羊頭狗肉のベルゼブブ

人の心無いんか?

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双新星編

サブストーリー2 ライブラリーの取引

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 私はその日、第一モールにあるショットバーで久しぶりにべろんべろんに酔っていた。

 ここ最近の部隊への不満、そのストレスをアルコールで押し流すように・・・

 そこに大柄の男がやってきて、他にも席があるのに、わざわざ私の隣に座った。

「他にも席はあるだろ・・・あっちで飲めよ。ベルセルク。」

「まあ、そう言うなよ。ライブラリーの兄ちゃんよ。」

「ここんところアンタの部隊、随分動きが悪いじゃねえか。【無限蔵書】さんが居るってのによ。」

 わざとらしい、安い挑発だ。

「挑発か?相手にするのも億劫だ。」

「まあ、そう邪険にするなって。ちょっと話そうぜ。今日はアンタに良い話を持ってきたんだ。」
 私はそのまま何も言わずベルセルクを無視する。

「アンタの部隊が調子悪いのは、あのルーキーのせいだろ?今日提案するのはあいつを消す方法だよ。」

 悪魔の囁きだった。
 普段の私なら無視しただろう。
 しかし、ここのところの部隊の動きの鈍さ。消極的な選択。何より隊長の怪我。
 それらもあって私は悪魔と言葉を交わしてしまった。

「どういうことだ?」

「へへ。今度の作戦は挟撃なんだろ?お前たちの部隊は隠密性の高い中遠距離だ。だからポイントは必然的に高所になる。そこを俺の部隊の狙撃手があのルーキーを射貫いてやる。」

「どうやって?それにお前に何の得がある。」

「お前たちの動きを見ていたら今月のポイントは確実にヘッドシューターより俺の方が高い。しかしあのピンク髪の嬢ちゃんは中々働き者でな。このままじゃ俺が貢献度で勝っても嬢ちゃん自身に拒否される可能性がある。」

 貢献度ポイントは何でも買える。そしてランカーの上位の方が優先度は高い。しかし、人物の売買のみ本人のポイントによる拒否権が一番に優先されている。だから本人に一定の貢献度を稼がれると人身売買は成り立たない。私もかつてそれで自分を守った。

「だからよぉ。あのルーキーを殺すのさ。あの嬢ちゃんは、あのルーキーとずっと一緒だった。そいつが死んだとなったら、もう残りの期間はまともに働けないだろうぜ。」
 自身のゲスい思惑を嬉しそうに話しながら下卑た笑いを浮かべる。

 クズめ。しかし、こいつがルーキーを邪魔に思っているのは本当だろうし、こいつの狙いも一理ある。
 そして、ルーキーを邪魔に思っている私に接触するのも分かる話だ。

「私に何をさせたい。」

『ニヤァ!』と思い通りにいったと言わんばかりの笑いを浮かべ、
「アンタには詳しい作戦の詳細や場所を教えてもらいたい。それとこいつだ。」
 ベルセルクは懐から小さなブローチのようなものを取り出す。
「こいつを当日、あのルーキーにつけさせろ。」

「なんだこれは?」

「まあ見てな。」と、ベルセルクが小さな装置を操作するするとブローチが小さく光った。

「この光は昼でも夜でもよく見えるようになってる。こいつを付けさせることによってルーキーを識別して殺すってわけよ。」

「他の部隊員に迷惑はかからんだろうな?」

「かからねえよ。もちろんアンタにもだ。ルーキーは作戦中、敵の狙撃を受けて死ぬ。それで処理される。証拠も残らねえ。どうだ?悪い話じゃないだろ?」
 と、飲んでいる酒のグラスをこちらに突き出してきた。
 私は暫く考えて・・・・

 そのグラスに「カチリッ」と自分のグラスを当てた。

 私は悪魔に魂を売り渡した。
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