものには』
「返済を」
『共に締結の言葉を』
『「レバレッジ」』
『では、相談料に寿命の3%いただきまーす』
糞神の最後の言葉が聞こえ、
灰色の世界に色が戻り、時間が動き出す。
「死にな!ヘッドシューター!」
隊長に甲殻竜の爪が迫る。
僕は常人ならざるスピードで間に入り、甲殻竜の爪をいなすように受け止めた。
(ぐううううう!!重てえ!!!!)
レバレッジの能力上昇で何とか踏ん張る。
「し、新入り!?」
「そんなチンケな盾で防げるわけねーだろ!一緒に潰れろや!!!」
(それろそれろそれろそれろそれろ・・・・)
「そーーーーーれーーーーーーーーろーーーーーーー!!!!!」
血管が千切れるような感覚。
甲殻竜の爪を左にそらす。
「ああ!?なんだと!?」
敵兵のライダーは『そんな馬鹿な!?ありえない。』という顔をしている。
しかし反動で僕は隊長を巻き込みながら吹っ飛び、斜面を転がり落ち、木にぶつかって止まった。
隊長は頭を強打し気を失っていた。
(後ろはもう川だ。川に飛び込むか?しかし、かなり流れが早い。くそ!どうすれば・・・)
迷っていると上から叫びながら、ぼんぼんが走って来るのが見える。
「先輩ー!!剣士君ー!!ちくしょう!こいつら!」
「馬鹿野郎!!なんで来た!!!」
「ぼくも先輩を守りたいんだ!」
そう言って駆け下りてくるぼんぼんの背後を魔獣騎兵が捉える。
「ぼんぼん!!後ろだ!!!能力を使って身を守れ!!!」
「ひっ・・・・!」
僕の声で振り向くが、ぼんぼんは恐怖のせいか固まり、まともに動けず、魔獣の爪を腹に受けて斜面を転がり落ち、川に転落した。
「くそったれ!!!行くしかねぇ!!!!」
隊長の弓と矢筒、ポーチだけ持って、腹を括って僕も隊長を抱え川に飛び込む。
上手く流れに身を任せて流されていると前方に・・・
(おいおいおいおいおいおい!!!嘘だろ!?滝とか聞いてねえって!!)
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